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人一倍敏感な子を指すHSCという言葉 5人に1人存在すると言われるその内容を知った時堰を切ったように涙が溢れ出た
みなさん、突然ですがHSCという言葉をご存知ですか?HSCとは、Highly Sensitive Child (ハイリーセンシティブチャイルド)の略称で、日本語ではひといちばい敏感な子と表現します。これは、感受性豊かで、他人の気持ちによく気がつく一方、周囲の刺激に敏感で傷つきやすい、という他の子供よりもとても繊細な子供を意味します。HSCは、米国の心理学者、エレイン・N・アーロン氏が1996年に発表したHSP(Highly Sensitive Person)という概念の子供版で、平成27年に日本でもその著書が翻訳され子育て世代の親の間で知られるようになりました。
そこではHSCの特徴として、以下の4つが挙げられています。
1. 深く考える
感覚的な情報を深く受け止め考えるため、物事の本質をつくような鋭い質問をしたり、時には大人のような発言をします。また、じっくり考えているため、行動を起こすまでに時間がかかることも。そのため、周囲からは臆病であったり、引っ込み思案のように思われることがあります。
2. 過剰に刺激を受けやすい
他の人なら気にしない感覚刺激も無意識に受けとってしまうため、心身ともに負荷をかかえやすく、疲れやすい傾向にあります。そのため、遊びに誘ってもすぐにぐったりしてしまうことがあります。
3. 感情の反応が強く、共感力が高い
びっくりしやすかったり、怖がる、泣く、かんしゃくを起こすなど感情の振れ幅が大きく、さらに特徴的なのはこうした敏感な感情が本人のみならず、他人の場合にも起きてしまうということ。自分ではなく、周囲の人が怒られているのに泣き出してしまうといったことが起こります。これは、共感力の高さによるもので、他者の悲しみや不安などの感情を強く受け取って反応してしまう傾向にあります。
4. ささいな刺激を察知する
小さな物音やかすかなにおい、人やもののエネルギーなど他の人なら気づかないようなちょっとした変化によく気がつきます。他の人であれば「たいしたことではない」と見過ごされることが、気になってしまいます。
このHSCという症状は、医学的概念ではないため治療の対象ではありませんが、この症状を持つ人は5人に1人存在すると言われています。HSCは生まれもった気質のため、生まれたあとから形成される性格とは違い、変えることができません。
そのため、日常生活を送る中で、その敏感さゆえに他の子供ができることがなかなかできず、「自分はダメな子供だ」と自己否定の感情を抱いてしまうことも。さらには物事を深く考えてしまうため、うまくできなかったことに対して深刻に受け止めすぎて自分を責めることもあるため、自律神経のバランスを崩し学校に行けなくなってしまうということもあるのだそう。また、敏感さの結果、傷ついたり疲れたりして周囲から「わがまま」と誤解されてしまうことも。
HSCは病気ではなく一つの概念ですが、感覚的な刺激への敏感さから、自閉症やアスペルガーなどの発達障害と間違われることも多いのだそう。しかし、自閉症やアスペルガーの子たちは人の気持ちを読むのが苦手であるのに対し、HSCは他人の気持ちを察することに人一倍長けている点で異なります。グレーの発達障害と言われて調べてみたら、実はHSCだったという場合も多いのだそう。
敏感すぎるため、周囲ができることができず自分を責めてしまうHSCの子供達。周囲の無理解や自己否定の感情で苦しまないためにはどのようにしたらいいのでしょうか。
・安心できる環境づくり
HSCの子供は辛さをあまり語らないため、彼らが嫌なことを嫌だと言える安心できる環境を作ることが大切と言われています。こうすることで、無理に嫌なことをしてパニックに陥るということも防げます。
・自己肯定感を育む
音楽や絵など芸術的才能に秀でていることも多く、長所を認めて自己肯定感を育むようにすると効果的なのだそうです。
見方や感じ方、考え方を尊重し、そのままでいいんだよと伝えることや、他と比較して価値観や判断を押しつけないようにすること、そして敏感であることのメリットや大切さを伝えるといいそう。
HSCを知ることで、症状に悩んでいた多くの親と子供が楽になれたと言います。
なぜ我が子は不登校になったのか今はよくわかる。彼にとって小学校は本当に地獄だったんだ。
ADHDやアスペルガーじゃない? 5人に1人はHSC(ひといちばい敏感な子)。その特徴とは? | ダ・ヴィンチニュース https://t.co/q0UxHmFTS8 @d_davinciから— ままあるめりあ (@meriaheart) April 25, 2017
実際に、学生時代に不登校だったというある30代の女性はHSCという言葉を知り、自分のことだと思ったのと同時に、自分を責めていた思いから、どう自分と付き合うかという考えにシフトすることができ、安堵したのだそう。
彼女の場合、不登校の原因は人間関係でも学校生活でもなく、教室のざわめきや教師の大声、また通学時の満員電車だったのだそう。「そんなことで、と思われるかもしれないけれど本当に消耗した」というその言葉から周囲から理解が得難い状況が感じ取れます。
HSC(ひといちばい敏感な子)とその親が、周りから受けやすい誤解
・過保護だから弱い子に育った
・子どものわがままを聞き過ぎた
・愛情が足りなかった
・もっと厳しく育てるべきHSCは生まれ持った気質なのに、周りの人に理解されにくくてたまに傷つきます。
— マエリン@HSC子育てママ (@maerin_hsc) September 30, 2019
まだまだ、あまり知られていないHSC。当事者である本人や家族はもちろん、周囲の人の理解も大切になっていきます。
小さな頃から、よく言えば繊細、悪く言えば神経質な子と言われ自分を責めてきたという方、そして子育てに悩んでいるという方は、専門の心理士に相談してみることをおすすめします。
また、アーロン氏の著書はこちらから購入が可能です。同氏の日本語ホームページにもHSCのセルフテストや子供がHSCか判断したい親のための質問が掲載されているので、こちらも併せてごらんください。
プレビュー画像:©︎Pinterest/Nickolay Smirnov
