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Lifehacks

人の聴覚は意識を失い最期の時を迎える直前まで機能し続けることが明らかに

以前、ニューヨーク大学が行った、心拍が停止した人ことがある人へのインタビューから、人は心臓が止まり体が機能しなくなっても、脳の思考する部分は心停止後も少し長く機能するということが明らかになったことをお伝えました。

今回、自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)の分野における論文を掲載しているScientific Reportsにある研究結果が掲載されたのです。それは、人は心停止後、臨終の際に意識を失った後でもまだ残り続ける感覚を持ち合わせているというものでした。

その感覚というのは「聴覚」。最期の時を迎え、体が反応をしなくなったとしても、元々聴覚が機能していた人であれば、その聴覚だけは最後まで残るのだそう。

人の脳内では音を聞いた時、2種類の脳波が確認されています。まず、音を聞いた際に起こるミスマッチ陰性反応(MMN)。
そして、音という刺激に対し起こる、P300コンプレックスと呼ばれる反応。このP300コンプレックスの中でも、音の変化に無意識に反応をしているのがP3aと呼ばれるサインで、その音が何であるか分析し処理する役割を担っているのがP3bサインと言われています。

カナダ、ブリティッシュコロンビア大学では、この聴覚に関する脳の変化を使い、既に意識を失ったホスピスの入院患者に対して、5音だけで構成された曲を流し、その脳の活動を計測するという実験を行いました。

使用したのは、同じ音が反復し、時おり音色やパターンの変化が織りまぜられた曲。その結果、彼らの脳内で正常な聴覚があることを示すMMN反応、さらにP3a反応が見られたそう。

これは人が最期の間際に意識がなく体の反応を失った時でも、その聴覚は正常に機能をしているということの証明になったのです。さらには5人中2人に、作業記憶がアップデートされているサインであるP3b反応も見られました。

これは意識のない臨終間際にある人の脳が音の変化を捉えようとしている可能性が高いということ。このことはもちろん、まだ断定できるわけではありません。

しかしこれらの研究結果から、人が最後の瞬間に、コミュニケーションが取れなくても周囲からの言葉を理解している可能性は大いに考えられるのだそう。

大切な人や愛する人の最後の瞬間を看取ったことがある方、あの時掛けた言葉はきっとその時に届いていたはずです。

人は生きていく中で必ず大切な誰かと永遠の別れを体験します。最後の瞬間に掛けた言葉を受け取ってもらえていたなら、その後の喪失感や悲しみとの向き合い方もいくらか変わってくるのではないでしょうか。

プレビュー画像:©︎Pinterest/Connie Toole 

人の聴覚は意識を失い最期の時を迎える直前まで機能し続けることが明らかに人の聴覚は意識を失い最期の時を迎える直前まで機能し続けることが明らかに