ちえとくをフォローする

ヘルスケア

頻繁にトイレに行くのはよくない?気になる排尿頻度と膀胱の働き

1日に何回おしっこのためにトイレに行くか、人によってさまざまです。トイレが近いという人もいれば、1日にトイレに行く回数がとても少ない人もいます。でもいずれにせよ、そんなにしたくないのに、念の為トイレに行って用を足すというのは、あまり体にとってお勧めではないようです。

トイレに行く回数は多い、少ない?

友人と出かけた時に、友人が全然トイレに行かないとふと気が付いたこと、ありませんか?同じくらい飲み食いしているのに、トイレに行くのは自分ばかり…。膀胱が大きいのかな、なんて考えますが、トイレに行く回数は必ずしも膀胱の容量の問題だけではないのだそう。

とは言うのも、おしっこは健康をはかるバロメーター。個人差はあれど、排尿回数の多少に関しては膀胱の大きさだけでなく、膀胱が正常に機能しているかどうかも関わってきます。

トイレを我慢する写真
©Pixabay

膀胱の容量と尿意のしくみ

膀胱は、腎臓で作られる尿を一時的に溜めておく貯水タンクのような場所であり、容量がいっぱいになってくると尿意が起き排出するという機能を持っています。また、膀胱は膀胱本体の筋肉(膀胱平滑筋)と膀胱の出口の筋肉(内尿道括約筋)の弛緩により、膀胱に溜まったおしっこを出したり止めたりしています。

膀胱が持つ容量は、人によってそれぞれ違い、成人男性の場合最大で900ml〜1500ml(平均では最大500~600ml)も溜められるのだそう。ただし、尿意を感じるのは膀胱の最大容量よりもかなり早く、一般的に大人の場合は尿意は250~300ml溜まると促されると言われています。

膀胱に見立てた風船
©Pixabay

1日のおしっこ回数少ないより多い方がいい

毎日たっぷりと水分補給ができている人の排尿量はだいたい1L〜1,5Lと言われています。また、膀胱が通常に機能している場合、人がトイレに行く回数は1日に2回〜8回。みなさんがご存じのように、カフェインを含んだコーヒーやコーラ、またアルコール飲料を飲んだ場合は、排尿回数も増えていきます。デスクワークの最中にコーヒーやお茶を飲むとトイレ回数が増えますよね。また、運動をよくするという人やスポーツ選手は、汗により体の水分を失う量が多いため、排尿回数は必然的に少なくなります。

このように飲み物やその日の運動量などによって排尿回数は変化するため、「1日の理想のおしっこ回数」というものは一概に言えるものではありません。でも、体内での代謝によってできた老廃物や毒素はおしっこと共に排出されるので、排尿回数は少ないよりも多い方がいいそうです。

ただ、だからと言って尿意がないのにトイレに行ったり、頻尿が気になるからと用心のためにトイレに行くのはあまりお勧めできる行為ではないと言われています。というのも、尿意がない時にトイレに行くようにしていると、体が本来の尿意よりも、もっと過敏に尿意のシグナルを送るようになり、過活動膀胱という症状を引き起こす危険があるからです。そうなると、急に尿意をもよおしたり、何度もトイレに行きたくなったりと、日常生活に支障をきたしてしまうことも予想されます。(過活動膀胱については、下記で詳しくご紹介します)

トイレ表示
©Pixabay

排尿回数や体の水分量で尿の色も変わってくる

膀胱が正常に機能しているかどうかを確認する方法として、おしっこの色を見るという方法もあります。以下では3タイプの色をご紹介します。トイレに行った時にチェックしてみてください。

  • 薄黄色で無臭の尿:体の余分な水分や毒素が順調に排出されています。
  • 尿の色が濃くにおいが強い:これは朝一番、寝起きの時に睡眠中にたまった毒素を排出したおしっこに近い色です。でも、日中のおしっこがこんな色の時は、毒素がいっぱい溜まっているので、体の水分量が少なく、排尿量や回数が少ない証拠と言えるでしょう。
  • 尿が淡黄色で濁っている、尿意が頻繁にある:飲みすぎや食べ過ぎ、また膀胱が過敏になっている疑いがあります。

排尿回数が少ない場合に考えられること

トイレに行く回数が少ないという人は、1日の水分補給量に気をつける必要があります。大人の場合、1日に1,5Lから2Lの水分を取ることが勧められていますが、もし十分な水分量を取っているにもかかわらず、排尿回数が少ないという人は、腎臓に何らかの疾患があるかもしれません。特に運動などしていない場合で、補給する水分量に対し排尿量が少ない場合は、念のため医師に相談するようにしてください。

また、尿意があるにも関わらず我慢をして排尿回数が少ないというのは、体とってよくないこと。こういった状態が続くと膀胱から送られる尿意のシグナルが乱れてしまう危険だけでなく、ひどくなると腎臓に損害を与えてしまう可能性もあります。

©Pixabay

過活動膀胱とは

膀胱か過敏になってしまい、尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が収縮する状態のことを言います。そのため膀胱にうまく尿が貯められなくなり、すぐに排尿したくなってトイレに行く、つまり頻尿になります。

過活動膀胱の原因はさまざまあると言われますが、特に女性や高齢者に多いと言われています。よく挙げられる原因は以下のものがあります。

・心理的要因
外出先で急にトイレに行きたくなったら困る…など心配しすぎて必要以上にトイレに行く人は、膀胱が本来の尿意よりも、短い時間感覚でおしっこをするのに慣れてしまいます。上記でも記載したように、膀胱の過敏状態を引き起こしてしまうのです。

・骨盤底筋のトラブル
女性は出産後や加齢により、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなりやすいと言われています。骨盤底筋が緩んでしまうと、頻尿や尿漏れといったトラブルを引き起こします。

・前立腺肥大症
50歳以上の男性に多くみられるという前立腺肥大症。前立腺が肥大すると尿道が狭くなるため、排尿後に膀胱内に尿が多量に残るようになります。そうなると、膀胱に貯められる尿量が減って、結果的に頻尿になる場合があります。

・糖尿病
糖尿病罹患者の場合、体が血液中の糖分を尿から排泄しようと働きます。そのため、頻尿やのどの渇きは糖尿病の初期症状とも言われています。

・尿路感染症
もしおしっこをした時に、痛みを感じるという場合は膀胱炎など尿路感染症である可能性が高いと言われています。この場合、膀胱の知覚神経が刺激されるため、トイレに行く回数が増えます。

©Pixabay

トイレに行く回数は、人それぞれ。お酒をたくさん飲んだり、利尿作用のあるカフェインや食材をとった場合、おしっこの回数は増えますが、一般的に2〜8回くらいが1日の排尿回数と言われています。

膀胱を正常に機能させるためにも、大切なのは日々十分な水分を取ること、また、念の為…と必要以上にトイレに行くのではなく、体からの声に耳を傾け、自然な尿意を感じるようにしましょう。

もしも、おしっこや膀胱機能に不安がある場合は、すみやかにかかりつけの医師や泌尿器科を受診するようにしてください。

以下の記事も併せてご覧ください。
体からのお便りでチェック|体の脱水状態を確かめる目安

出典: fitbookfitforfunabena

プレビュー画像: ©pixabay