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ヘルスケア

意外と怖い|エノキの生食に潜むリスク

旨味成分のグルタミン酸やグアニル酸を多く含み、旨味が強いキノコとして知られるエノキ茸。

鍋の季節はもちろんのこと、炒め物やお味噌汁に入れて年中楽しむことができます。旨味だけでなく、低カロリーで食物繊維やビタミン・ミネラル類がたっぷりなエノキは、健康維持やダイエットにも嬉しい食材です。

そんなエノキですが、実は食べる時にあることに注意が必要だと知っていましたか?

エノキは必ず火を通して調理してから食べる

エノキの肉巻きやスープ、バター炒めにお鍋など、家庭でエノキを食べる時は調理をして食べることがほとんどです。

ですが近年では、栽培技術の進歩により生食で食べる事ができるエノキも開発され、レストランなどで生食可能なエノキを利用したエノキサラダが提供されることがあります。

そのため、「エノキって生で食べれるんだっけ?」と思ってしまいそうですが、家庭でスーパーで買った普通のエノキを生で食べるのはとても危険。というのも、エノキの生食には食中毒など、健康被害を引き起こすリスクがあると言われているのです。

エノキが生食に向かない理由

1.毒性たんぱく質「フラムトキシン」を含んでいる

生のエノキにはフラムトキシンというタンパク質が含まれています。しかし、このタンパク質は赤血球を壊してしまう溶血作用を持つ毒性物質と言われています。特にO型赤血球に作用するとされ、赤血球の細胞膜が破壊されると、人体へ酸素を運ぶヘモグロビンが流れ出します。そうなると、酸素を人体に上手く供給する事が出来なくなり重い貧血症状を引き起こしてしまいます。

ただし、フラムトキシンは熱に弱い性質のため、しっかりと加熱調理すれば問題はありません

2.食中毒の原因菌「リステリア菌」に感染している可能性がある

リステリア菌とは、河川から植物や動物の腸内にまで幅広く分布する菌で食中毒を引き起こすとされています。そのため、エノキが発育する際に水や菌床から、リステリア菌に接触している可能性があると言われています。リステリア菌による食中毒は、悪寒・発熱と言ったインフルエンザに似た症状が現れた後、重症になると敗血症、細菌性髄膜炎や流産などを引き起こすと言われています。

健康な大人であればあまり重症化することはありませんが、妊娠中の方や高齢者の方、免疫機能が低下している方は特に注意が必要です。重篤なケースに至っては致死率が3割を超えるそうです。

生エノキが原因と考えられる食中毒は、2020年アメリカの疾病管理予防センターでも報告されています。発症者の中には亡くなったり、流産したりした方もいたようです。このリステリア菌も、加熱によって死滅させることができます。

エノキの加熱時間はどれくらいが安心?

エノキが引き起こす健康被害について紹介しましたが、原因となる物質はどちらも熱に弱いため、しっかりと加熱することで安心して食べることができます。

フラムトキシンは70度以上の熱で加熱処理すると無毒化でき、リステリア菌も熱に弱く菌自体は65度で2~3分で死滅すると言われています。

エノキを万が一、生で食べてしまったという場合、必ずしも全員に食中毒症状が現れるというわけではありませんが、食後体調を崩したりなどした場合は、医師の診断を受けるようにしてください。

シャキッとした食感がおいしく、つい生でもいけそうと思ってしまうエノキ。しかし、私たちがスーパーで手にする一般に流通しているエノキは、生食には向いていません。家庭などで、レストランで食べた生エノキサラダを真似するのは危険を伴います。エノキの生食に潜むリスク、注意をするようにしていきたいですね。

プレビュー画像:©︎Pinterest/まゆ吉 

出典:トクバイニュース, ヨセミテ, ちそう