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フランスの海岸で2人の男性が命を奪われた… 海岸に繁殖した海藻を除去すると恐ろしい真実が明らかになった

フランスのブルターニュ地方はオマール海老やカキなどの海産物をはじめ、ガレットやバターなどの特産品に恵まれ、美食の国フランスでも特に食べ物が美味しいことで知られる地域です。しかし近年、この地域の海岸線で起きている恐ろしい異変に住民たちの生活が脅かされています。

2019年7月、ブルターニュの海岸で、カキの養殖に携わる18歳の男性と70歳の年金生活者の男性の2人の遺体が発見されました。検死の結果、2人とも死因は溺死と判明。しかし、現場周辺に大量に繁殖していた海藻の下に事件の真相は隠れていたのです。

事件当時、現場近辺の海岸はオオバアオサと呼ばれる海藻の一種で覆われていました。実はこのアオサ、成長を終えると腐敗し人体に有害な硫化水素と呼ばれる毒ガスを発生することで知られています。

硫化水素は毒性が強く、空気中の濃度が800〜900ppmを超えると、ガスを吸い込んだ人は意識を失ったり、呼吸が停止したり、最悪の場合は死に至ることもあります。硫化水素は硫黄のような腐った卵に似た悪臭を放ちますが、多くの人はそれが有毒ガスとは気づかずに吸い込んでしまうのです。

地元の環境団体は、今回起きた2つの事件を腐ったアオサの放出した硫化水素によるものと断定。ブルターニュ地方で硫化水素を発生する海藻が大量繁殖している原因としては、この地域で行われている工場式農業経営を挙げ、農場で使われる肥料に含まれる硝酸塩が雨水などに混じって海に流れ出た結果、それが海藻の栄養分となり、藻の増殖を促していると指摘します。

気候変動や地球温暖化も海藻の異常繁殖に関係しているといわれています。通常、腐った海藻は管理当局によって回収されるそうなのですが、今年は量が多過ぎて回収作業が追いついていないそうです。

何らかの対抗策を早急に講じなければ、ブルターニュの美しい海岸線が悪臭と毒ガスを放つ緑の藻に完全に覆われてしまう日もそう遠くはないかもしれません。