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Lifehacks

【知っておきたい】視覚障がいを持つ人が白杖を使う時に音を鳴らす理由

街を歩いていると、白杖を利用している視覚障がいを持った人を見かけることがあります。

みなさんは白杖を持つ方に声を掛けられたことありますか?駅を歩いているときなど、段差やホームの危ない場所でハラハラして思わず声をかけた、またSOSのサインを目にして声を掛けたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、私たちの白杖に対する知識不足や誤解で、利用者が心を痛める、また危険な目に合ってしまうことがあると言われています。

みなさん白杖を持った方が歩いている時、白杖でトントンと叩きながら歩く理由をご存知ですか?

「白杖で音を出す理由を知って」と題されたこちらをご覧ください。

駅で白杖を持ち点字ブロックを叩きながら歩いていた女性は、他の利用客から「うるさい!」と怒鳴られてしまったそう。突然の出来事と怒鳴り声に、女性は体を震えながら謝罪をし、音を立たないよう点字ブロックをなぞるように歩き出したそうです。しかし、白杖で点字ブロックを叩いて音を出すという行為には、「周囲に自分の存在を知ってもらうため」という大切な理由がありました。

Twitter@seladadoqari

点字ブロックをトントンと叩く音、それが「うるさい」と怒鳴った人には、耳についた音だったのかもしれません。しかし、その音は白杖を利用する方が周囲の人とぶつからないようにするための大切なシグナル。仮に音を立てなかった場合、ぶつかってしまい怪我をするリスク、また電車のホームでぶつかった場合にはホームに転落するリスクなどが高くなってしまいます。

特に最近では、ながらスマホが増えていることから、点字ブロックの上に立ち止まっている人も増え、白杖利用者が歩いてきても気が付かないという事例も多く見られるようです。

白杖には様々な役割があります。障害物の有無や地面の状況、進行方向を把握し、衝突防止に欠かせないだけでなく、白杖を持っていることで視覚障害があることを周りの人に伝えるためのシンボルでもあります。また地面を白杖で叩いて聞こえる音の反響で、そこがどれくらいの広さの場所なのか空間を把握する役目もあるのです。

白杖が安全確認、またシンボルとしての役割ということを知っていたとしても、音を出すことにこのような理由があったことを知らなかったという方が多くいるのではないでしょうか。

また、多くの人が「白杖利用者はみんな全盲」だと誤解しています。

そんな思い込みから、利用者の多くがスマホを利用しているときに、見知らぬ人たちから「本当は見えているくせに」や「詐欺」など心ない声を投げられることがあるそうです。

白杖を持っている人の中で、全盲の方は約2割と言われ、目で見える範囲が狭い、色の認識が困難など、弱視の方も白杖を利用しています。目の見え方は人それぞれ違ってくることもあり、白杖を使う定義は明確ではありませんが、道路交通法では「目が見えない者に準ずる者を含む」として、全盲の人以外も含む視覚障がい者に対し、白杖の携行か盲導犬による歩行を義務付けています。また、同法では「道路の通行に著しい支障がある」場合は、肢体不自由や聴覚、平衡機能の障がい者も白杖を持つことができるとしていることから、視覚障がい者でない場合でも白杖を持っている事があります。

Twitter@arapanman

白杖を持つ人々に対し、「見えている」と誤解のもとになってしまいがちなスマホですが、スマホには文字の拡大や読み上げ、黒地に白文字への反転など、わずかに見える 視覚障害者に便利な機能が多く備わっています。最近では、視覚障がい者向けのアプリやスマホと連動して使う機器も発売されおり、スマホは日常生活をサポートしてくれる大切な存在です。

こうした白杖利用者への誤解を解くため、「白杖=全盲とは限りません」というストラップが販売されるなど、理解を求める活動も数年前から始まっています。しかし、視覚障がい者の方の中には、白杖やスマホを持って外出することに恐怖を感じてしまったり、実際に持たないまま外出をして怪我をしてしまったという方がいるそうです。

冒頭に紹介した新聞投書には最後に「1日も早く白杖を持つ人が気兼ねなく外出できる国になるよう切望する」と綴られています。誤解や偏見、認知不足で、白杖利用者にとっては窮屈と感じざるを得ない今の社会。一人一人が正しく知ることで、互いに寄り添うことができる社会になることを願います。もし、駅や道で白杖を利用している方を見つけた時は、視覚障がいのある方から援助を求めることは難しいので、積極的に声をかけていくようにしたいですね。

以前紹介した白杖利用者の方のSOSサインについての記事は以下をご覧ください。

現代では様々なサポートの仕方があります。ビーマイアイズというアプリでは、目の見える人々が、視覚障がい者・低視力の人の「目」になり、日常生活のお手伝いをすることができます。詳しくはこちらをご覧ください。

プレビュー画像:©︎Twitter/seladadoqari