心理学者からの警告:子供に手をあげてはいけない理由

「ちょっとくらいお尻を叩いたって大丈夫」と思う親はいまだに多くいます。しかし「ちょっと」叩いたり耳をつねったりする行為でさえ、子供をその後何年も、時には大人になってからも苦しめることになることがあります。

心に与える重い影響

Sharomka/shutterstock 

体罰が子供の心に大きな影響を与えるということは、テキサス大学とミシガン大学が学術誌Journal of Family Psychologyで発表した研究論文で明らかになっています。この研究は50年以上に渡って16万人の子供たちを追跡調査。結果、調査に参加した人のうち、子供時代にお尻に叩かれるなどの体罰を受けた人の方がより反社会的行動をとる傾向にあり、健康状態も悪いということが明らかになりました。論文執筆者のエリザベス・ガーショフとアンドリュー・グローガン=カイラーは、体罰を受けた子供は虐待被害者と同じ症状を発症すると主張しています。ガーショフはこう説明しています。

「一般的に、しつけによる暴力と虐待の暴力は異なるという認識があります。しかし私たちの調査によると、しつけでお尻を叩くのは、若干度合いは低いとはいえ虐待するのと同等の負の影響をもたらすことがわかっています」

児童心理学者のアルファ・ディートメイヤーによると、ほんの1回「手が出てしまった」としても、大きな心理的被害を与える可能性があるということです。影響の出方はさまざまで、子供の精神状態がどれだけ安定しているかに左右されるそうです。親が問題の解決法として体罰に頼ってしまうと、親子の間の基本的な信頼関係が傷つき、子供は親に叩かれることを常に怯えるようになります。さらに、自分は愛され大切にされ尊敬される価値がない存在だという思いが生じ、苦しみます。しつけという名の下に行われる暴力は、子供の人生に重い影響を与えるのです。

Leilani Christmas Shoot

幼い子供の場合、こうした影響は頻繁に泣く、眠りが浅い、不安に襲われるなどの形で現れます。体罰を受け、誰にも助けてもらえない状況を経験をすると、その後の人生で精神病を患う可能性も高くなります。思春期や成人を迎えてから、鬱や摂食障害、パニック障害に苦しむ人も少なくありません。体罰を受けたことのある子供の多くは、自分自身や他人に対する共感能力が乏しいことも指摘されています。また、体罰を受けることで生じる怒りや報復の感情はその後も長く続くことがあります。結果として、体罰を受けた子供は自分の子供に同じ体罰を与えてしまう危険性があるのです。暴力行為に頼らずに心理的緊張や争いを解決する方法を知らないのですから。

お尻を叩くのは犯罪行為?

Post-cry baby

子供に対するしつけに関する法律は世界中で様々です。例えばドイツでは、殴る、杖を使って殴る、またお尻を叩くことは起訴犯罪です。子供への体罰を禁止している国は、日本、マルタ、ボリビア、ブラジルなどです。一方、アメリカでは自分の子供を叩く行為は全50州で合法で、州によってしつけと虐待の境目も異なります。

子供への体罰が禁止されている国々でも、ほとんどの場合閉ざされた家の中での出来事のため、親を起訴するのは難しいことがあります。だからこそ親自身が、体罰でしつけするのは子供の一生に悪影響を与える危険性のあることなのだという認識を持つことが重要なのです。

子供に手をあげるのを防ぐには?

scream and shout

子供が言うことをきかないとき、公の場で騒ぐとき、失敗をするとき、何度注意してもしつこく同じことを繰り返するとき、無力感やストレスを感じ、ついつい手を上げてしまう親は決して少なくありません。我を忘れそうになったら、深呼吸や一度部屋を出るなどして、気持ちを落ち着かせてみてください。

子供を叩きそうになることが多いなら、心理カウンセラーなど専門家に相談に行くことをお勧めします。専門家の助けを求めることは子供に対する親の責任を果たすだけでなく、自身の子供時代の心理的後遺症となった経験と折り合いをつけるチャンスとなります。もし子供をまた叩いてしまっても、自分を責めないでください。どうして叩いてしまったのか子供に説明し、自分の行為を謝り、もう2度としないと約束してください。そして子供に愛していること、ただ行儀の悪さを注意したかったのだと伝えてください。子供は大人が思っているよりもずっと物事をよく理解しています。丁寧な対話は子供の理解を促進し、暴力のない親子関係を築くことにもつながります。

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