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Lifehacks

大学生が作成した入寮パンフレット。しかしそこに書かれたものを見た多くの大人は衝撃を受けた

近年ニュースやネットで目にすることが多くなった「ハラスメント」と言う言葉。性別や年齢、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、または国籍といった広く人格に関する言動などで相手に不快感を与え尊厳を傷つけることを言います。昔からよく聞かれるのがセクシャルハラスメント、そして近年ではパワーハラスメントに始まり、マタニティハラスメントや就職ハラスメントなど。

ハラスメントの定義は、シンプルに言えば「嫌がらせ」。行為者の意図に関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになります。このことから、「そんなつもりではなかった」などと行為者がハラスメントをしていることを理解できていないケースも残念ながら少なくありません。

そしてこのハラスメント問題は、決して職場だけでなく、私たちが生活する社会のあらゆるシーンで起こりうることなのです。

学生が多く集い共同生活をする場である「寮」でのハラスメント防止のための資料が話題を集めています。それがこちら↓

これは、京都大学の学生寮「熊野寮」が新しく入寮する生徒に配ったパンフレットの1ページ。

そこには「ハラスメント加害者にならないために」と記された7ヶ条が記載されています。

<ハラスメント加害者にならないために>

  • 人の体にはさわらない
    「同性同士のボディタッチは友情の証」、「異性へのさりげないボディタッチはモテるコツ」とか思っていませんか?それ、 ハラスメントです。やめましょう。
  • 公共スペースでは下ネタ・猥談はしない
    下ネタ・猥談は不快になる人がいます。またある種の「男性ノリ」をその場にいる全体に強要することになります。
  • 人の容姿、私生活を評価することを言わない
    ブスいじり、デブいじりなどなど、すべてやめましょう。人の体はその人のもの。他の人がとやかく言ったり評価したりすることではありません。
  • 「女性 / 男性はこうである」など性別によって人のあり方を決めつけない
    「女の子なのに化粧しないの?」とか「男性が奢らなきゃ」とか思ったことありませんか?でも性別にかかわらず自分の生き方は自分で決めるもの。
  • 怒られない雰囲気に甘えない
    友だちとの会話の中で、ゲイいじり / デブいじり / 不謹慎ネタ等で笑いが取れたとしても、絶対に調子に乗らないこと。周囲の人は嫌な思いをしているのに、その場に合わせてニコニコしているだけかもしれません。
  • 大学生には彼氏 / 彼女がいて当たり前と思わない
    「恋人欲しい!」って思って気になる人にグイグイいくと、相手はけっこう怖いかも。特に熊野寮は生活の場です。出会いの場ではありません。
  • もし「それ問題だよ」と指摘されたら
    「意図」で反論しない。相手を傷つけてしまったり不快にさせてしまった場合、あなたがどのような意図でそれを行ったかは全く関係ありません。自分の行動の何を問題だと指摘されているのか、まずは丁寧に聞きましょう。

ボディタッチや容姿、また性別に関する話などハラスメントと聞いたときに、パッと頭に浮かぶものが記載されているなか、最も反響があったのが、「もし『それ問題だよ』と指摘されたら」の最終項目。

ハラスメントの定義であり重要とされる「行為者の意図が関係ない」ことを、「そんなつもりではなかった」と言って反論しないようにと、端的に記載されています。

このハラスメント防止の7ヶ条に、多くの人から反響がありました。

なお、これらの7ヶ条の文章はハラスメントの防止以外に、「被害にあった人を勇気付ける」ことも目指されているそうです。

実際にハラスメントを受けても声を上げられない状況がある中で、「あれはハラスメントであり、やってきた相手に対して怒っていいのだ。自分を責めなくていいのだ」ということを言語化することで、助けになればとの意図が込められているとのこと。

大学生が自分たちが生活する寮での暮らしをより良いものとするために作り上げたこの1ページ。しかし、この内容は大学生に限らず、読む者をドキッとさせるものでした。

他人に無関心で自分優先な個人主義が浸透し、人との関わり合いが薄れてしまった現代ですが、多様な生き方が認められつつある時代でもあります。「個」を容認し、互いに尊重しながら人と人が関わり合える社会を築いていくことで、生きやすい社会が作られていくことを願いたいものです。

プレビュー画像: ©︎Facebook/Tseng GoRong

大学生が作成した入寮パンフレット。しかしそこに書かれたものを見た多くの大人は衝撃を受けた