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Lifehacks

磁石と蛍光ペンを用意する。これで見えるものを知った時思わず「おおっ」と歓声を上げた

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍総理大臣から要請があった全国の小中高の一斉休校。各自治体で対応はそれぞれ違ってきますが、仕事を休めない期間中のお子さんの時間の過ごし方について頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そんな子供たちに向け、全国の大学・研究機関の広報担当者の有志が共同で運営する「科学技術広報研究会(JACST)」が、参加する全国の大学、研究機関が持つデジタルコンテンツの中から、子どもに見てほしいと思う動画や読みものをまとめたサイトを急遽発表しました。

このサイトは「さっと見られる映像」「のんびり延々と見たくなる映像」「ゲーム要素のあるコンテンツ」「よみもの」「工作」「VR対応映像」「講演会・サイエンスカフェ・成果発表などの映像」7つのコンテンツからなり、子供が理解しやすく、そして科学に興味が持ちやすい内容にまとめられています。

その中から一つ、非破壊検査についてわかりやすく説明したビデオをご紹介いたします。

題名は、『磁石と蛍光ペンで、壊さずに内部をのぞき込む! ~非破壊検査のヒミツ!~』

非破壊検査とは、材料や製品を傷つけたり、壊すことなく、それらの状態、表面および内部に欠陥がないかどうかを調べる検査。身近なところでは、私たちが旅行の際に使う飛行機がその検査の対象例となっています。

運行する航空機の機体構造点検では、目に見えない部分の小さな傷や亀裂をこの検査を行うことで早期発見し、致命的な欠損にならないよう重要な役割を果たしています。

一体どんな技術を使って目に見えない傷を見つけ出すのでしょうか。その技術には、磁石のある現象が利用されていました。その検査をネオジム磁石と蛍光ペンを使って説明していきます。

まず用意されるのはネオジム磁石。

YouTube/nimspr

そこに磁石のサイズに切った紙に蛍光ペンで色をつけます。

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その磁石を厚紙の上に置き、別の磁石を準備し、小さな磁石を動かしてきます。

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そこに紫外線ライトを準備し、光を当てると磁石の蛍光塗料が反射して光り、磁石の動きを暗闇でも見ることができます。

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この仕組みを利用して、画像のアルミ板に傷がないか検査していきます。

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アルミ板の上に磁石を滑らせるためのガイドを敷きます。

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そして紫外線ライトを当てながら順に磁石を動かし、その動きを観察していきます。

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全ての列で、光の筋を写真に撮って並べると、カタカナの「コ」の字のような模様が表示されました。

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この濃淡の差はなんでしょうか?カメラで撮影した磁石をスローモーションで見ると、アルミ版の上を磁石は違う速度で滑っていたのです。

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速度が違う原因は、アルミ板にありました。板の裏側を見ると、コの字をひっくり返したように板が削られて薄くなっているのがわかります。

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磁石の動きを撮影した写真と比べてみると、磁石が早く動いていた部分は板が削られて薄くなった部分でした。

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磁石が金属板の上を移動すると電磁誘導という相互作用により電流が発生し、磁石にブレーキをかける働きを持っています。しかし金属板が薄くなると発生する電流が少なくなるため、磁石にかかるブレーキは弱まり滑るスピードが上がるという仕組みです。

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この仕組みを利用すれば、逆に磁石の動くスピードで金属の厚さを知ることができるというのです。

この金属と磁石の相互作用で発生する電流を測定するのが非破壊検査装置と呼ばれるもので、センサーの先端に磁力を持たせ、動かしたことで発生する磁力を測定し、金属が薄くなっていないか、傷がないかを確かめることができるのだそう。

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こうして目に見えない金属内部や裏側の異常を発見するのです。この仕組みが冒頭に紹介したように、飛行機など機体にできた見えない傷を発見するのに役立ち、人々の安全を守ることにつながっています。

なんと賢い!電磁誘導によって発生する電力が、このような検査に応用されていたとは驚きです。こちらのJACSTのサイトにはこの他にも、科学の面白さが伝わるコンテンツがビデオやゲーム形式などの形で多く紹介されています。

臨時休校により、子供の時間の使い方に困ったなと思う時にぜひ利用してみてください。また、大人が見ても楽しめるサイトなのでお子さん一緒に見るのもオススメです。休校中にさらに賢くなるかもしれません!

今回紹介した非破壊装置の仕組みの動画はこちらからご覧いただけます。