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ヘルスケア

【冬は特に注意】ビタミンD不足が引き起こす心身への影響

冬の期間は日照時間が短く、寒い地域では雪雲に覆われた日々が続くことで、ビタミンD不足になりやすい季節と言われています。

ビタミンDといえば、カルシウムを吸収するために必要な栄養素。「骨を丈夫にしてくれる」「骨折予防」と連想する人が多いのではないでしょうか。

そのとおり、ビタミンDは骨や筋肉を強くするのに欠かせない栄養素です。しかし、それだけでなく実はさまざまな点において体の健康維持に役立っているのです。

では、ビタミンDは具体的にどのような作用を持ち、不足した場合にはどんな症状が現れるのでしょうか。

ビタミンDの役割

骨を丈夫にする

ビタミンDは、肝臓や腎臓で活性化されて、腸管からのカルシウムの吸収を促進する働きを持っています。これにより、血液中のカルシウムの濃度を高めて、筋肉や骨を丈夫にし、骨折を予防すると考えられています。

・免疫機能の調節

ビタミンDには、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して、過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する作用があります。そのため、かぜやインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症・悪化の予防にも効果があると言われてます。その他にも、がんや高血圧など、さまざまな生活習慣病を予防する効果も期待されているそうです。

うつ病の抑制

ビタミンDは、体内で重要な役割を果たす神経伝達物質の一つであるセロトニンの分泌を促進する働きを持っています。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、十分に分泌されることで、睡眠の質の向上やストレスの軽減に効果を期待することができます。

このようにビタミンDは、骨や筋肉、免疫機能、さらには神経の働きにも重要な役割を担っている栄養素なのです。

では、ビタミンDが不足すると私たちの体にはどのような変化が起きるのでしょうか。

タミンD不足が引き起こす症状

・骨折や骨粗鬆症

ビタミンD不足となると、骨や筋肉が弱くなる傾向があります。高齢者や更年期の女性は特にビタミンD不足になりやすく、骨粗しょう症や転倒による骨折で寝たきりなどの要介護につながってしまうこともあるそうです。

・爪や肌の乾燥や低カルシウム血症

あまり知られていませんが、ビタミンD不足によりカルシウムが十分に吸収できなくなると、骨や筋肉への影響だけでなく、皮膚の乾燥や爪がもろくなると言われています。冬は乾燥や家事で手がカサカサ、爪も割れやすいと感じている人がいるかもしれませんが、もしかしたらビタミンD不足によるものかもしれません。

また、さらに症状が進むと、低カルシウム血症となり、背中や足に強い痛みを伴うけいれんが起こりやすくなります。重度の場合には全身のけいれんを起こして意識を失ったり、呼吸困難に陥ったりするケースもあるそうです。

・インフルエンザなどウイルス性の感染症にかかりやすくなる

血液中のビタミンD濃度が低くなると、免疫機能の調整が難しくなり感染症にかかりやすくなります。日本で2008年~2009年にかけて行なわれた、ビタミンDとインフルエンザの感染に関する調査結果で、ビタミンDを摂取している人ほどインフルエンザの発症率が低くなることがわかっています。

・うつ病や認知症

ビタミンDにはセロトニンの分泌を促進する働きがあることはすでに記載しましたが、セロトニンは脳内の神経伝達物質ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑制する働きも持っています。これら神経伝達物質のバランスが崩れてしまうと、うつや不安・パニック状態につながってしまう恐れがあるのです。

また、ビタミンDは認知症とも関係があると言われています。認知症の原因の一つが、アルツハイマー病です。アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積されることで、情報伝達を司るシナプスに弊害を及ぼし、記憶障害を引き起こし、認知機能の低下を招くと考えられています。

アルツハイマー型認知症では、記憶を司る脳の海馬において、脳の老化防止・活性化を導くタンパク質や、脳内神経回路の形成に関わるタンパク質が欠乏状態に陥っていると言われています。ビタミンDはこれらのタンパク質の合成を促すことがわかっており、ビタミンDが不足することで、認知症の発症リスクを高めてしまうと言われています。

心身の健康をサポートするビタミンDですが、摂取量は若い年代や女性において不足していると言われています。

若い人や女性に多いビタミンD不足

ビタミンDの1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに8.5μgと設定されていますが、令和元年の厚生労働省の調べによると1人1日あたりのビタミンD摂取平均量は6.9μgとの結果が報告されており、摂取量が不足していることが分かります。また、ビタミンD不足は特に若い世代や女性で多く見られるそうです。

ビタミンDは紫外線に当たることで体内で生成することができますが、日照時間の少ない冬などは、食物からも積極的にビタミンDを摂取すると不足しがちなビタミンDを補うことができます。

ビタミンDの摂取方法

・食物

ビタミンDを効果的に摂取したいという場合は、天日干しのしいたけやきくらげ、鮭、いわしなどの魚類、卵黄などに多く含まれているので、これらの食材を毎日の食生活に取り入れるとよいでしょう。

・サプリメント

サプリを利用する場合は、容量に気をつけて取り過ぎないようにしましょう。

日光浴

先にも記載したように私たちの体は、日光浴をすることでビタミンDを体内で作ることができます。日光浴は午前中に行うとセロトニンを増やしやすいほか、体内時計も整います。

1日20分程度、日光に当たることで体内でつくることができるので、散歩やウォーキングなど、天気のいい日には気分転換も兼ねて外に出ると良さそうです。なお、日焼けによるシミやシワが心配なときは、手のひらを日光に当てるだけでも効果があります。手のひらは体の他の部位と比べるとメラニン色素が少なく、日焼けのリスクが低いので、日焼けが気になる方にも最適です。

※ビタミンD摂取で気をつけたいこと

ここまでビタミンD摂取の必要性についてご紹介しましたが、取りすぎにも注意が必要です。ビタミンDは脂溶性で、水に溶けにくいビタミンであるため摂りすぎた分も体内に留まり、高カルシウム血症や腎障害を引き起こしてしまう可能性があります。通常の食生活でこのようなことはなかなか起こりませんが、サプリメントなどでビタミン剤を利用して摂取をする場合は、容量を必ず守り注意するようにしてください。

ビタミンDが影響するさまざまな心身への影響、この時期の手荒れやカサカサももしかしたらビタミンDによるものかもしれません。不足しているかも…と思い当たる方は、積極的に摂取するようにしていきたいですね。

プレビュー画像:©︎Twitter/kmsm327
出典:プレジデントオンライン, 全薬工業株式会社, 健康長寿ネット