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【着飾るためなら死も覚悟!?】ビクトリア時代の驚愕ファッション

ビクトリア時代は、イギリスのビクトリア女王の治世(1837〜1901年)で、産業革命によって経済が発展したイギリス帝国の絶頂期。日本で言えば江戸時代の終わりから明治の中頃まで。それほど昔の話ではありません。

この時代はファッションにも大きな変化がみられ、特に女性の服は度を越すほど手が込んでいました。失神するまで締めあげるコルセット、人毛のアクセサリー、股が縫いあわされていない下着など、現代の感覚では考えられない驚愕のファッション史を振り返ってみましょう。

1. コルセット

コルセットは20世紀まで欧米のファッションに不可欠な要素でした。女性はウエストが細ければ細いほど美しい考えられており、女性たちはコルセットで体を強烈に締め上げていました。この絵は、コルセットによる長期的な解剖学的変化を示した図。これが女性の身体にいいわけありませんよね。実際にコルセットのせいで失神したり、ときには亡くなる女性もいたそうです

Wikipedia

2. 着ると死ぬグリーンのドレス?

当時、「パリ・グリーン」や「シェーレ・グリーン」と呼ばれる鮮やかな緑色の顔料が衣服、壁紙、玩具などの染料として人気を博していました。ゴッホなどの画家たちにもとても人気があったこの顔料、実はヒ素が含まれており、高湿度、摩耗、特定の真菌などの条件で中毒を引き起こすことがわかっています。染料として禁止された後も、船舶の保護コーティングや殺虫剤として使われました。

3. 鳥の死骸付きの帽子

ビクトリア朝前後のヨーロッパでは、帽子の上に鳥の羽をたっぷりつけるのが大流行。ついには丸ごと剥製の鳥で帽子を飾る人まで登場しました。当時、帽子を飾るためだけに多くの鳥が犠牲になり、絶滅した鳥もいたと言われています。

4. 空前の虫ブーム

日本では飛鳥時代の玉虫厨子が有名ですが、ヨーロッパではビクトリア朝あたりに空前の昆虫ブームが起こります。写真は、甲虫の色鮮やかな羽を使った刺繍。昆虫の羽をあしらったアクセサリーやドレスまで作られたそうです。ビクトリア女王が職人たちにモルフォ蝶の羽でアクセサリーをたくさん作らせたこともよく知られています。

5. 人毛のアクセサリー

ビクトリア時代には、愛する人や友人の髪を使ったブローチが人気のジュエリーでした。愛する人や故人の一部を身につけていたんですね。人毛はほとんど劣化しないため、写真のように、今も当時の人毛アクセサリーの多くは美しい状態のまま残っているそうです。

6. ドレスを着た少年と殺人瓶

ビクトリア時代には、4、5歳までは男の子もドレスを着ていました。当時は幼少期に亡くなる子どもが多かったことから、死神の目を欺くために女装させたとか。ところで、写真の男の子が手にしているガラス製哺乳瓶。当時は「ママのダーリン(Mummies Darling)」などの商品名で販売されていましたが、構造がお粗末で、衛生状態の悪さが災いして多くの死者を出し、後に「殺人瓶(Murder Bottles)」と呼ばれたそうです。

7. 股の部分があいた下着

ビクトリア時代の女性は脚を見せてはいけないとされ、くるぶしが少しでも見えると恥であったため、足の先まですっぽりかくれる長いスカートをはいていました。ですからトイレも一苦労。毎回おろす必要がないように、下着の股の部分は縫われておらず、穴が空いていました。現代日本でも、和装用のパンツとして同じ構造のものが売られているそうですよ。

8. クリノリン

クリノリンは、スカートを膨らませるために発明された骨組みとなる下着です。鋼鉄の針金や鯨のひげ、馬の毛などで作られました。当時、クリノリンが流行ると、裾が大きく広がったスカートがモードになり、女性たちは8メートルものクリノリンをつけてサロンに出向いたそうです。もちろん、そんなものを身につけていては、動きが制限され、人に近づくこともできず、大変だったようです。ランプや暖炉の火を引火したり、ひっかかって転倒したり、事故が絶えず、一説には年間3000人もの人がクリノリンのせいで死亡したとも。

9. 喪服

喪服はビクトリア朝のファッションで特別な役割を果たしました。というのも、近しい人が亡くなると、1年以上もの間、黒い服を着ることが決められていたのです。特に女性は、喪服を着る期間が長いほど故人への愛が深いとされ、賞賛を受けました。ビクトリア女王は、夫が亡くなってから40年間、喪服を着ており、多くの人がこれを手本にしたと言われています。

今から100年少し前のヨーロッパで、現代では考えられないほど不条理で、危険で、時には死を招くファッションが流行っていたとは驚きです。豪華絢爛なふんわりドレスにちょっぴりの憧れはあっても、タイムトリップするのは遠慮したい時代ですね。

プレビュー画像:©︎ Wikipedia

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