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Lifehacks

この病気には治療法がない。水泳中に犯す間違いが原因で多くの人々が感染している!

私たちがプールや海で泳ぐとき、身体からは髪の毛はもちろん、古くなった皮膚が水の中で剥がれ落ち、汗や体液なども溶け出すと言われています。「人間が泳ぐと、大人一人につきおよそ0.14gの老廃物が身体から流れ落ちます。これは、およそ尿1回分に相当する量です」アメリカ・アリゾナ大学の細菌学教授ケリー・レイノルズは話します。とはいえ、これら水の中に溶け出す老廃物や体液は、細菌の感染および繁殖という観点から言えば、基本的に人体に害を及ぼすようなものではないといいます。

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そもそもプールなどでは殺菌のため塩素が使用されており、これによりほとんどのバクテリアやウイルス、細菌などは無害化されます。ところが、病原体の中にこの塩素を生き延びることができ、かつ人間に対して極めて攻撃的な性質を持ったものがプールに潜んでいるということが最近判明したのだそうです。この病原体はプールの水の中で繁殖し、その中を泳ぐスイマーたちの身体に感染していくのです。

例えば、お腹を下しているときにプールに行くのはとても危険です。症状が治ったとしても、およそ2週間はプールに近づかないようにしましょう。「もうすっかり回復して症状も治まったと感じても、その状態でプールに入れば、何百万から何十億という数の大腸菌をプールの中に放出することになります」レイノルズ博士は話します。もし公共のプールに入ることがあれば、プールに入る前に必ずシャワーを浴びて身体の表面を流すだけでなく、できるだけプールの水を飲みこまないようにする必要があります。

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しかし、アリゾナ大学が同時に行った調査によれば、上記のようなルールをしっかり守ってプールを使用している人はほとんどいないというのが現実のようです。実際、プールに出かけようとした際急に下痢などに見舞われた場合、それでもプールに出かけると回答した人は大人のうちおよそ25%にも上ったといいます。さらに、回答者の半数は泳ぐ前にシャワーをほとんどか全く浴びないと答え、また60%は水泳中にプールの水を飲みこんでしまったことがあると回答しています。

このような状況は、正しいルールを徹底させることがいかに難しいかを物語っているといえるでしょう。衛生状態の劣悪なプールを使用すると、健康に深刻な被害をもたらす感染症の危険性も高まります。例えばクリプトスポリジウムという寄生虫は、プールの水を媒介して人から人へ感染していくということが知られています。クリプトスポリジウムは固い外殻に守られており、塩素で殺菌された水の中でも10日は生きられると言われています。感染した水を飲むことで簡単に体内に入り込むため、非常に危険性が高いといえるでしょう。感染すると、高熱、下痢、食欲の減退、腹痛、体重の減少といった症状が2週間ほど続き、最悪の場合、クリプトスポリジウム症を引き起こし致死的になる場合もあります。恐ろしいのは、これらの感染症を治療する有効な方法は存在しないということです。

プールに潜む脅威はもちろんクリプトスポリジウムだけではありません。例えばA型肝炎の原因となるウイルスや大腸菌、腸チフスを引き起こすバクテリアなど、私たちの健康を害する様々な病原体がプールには棲みついているのです。これらの病原体はプールの水を直接口から飲み込むことはもちろん、プールで泳ぐ合間に摂る食事などをきっかけに口から入り込むという感染経路も考えられます。

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プールで泳ぐ際に気を付けければならない健康上のリスクは他にもあります。

水虫はプールでうつされることが多い症状です。プールサイドで自分専用のビーチサンダルを履くようにしたり、プールから上がっているときにはなるべくつま先を乾かすように心がけることで予防することができるでしょう。

プールに含まれる塩素によって起こる結膜炎も比較的良く発生する症状です。これは水の中ではゴーグルを常に装着していれば防ぐことができます。

さらに、プールで泳いだことがきっかけで皮膚炎が発生することもあります。最長で8日ほどにもなる潜伏期間を経て、主に口やのどの炎症に始まり、水ぶくれや中耳炎、発疹などといった症状が発生することもあるようです。 

なお、女性は特に感染症から膣真菌症や膀胱炎を引き起こす可能性もあります。予防策としては、水着は必ず毎回洗って乾かしたものを使用することです。また、濡れた水着を長時間着たままでいないようにするのも大切だそうです。

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いかがでしたか?せっかくプールで遊ぶ楽しい時間、こういった恐ろしい感染症に悩まされたくないですよね。今回ご紹介した対策はもとより、まずはプールに入る前にちゃんとシャワーを浴びること、体調を崩したら数週間はプールに入るのを控えることなどを守り、一緒に行く友人たちに迷惑をかけないよう心がけることから始めましょう。