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イタリア・フィレンツェで見かけたストリートサインアート

道路標識は、現代の私たちの暮らしを支える大切なツールの一つ。人々が安全に道路を利用するための事故回避や案内のための道路標識ですが、場所によっては道路標識だらけのこともありますよね。

そんな状況は日本だけではなく、世界中同じようです。イタリア・フィレンツェ在住のフランス人アーティスト、クレ・アブラハムがストリートサイン(道路標識)アーティストとして知られるようになったのは2010年から。クレは街で見かける道路標識を、本来の機能や意味を失わせず、独自のユーモアでアート溢れるサインに変えてしまうのだそう。

見つけるのが楽しくなる!フィレンツェの街で見かけるストリートサインアート

「道路標識の色使いやシンプルなサインは好きですが、メッセージ性に弱く人間味が感じられず、そこが好きではありません」

クレは道路標識への独自の思いをあるインタビューでこのように話しています。そんな考えから、クレは本来の意味や機能を保たせたまま、道路標識をもっと人間味あふれ、伝わりやすいものにしようと、剥がせるタイプのシールを使ったストリートサインアートをはじめたのでした。トスカーナ地方の首都であるフィレンツェの街では至るところでクレのアートを見かけることができます。また、ヨーロッパの他都市やニューヨークにも活動の幅を広げているそうです。

侵入禁止サイン1
©Media Partisans

侵入禁止のサインであるこの道路標識。上の作品では運転手の姿が見え、このサインが車を運転する人向けのものであることがわかります。しかし、下のサインでは、侵入禁止という意味を「鍵」のモチーフを使い表現しています。

侵入禁止サイン2
©Media Partisans

1966年にフランスで生まれ、レンヌで芸術を学んだクレは、ストリートサインアートで街の景観を豊かにしたいと考えています。

侵入禁止サイン3
©Media Partisans

多くの人は、自治体に歯向かっているのではと思うようですが、罰金など課されたのはこれまでにたった1回だけとのこと。

侵入禁止サイン4
©Media Partisans

アートを施した道路標識によって、街の道路交通に支障がきたされることはないとクレは考え、またそうならないよう気をつけています。

「ストリートサインアートに使うシールは剥がせるタイプですし、アートを施すことでもっと見やすくなります」

侵入禁止サイン5
©Media Partisans

また、ここでは飲酒運転をするとこんな風にサインが歪んで見えるという警告の意味も含めています。

サイン6
©Media Partisans

クレのアートは交通事故軽減にもつがなる?

「交通心理学の観点からも、車を運転する上で『単純や慣れ』ということが、注意力散漫となり交通事故につながると言われています」とクレはさらに付け加えています。

侵入禁止サイン7
©Media Partisans

フィレンツェの街角で見かけるクレのアートは、見て楽しいだけでなく、ドライバーの注意を引くという役割も持っていたのです。

侵入禁止サイン8
©Media Partisans
サイン9
©Media Partisans

クレが道路標識にアートを施すのは、人目につかない深夜なのだとか。

侵入禁止サイン10
©Media Partisans

また、クレはアートを施す前にしっかりと事前にその場所に何があるのか下調べもしています。例えば、下のサインはフィレンツェの街中のハードロックカフェがある場所に設置されているサインです。

侵入禁止サイン11
©Media Partisans

しかし、残念ながら時としてクレが施したアートの上にさらに何者かによってシールなどが貼られてしまうこともあるそうです。

侵入禁止サイン12
©Media Partisans

下のサインは、2輪車の通り抜けを禁止するサインです。UFOは2輪車ではないから通れるようですね。

サイン13
©Media Partisans

「道路標識に危害を加えるつもりはなく、アートでよりシンボルとして見やすくなればと思っています」

クレは、事前にデザインを精査し、道路標識が本来の意味を失わないように細心の注意を払って活動をしています。

©Media Partisans

こうしたクレのアート活動は、自治体によって対応は違うものの、多くの人々に受け入れられています。

サイン15
©Media Partisans

イタリア、フィレンツェの街角で見られるクレのアートは、利用者だけでなく街を訪れる観光客にとって見どころのひとつとなっているそうです。

文中でもクレが指摘したように、見慣れた標識や道路では、つい慣れから不注意になり事故を起こしてしまうこともあります。世界の他の国では、交差点にカラフルな絵を施し、ドライバーの不注意を減らす試みなどもされています。また日本でも自治体主導で、その土地の特色を生かした道路標識があったりもします。

アートの力で人々に働きかけるクレのストリートサインアート、みなさんはどう思いますか?

注意:日本では道路標識は国や自治体の所有・管理のため、アートであったとしても器物損壊罪や道路交通違反の可能性があります。絶対に真似はしないでください。

出典: fazbluhmsysteme
プレビュー画像: ©Media Partisans