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キッチン

調理時や保存に気をつけて|じゃがいもが含む天然の有毒成分

細菌性の食中毒であれば、加熱処理が有効な対策となりますが、食中毒の中には加熱では避けられないものも。加熱しても食中毒になってしまう食品のひとつが「じゃがいも」

一年を通じ、食卓への登場回数が多いじゃがいもに食中毒の可能性あるというのは意外かもしれませんが、じゃがいもの中には、有毒物質を含むものがあるため注意が必要です。では一体どのような点に注意をすると良いのでしょうか。

芽が出たもの、緑がかったものは要注意

購入したじゃがいもを長らく食べないまま保管をしておくと、芽が出ていることがあります。実はこの芽や芽の周辺部分にはα-ソラニンやα-チャコニンという天然の有毒成分のアルカロイドが含まれています。

これらを間違って大量に食べてしまうと、吐き気、嘔吐、腹痛、めまいなどの症状を引き起こしてしまうのです。ソラニンやチャコニンは、加熱しても毒性がなくなることはなく、芽の部分はしっかり取り除いて食べること予防策となります。

また、じゃがいもの芽以外でも、皮部分が緑がかったものにも注意が必要です。じゃがいもは光に当たるとクロロフィルが作られ表面が緑色になるだけでなく、ソラニンやチャコニンも表皮の近くに作られるのです。そのためじゃがいもを食べる際は皮を剥いて食べた方がより安全です。保存中に光にあたり皮がうっすら緑がかったと言う場合は、皮を厚めに剥くようにしてください。

ソラニンやチャコニンによる食中毒は、それほど重症化することはありませんが、特に子どもは少量でも症状が出ることがあるため、小さなお子さんがいる家庭ではより注意が必要となってきます。

じゃがいもの芽や皮の変色を防ぐ保存方法

じゃがいもは先にも挙げたように、日光や蛍光灯の光に当たると皮が緑色に変化したり、芽が出てきます。そのため、保存時は新聞紙で包んだり、紙袋に入れるなどして光が当たらないようにします。

保存時は冷蔵する必要はありませんが、20度以上で発芽、腐敗が進むため涼しい場所での保管がおすすめです。また、キズがついてしまうとそこから有毒成分が増えやすいため、キズがつかないように扱うことも大切です。

購入してきたものをすぐ使う場合は問題ありませんが、すぐに使わないと言う時は、保存時には上記の点に注意が必要となってきます。

家庭菜園などのじゃがいもには注意が必要

発芽したものや緑がかったもの以外にも、家庭菜園などで作られた未熟で小さいジャガイモには注意が必要です。農林水産省の調べによると、学校栽培したじゃがいもを使用した調理実習で、ソラニンやチャコニンを原因とする食中毒が毎年報告されているそうです。

理由として挙げられるのは、じゃがいもの栽培時に間引きや肥料の量などが十分でなく、未成熟で小型のまま収穫されたためと考えられています。未熟なじゃがいもにはソラニンやチャコニンが多く含まれるため、食中毒のリスクが高まります。

家庭菜園や学校で栽培する際は、以下の点に気を流けるようにしてください。
・収穫するジャガイモが大きく育つよう、種いもを植え付けるときに、きちんと肥料を与える。
・芽が10 cmほど伸びてきたら、間引き(芽かき:太い芽を2~4本ほど残して他の芽を抜き取る)をする。
・太陽の光が当たって緑色になるのを防ぐため、ジャガイモ(いも部分)が地面から外に出ないように土寄せをする。

ビタミンCやカリウム、食物繊維をたっぷり含む栄養たっぷりなじゃがいも。保存方法や調理時の注意点、また家庭菜園をする場合は栽培方法に気をつけて、おいしくいただきたいですね。

プレビュー画像:©︎Pinterest/Naoko

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