コンドームの替わりになるか:新たな男性の避妊方

日本で最もポピュラーな避妊方法はコンドームで、第2位はなんと避妊方法としては全く論外の膣外射精だそう。第3位はオギノ式、そして比較的確実な避妊方法である経口避妊薬ピルは、全体の4.2%に留まります。

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日本ではピルは保険の対象ではないので、女性は毎月4〜5千円程度支出しなければならず、副作用への懸念も完璧には払拭できないため普及に歯止めがかかっています。コンドームは安くて簡単な避妊方法ですが、不確実性が高いのも事実。2015年の調査では日本の中絶数は17万件を超えており、望まない妊娠を防ぐ確実な避妊方法が求められています。

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アメリカの非営利団体パーセマス財団は、現在コンドームやパイプカット(精管切除)に代わる男性の避妊方法を開発中です。精管内にヴェイサルジェルと呼ばれるジェルを直接注入するというものです。

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精管内に注入されたジェルは、バリアを形成し、精子をブロックしますが、その他の液体は透過するので射精は可能です。ジェルは溶液を注入することで溶けるので、パイプカットとは異なり、子どもを作りたいと思えば再び作ることができます。

実は男性用経口避妊薬の開発は1950年代に始まったものの、いまだに実用化に至るものは生み出されていません。生殖能力とは関係のない厄介な副作用が伴う場合があり、効果にもばらつきがあるためです。

現在、ヴェイサルジェルは動物実験中。ジェルを注入した16頭のオスのアカゲザルは、それぞれ繁殖期に3〜9頭のメスと交尾をしたものの、妊娠は1件もなかったそうです。16匹中7匹は計2年間にわたってメスと暮らしたものの、妊娠はありませんでした。

現在わかっている限りでは、ジェルが不適切な箇所に注入されたことで精子が漏出した精子肉芽腫が1件、サルで発生していますが、これはパイプカットでも起こることがあります。

ヴェイサルジェルは、ウサギ、サルへの実験も無事パスし、できるだけ早い実用化に向け、2018年には人体での実験が開始される予定です。

ヴァイサルジェルは、数年間は効力を維持するため、短期的な利益を重視する製薬会社にとっては厄介な存在となる可能性があります。パーセマス財団の創業者で医学研究所ディレクターのエレイン・リスナーは、こう語っています。「製薬会社にとってこの避妊方法は悪夢です。世の男性にとって理想的なのは、安くて長期間作用型の薬ですが、製薬会社の理想は高価で短時間作用型の薬なのです」

女性に比べ男性の確実な避妊方法が少ない現在、ホルモン剤のような副作用もなく生殖機能を戻すこともできるヴァイサルジェルが実用化されれば、望まない妊娠をさらに防ぐことができるでしょう。

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