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Lifehacks

水道水の80%以上で肉眼で見える無生物から、もう逃れられない。人間はこいつをこの先500年食べ続ける?

ほんの100年前まではほとんど存在しなかったプラスチック製品は、歯ブラシからコンタクトレンズ、スマホから冷蔵庫の中の食品まで現代生活ではなくてはならない存在です。

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人間はその恩恵をたっぷりと受けてきましたが、あまりに大量に作られ廃棄されるプラスチック製品は、地球全体を文字通り多い尽くそうとしています。プラスチック製品は、熱や紫外線で脆く砕けやすくなりますが、いくら小さくなっても消えることはないため、少なくとも今後500年はこのまま地球上に存在し続けるのです。

プラスチック製品の様々な悪影響が指摘されるようになり、各国でプラスチック製品の販売などが規制の対象になっています。中でも今話題となっているのが、破片になったプラスチック、マイクロプラスチックによる海洋汚染。もはや海はプラスチックのスープと化していると形容する科学者もいます。

九州大学の磯篤彦教授によると、日本近海の50ヶ所以上でマイクロプラスチックが1立法平方メートルあたり3個程度見つかったそうです。中国、インドネシア、フィリピンなどアジアの国々から大量のゴミが海洋に流出し、粉々になりながら日本近海へと流れてきているということです。これは世界平均のおよそ30倍という密度です。

恐ろしいのは、海洋生物の全て、食物連鎖の底辺を支える大切なプランクトンまでもがマイクロプラスチックを誤食して繁殖能力を低下させているだけではありません。このマイクロプラスチック自体は体内に入っても排出されることがほとんどですが、マイクロプラスチックが吸着した海の有害物質(皮膚障害や肝機能障害を起こすPCB、石油、DDTなど)は濃縮されて脂肪に溶け込み体内に入ってくるのです。

では飲み水はどうでしょう?昨年北米、南米、欧州、アフリカ、中東、アジアで行われた調査の結果、世界で平均すると水道水の83%に0.1〜5mmのプラスチック繊維や粒子が混入していることがわかったのです。この調査を実施した国際NGOのOrb Mediaによると、実に北米の水道水は94%が汚染されており世界最悪、レバノンとインドがそれに続き、英国、ドイツ、フランスは72%でした。

マイクロプラスチックは、スクラブ洗顔料や歯磨き粉にも入っていることがあります。これは0.5mm以下のプラスチック粒子でマイクロビーズと呼ばれ、欧州の化粧品業界はマイクロビーズ商品を排除、アメリカでは2018年6月に販売が全面禁止になります。日本でも化粧品企業が自主規制に踏み込んでいますが、法規制にはいたっていません。また、フリース、アクリル、ポリエステルなどの合成繊維を洗濯するたびに汚水に流れるプラスチック繊維は年間100万トンにのぼると推測されています。

こうしたゾッとするような調査結果は氷山の一角で、プラスチック製品が地球と人体に与える影響の全容はまだ明らかになっていません。ドイツでは、調査対象となったビール24銘柄、蜂蜜と砂糖にもプラスチック繊維と破片が見つかりました。2015年、パリでは毎年10トンものプラスチックが繊維となって街に降り注いでいることが明らかになりました。もう地球上どこにいてもプラスチックからは逃れられないのかもしれません。

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あまりの規模の大きさに無力感を感じるかもしれませんが、まずはプラスチックを含む製品はできるだけ買わない、使わないというところから行動を始めるしかないでしょう。