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世界のブルータリズム建築12選
ブルータリズム建築は戦後の復興に合わせて、世界中に建てられた建築スタイル。打ちっぱなしのコンクリートによる幾何学的な形が特徴で、1950年代から1980年代にかけて隆盛しました。
ブルータリズム建築の特徴のひとつは、安価な工業材料であるコンクリートやガラスを素材のままに意図的に使用していること。そんなブルータリズムの建築物の老朽化もあり、近年、これらの建物を保存すべきか解体すべきかが大きく取り沙汰されています。
ブルータリズム建築の支持者や建築史家は、この建築物が芸術的にも歴史的にも存在意義のある「空間の彫刻」として理解されることを望んでいます。古いものをすべて取り壊してしまうと、都市は「画一化」されてしまうというのが彼らの主張です。
一方、ブルータリズム建築の取り壊しを求める人々は、この灰色の巨大建築物の美的価値が低いことを理由にしています(もちろんそれには議論の余地があります)。また、機能面で現代の都市景観に合わなくなったことも指摘されています。
この記事では、そんな議論の只中にあるブルータリズム様式で建てられた世界的に有名な建物を紹介しましょう。
世界のブルータリズム建築12選
1. ロウリーウェイ(ロンドン/イングランド)
戦後、英国で活躍した米国人建築家ニーヴ・ブラウンによる低層集合住宅ロウリー・ウェイ(正式には アレクサンドラ&アインスウォース・ステート)は、1970年代に建てられたテラス式集合住宅、風通しの良い明るい住宅を提供することを目的として建てられました。
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2. ユニテ・ダビタシオン(マルセイユ/フランス)
ユニテ・ダビタシオンは、近代建築の巨匠であり、ブルータリズムの創始者と言われる建築家ル・コルビュジエが設計した一連の集合住宅。「垂直都市」のアイデアを実現したもので、地階部分はピロティ、中層階にはレストランや郵便局などがあり、屋上には庭園や遊び場のある公園、プールが設けられています。
3. ノートルダム・デュ・オー礼拝堂(ロンシャン/フランス)
1955年に建てられたこの礼拝堂もル・コルビュジエの作品。シェルのような造形はコンクリートだから実現したと言えるでしょう。
4. ロマニータ(チシナウ/モルドバ共和国)
タワー住宅「ロマニータ」は、建築家オレグ・ヴロンスキー氏が設計し、1986年に完成しました。
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5. ヘイワード・ギャラリー(ロンドン/イギリス)
一見、立体駐車場のようにも見えるこの建物は、1968年にオープンしたロンドンの美術館ヘイワード・ギャラリーです。
こちらはヘイワード・ギャラリーの階段です。
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6. 鶏足と呼ばれる集合住宅(サンクトペテルブルク/ロシア)
ヴィタリー・ソーキンの設計によるこの柱の上に立つ建物は、1988年に完成した4連の集合住宅の1つです。
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7. バービカン・エステート、ロンドン/イギリス
バービカン・エステートは、ロンドンの中心部に位置するマンモス団地で、約2,000戸の住宅で構成されています。1970年代に完成したこのアパートは、優れた住環境設計と凝ったディテールにより、今も高い人気を誇っています。
近くで見るとディテールの美しさが際立ちます。
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8. サイバネティクス研究所(サンクトペテルブルク/ロシア)
1987年に建設されたサイバネティクス研究所は、まさに宇宙的な建物。建築物が日常生活にインスピレーションを与えることができることを示す好例です。
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9. コートウェイクラジオ局(ヘルダーラント/オランダ)
この静謐で印象的な元ラジオ局の建物は1920年代に建設されました。2004年製作の映画「マインドハンター」で使用されています。
10. ソーク研究所(サンディエゴ/米国)
ソーク生物学研究所は、1960年代に建築家ルイス・カーンの設計により建設されました。
この視点で見ると、この建物がアートとしても素晴らしいことがよくわかります。
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11. ガイゼル・ライブラリー(サンディエゴ/アメリカ)
1970年にオープンしたガイゼル図書館は、コンクリートが重厚であると同時に繊細であることを教えてくれる存在。その形状は、上空に向かって伸びる木を連想させます。
12. パンジャブ・ハリヤナ高等裁判所、チャンディガル/インド
チャンディガルにある高等裁判所の建物は、コンクリートと色のついた壁の組み合わせが特徴的で、こちらも巨匠ル・コルビュジエのデザインです。
冷たく荒々しいと形容されることが多いブルータリズム建築ですが、その威厳ある佇まいやSF的造形に魅せられる人がいるのも分かりますね。ブルータリズム建築の今後にも注目していきたいです。
プレビュー画像: ©Flickr/Ádám Szedlák
