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Lifehacks

普段何気なく渡っていた地元の横断歩道がテレビで大きく報道されていた。 事故かと思っていたら衝撃の事実を知ることになった

今やニュースで耳にしない日はない交通事故。しかし昨年2019年は驚くべきことに全国の交通事故死者数は3215人と過去最少を記録。これは交通事故死者数の統計が残る1948~2019年の間で最も死者数が少なく、2018年と比較すると317人減。

このような交通事故の年間発生件数や死者数の話になると、必ずといっていいほど話題に上がるのが愛知県。2003年以降、県内での交通事故による死亡者数が16年連続で日本ワーストを記録。その事故件数の多さから、交通マナーの悪さを揶揄して「名古屋走り」なんていう汚名も存在するほど。しかし2019年、愛知県はついに日本ワースト脱却を達成したのでした。

交通事故件数削減への取り組みに力を入れる愛知県。県警は15年に導入した「交通事故分析システム」を使い、事故が起きやすい場所や時間帯を絞った取り締まりを実施。2018年には68年ぶりに交通事故死者数を100人台まで減少させることに成功しました。

また2019年からは毎月11日を「横断歩道の日」に指定するなどし、横断歩道における歩行者の安全確保により一層力を入れているそうです。

そしてさらには、他県にはない独自の取り組みを展開していました。それがこちら。

一見普通に見える交差点の上空撮影写真。しかし、よく見るとそこには斜めに整備された横断歩道が。

この斜め横断歩道にその秘密は隠されていました。横断歩道を斜めにする事で平行・鈍角に設置されている場合に比べて運転者が横断中の歩行者、自転車を確認するための視野角が狭くなり、横断者が発見しやすくなるという利点があるとのこと。

これまでに愛知県内で発生した交通事故のうち、交差点関連の事故が半数を占めていました。それを受け愛知県警は、横断中と右左折時の事故を削減する事が全体の事故件数の削減につながると考え交通工学の専門家による調査研究を実施し、このような斜め横断歩道の設置に至ったそうです。

この斜め横断歩道の角度は約12度。12度の理由は、横断歩道の設置角度と人身事故との関係を既設の横断歩道で検証し、概ね12度付近で事故件数が少なくなっている傾向があったという理由から。

実際に交差点でその横断歩道を見ても違和感はありません。(下の写真左の奥が鋭角横断歩道)

このような鋭角の横断歩道に再整備した交差点での事故件数が全体で17件発生していたものが8件まで減少したという結果も出ているそう。斜めにした事で歩行者の横断歩道上での滞在時間は長くなったものの、歩行者の安全性を高めることに成功した愛知県。平成24年に初めて設置したのを皮切りに、平成30年末までで32箇所にこの鋭角横断歩道が設置されました。別の交差点がこちら。

車を運転する際は、視野が広い方が広範囲を見渡せ安全なのでは、と一見思いがちですが、逆に狭くした事でより歩行者や自転車を発見しやすくするという発想に、なるほどと頷けます。

愛知県警は今後も歩行者が横断中の交差点での事故発生の実態や、右左折車両の通行実態等を踏まえ、効果が認められる交差点に鋭角横断歩道を設置していくとのこと。

高齢化の進んだ日本では近年、高齢者による交通事故が多発しています。また、公共交通機関が充実している都市部と違い、田舎住まいでは車のない生活は考えられなくなってきています。安全装置を備えた車だけでなく、このような環境面からのアプローチが今後の交通事故削減に大きな役割を果たしていきそうです。