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その他の豆知識

ボタン電池を誤飲した女の子|ハチミツで一命を取り留める

事故や急病といった緊急事態が発生したとき、ほんのわずかの対応の違いが命を左右することがあります。

アメリカ・オハイオ州に住む3歳のマギー・ヤコブセンは、今年8月ボタン電池の誤飲によって命の危険にさらされました。しかし、彼女を救ったのは母親の的確な判断とハチミツでした。

マギーの誤飲事故が起きたのは、母親ケイティの誕生日パーティの日でした。41歳の誕生日を家族とともに祝うため、食事を注文したケイティでしたが、マギーがケイティのもとにやってきて自慢げに説明をしたのだそうです。

「今、これを飲み込んだの!」

心配したケイティはマギーに何を飲み込んだのか確認したところ、マギーの答えはケイティの予想を超える恐ろしいものでした。

「このピカピカしたやつ!」

「ママ、マギーにハチミツをあげて!」

マギーがいう「ピカピカしたもの」というのは、ボタン型のリチウム電池だったのです。マギーはおもちゃの人形に入っていたボタン電池を取り出し、口に含み飲み込んだようでした。ボタン電池の誤飲が小さな子供の命に関わることを知っていたケイティは、真っ青に。

ケイティがすぐさまマギーを病院へ連れていく準備をしている間、マギーの姉である16歳のエヴァは、毒物管理センターのサイトでボタン電池の誤飲の応急処置について検索、マギーにこう伝えたのです。

「ママ、マギーにハチミツをあげて!ハチミツって書いてある!」

偶然にも、誕生日パーティ用に注文していた食事には小さなハチミツのパッケージがいくつか同封されており、2人はサイトに記載されているように、マギーに一定時間ごとにハチミツを与えながら病院へ向かったのでした。

病院へ着くとマギーはすぐに処置室へ。検査やレントゲンの結果、ケイティは医師から事態が深刻でないことを伝えられたそうです。医師によると、電池は食道を通り胃にまで到達していましたが、体内に大きな損傷を与えてはいなかったとのこと。その結果、緊急手術の必要はなく、マギーは翌日には退院することができたのです。

「病院で過ごした一晩はマギーの体調に何の異変もなく、翌日元気に帰宅できた時は本当にほっとして胸をなでおろしました」とケイティはその時の心境を振り返っています。

医師によると、ボタン電池を誤飲したにもかかわらず事なきを得たのは、ハチミツのおかげだといいます。ケイティは、「病院の先生たちは、マギーにすぐさまハチミツを与えたことがよかったと何度も口にしていました。ハチミツがボタン電池を包み込み、食道に止まるのを阻止してくれたんです」と病院での出来事を説明しています。

ボタン電池の誤飲にはすぐにハチミツを与える

小さな子供のボタン電池の誤飲は、非常に危険です。誤飲した電池が食道に詰まってしまうだけでなく、電池が食道の粘膜に反応してしまう危険もあります。そうなると食道穿孔の危険があり、命に関わるような重症に至るケースも少なくありません。

ハチミツは粘性があり、ボタン電池を包み込み、体内で粘膜と反応し臓器を傷つけてしまうという事態を防ぐ役割をしてくれます。さらにハチミツは弱酸性であることから、リチウム電池による食道組織のアルカリ化を中和する作用があり、食道をはじめ体内で起こりうる重度のやけどや組織の壊死などの合併症を防ぐために効果があるといわれています。

そのため、子供がもし誤飲をしてしまった場合は、病院で処置を受けるまで、10分間隔で10ml(小さじ2杯)のハチミツを与え続けることが推奨されています

注意:

①誤飲は一刻を争う危険な事故です。誤飲の疑いがある場合は、直ちに救急車を呼び医師による処置を受けるようにしてください。ハチミツはあくまで事態の悪化を防ぐための応急処置です。

②子供がハチミツにアレルギーがあったり、1歳未満の乳幼児の場合は、乳児ボツリヌス症の危険性があるため、ハチミツは絶対に与えないでください。

子供によるボタン電池の誤飲は、世界中で起きており日本でも消費者庁と国民生活センターがボタン電池誤飲について警告をしています。
2017年には、一般社団法人電池工業会はガイドラインを設け、各社ボタン電池等のパッケージは子どもが手で開けられないような仕様に変更がされているとのこと。

他国においても、誤飲防止に向けさまざまな取り組みがされていますが、残念ながら小さな子供が命を落としてしまう事故が発生しています

誤飲をした時の症状

子供がボタン電池を誤飲したかどうか疑わしい場合は、以下の症状が現れるといいます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 咳や発熱
  • 呼吸が苦しそう
  • 唾液の増加

子供の誤飲は、大人がほんの少し目を離した隙に起きてしまいます。万が一、疑わしいと思った場合はすぐに病院へ行くようにしてください。

政府広報オンラインが紹介している子供の誤飲事故に関してはこちらのページで詳細の情報を確認することができます。

ボタン型のリチウム電池の写真です。
©Pixabay/2427999

16歳のエヴァの助けもあり、マギーの命を救うことができたケイティ。誤飲による痛ましい事故が1件でも減って欲しいという思いから、Facebookでマギーの誤飲事故、そしてハチミツを使った応急処置について紹介をしています。今後、子供の誤飲事故が1件でも減っていくことを願ってやみません。

小さな子供に起こる危険が高い「誤飲」については、以下の記事もあわせてご覧ください。

出典: lovewhatmatterstoday
プレビュー画像: ©Facebook/Katie Jacobsen