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Lifehacks

子供の読解力低下から考える|文章を正しく理解することの重要性

昨今日本の子供たちの読解力の低下が問題視されています。2018年に発表された「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の著者で国立情報学研究所教授の新井紀子さんは、多くの子供たちが教科書を正しく読めていないと指摘しています。算数の計算問題は解けるのに、文章題になると問題文を正しく読むことができず分からなくなる子供が多いのだそう。

では一体なぜ文章を理解できていない子供たちが増えているのでしょうか。

文字が読めること=読めるではない

日本では初等教育の純就学率は男女ともに100%、そのため識字率についても世界でも上位の水準と言われています。義務教育を受けた子供たちは、ひらがな・カタカナ・基本的な漢字を問題なく読めますが、これは識字であり、文章の意味を理解しながら「読む」ということに必ずしも当てはまるわけではありません。文章を読み、正確に意味や内容を理解できて初めて「読めた」と言えるのです。

読解力低下につながったのは現代ならではの原因

子供たちの読む力が落ちた理由としてあげられるのが、スマートフォンの普及。これにより読書離れが進んだこと、またSNSやメッセージアプリなどを通じたコミュニケーションにより単純で短い文章でのやりとりが増えたことから、語彙力・文法力などが落ちていると言われれいます。

語彙力や文法力が育たないままの状態では、文章に書いてある事実を正確に読み取ることができず、算数、理科、社会などの教科書や問題を解くことができません。これが冒頭にあげた「算数の計算問題は解けるのに、文章題になると分からない」現象を引き起こしているのです。また、従来の国語教育では、物語に出てくる登場人物の心情読解に力を入れており、文章の意味を正確に読み取るという力とはまた別のものだと言われています。

正解率の低さに驚かされる問題たち

ではここで、SNSなどで紹介され話題となった「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の問題を5つご紹介します。正解率はどれも30%〜60%。それだけ、正しく文章が読めない子供が増えていることを指摘しています。皆さんも実際に解いてみてください。

1. Alexandraの愛称は…

[email protected]

正解は①。こちらは語彙力の不足から「愛称」が理解できず、飛ばし読みした結果、意味の通じる「Alexsandraは女性である」という答えに至ったのではと言われています。

2. セルロースは…と形が違う

[email protected]

答えは①のデンプンです。中学生の正解率は14%でした。

3. 同義文判定、2つの文は同じ意味?

[email protected]

答えは「異なる」です。こちらは正解率57%だったそうです。

4. 文の内容を表す図は…

Twitte[email protected]

正解は①、中学生はなんと19%の正解率でした。

5. 文章の内容を正確に把握しているかどうか…

[email protected]_hato

答えは1. ○、2. ×、3. ×。⑴は正しいですが、⑵においては「女の子は誰も帽子をかぶっていない」とは言っていないため、×に。⑶も、「スニーカーを履いている男の子は一人もいません」という文と合わせても、「帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている女の子がいる」可能性を否定できないため、×という答えが出てきます。こちらは大学生で正解率67%でした。

読解力の重要性と未来

文章の意味を正しく理解するということはいつの時代も大切ですが、現代の子供たちが若手として活躍する2030年代には事務職のおよそ半数がAI(人工知能)に代替されることが予想されるとも言われています。「AIに取って変わられる仕事」と聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。座ってパソコンの前で作業する事務仕事や現場作業を行う仕事がそれにあたると言われています。

AIが苦手とするコミュニケーション能力やクリエイティブ性、データ解析できない感覚的なことや臨機応変さも大切ですが、デジタル化が進み多くの分野で理系の知識や理解能力が必要とされることが予想されています。これらを学ぶ上で、文章を正しく理解し読むことができる読解力がカギとなってきます。子供の読解力向上には、語彙力の強化や、文中に出てくる言葉の意味や定義をそのつど区別、確認していく精読をしていく必要があります。

スマホやパソコンが普及し、便利になった現代社会では、読解力の低下はもしかしたら子供に限ってのことではないかも知れないですね。

今回紹介した新井紀子さんの著書が気になる方はこちらから。

プレビュー画像:©︎Twitter/oakleyfreak1