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その他の豆知識

ピンクのツブツブ|ジャンボタニシの卵に注意

2021年大流行したマリトッツォを受け、今年の夏ごろから次に流行るスイーツとしてじわじわ注目されつつある、カンノーリ。ザクザクした筒状の生地に、さっぱりとしたリコッタクリームが詰まってるカンノーリは、イタリアンスイーツを代表する一つでもあります。

しかし、この夏スタバで販売されたカンノーリ風新作スイーツは、世の人々の度肝を抜くものでした。「クリームパイブルーベリー&ココア」という一見普通のネーミングですが、そのおどろおどろしい見た目は、私たちに強烈な印象を与え、ネットでも話題に。

そんなスタバで人気のスイーツですが、実はあるものにそっくりとも言われています。
そのあるものとは、こちら。

Golden Apple Snail's Pink Eggs

鮮やかなピンクのツブツブの集合体。確かに怪しげなあのスイーツを思い起こさせる粒感ですが、見た目とは裏腹においしいと称されるスタバのスイーツと違い、こちらは実はとても危険な物体なのです。

ピンクのツブツブの正体

夏ごろから秋にかけて田んぼや河原、用水路など水辺で目撃されることが多いこちらの物体の正体は「ジャンボタニシの卵」。

和名でスクミリンゴガイというジャンボタニシは、南米が原産の淡水性の巻貝。1980年代に食用で輸入されましたが、需要が伸びず放棄されたり、養殖場から逃げ出し野生化したそうです。ジャンボタニシは、タニシのような浄水(ろ過)機能はなく、それどころか何でもよく食べると言われ、やわらかい草や田植え後3週間程度までの柔らかい稲、またれんこん(幼葉)などの他に、魚(!)まで食べつくしてしまう困った害貝とされています。

食欲旺盛で雑食、そんなジャンボタニシの産卵は日暮れとともに始まります。日が落ちたのち、ジャンボタニシは水中から上がってきて、草や用水路のコンクリートの壁にピンクの粒状の卵を産むのだそうです。産卵期は4月〜10月とされ、2〜3ヶ月続く産卵期で1匹あたり約4,000個も産卵するそうです。

Striated heron on sloping banks of canal

ジャンボタニシの卵には絶対に素手で触らない

好奇心旺盛な子供が見たら、つい手にとってしまいそうになる不思議な物体のジャンボタニシの卵。しかし、絶対に触れてはいけません。

ジャンボタニシの卵には神経を麻痺させる毒があり、卵に触れた手で、目・鼻・口や傷口などに触れて体内に入ってしまうと非常に危険です。ジャンボタニシの卵は、毒のおかげで日本には天敵がいませんが、唯一点滴となるのは、同じ南米原産の害虫であるヒアリだそうです。

また、ジャンボタニシの卵には広東住血線虫が寄生していることがあります。万が一触れてしまい、口などから体内に入ると、感染2~3日後には脳に集まり、重篤な好酸球(こうさんきゅう)性髄膜脳炎を引き起こし、激しい頭痛、発熱、嘔吐、知覚異常、眼筋まひなどがみられます。治療後はほとんどの人が回復をしますが、まれに失明や知的障害といった後遺症を残すことがあり、2000年には日本で初めての死亡例も発生しています。

そのため、見かけても絶対に素手で触れないように注意をしなくてはいけません。また貝を見つけた際も、寄生虫がいる恐れがあるため素手で触るのは避けるようにしてください。

農業害貝として駆除対象であるジャンボタニシ

ジャンボタニシは、稲を食べてしまう農業害貝とされ、環境省と農林水産省が定めている「生態系被害防止外来種リスト」やIUCN(国際自然保護連合)の「世界の侵略的外来種ワースト100」、また日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に定められています。

そのため、生息地域である西日本を中心に多くの自治体で駆除対象になっており、自治体によっては卵や貝を見かけたら市役所へ連絡するよう呼びかけているところもあります。

そろそろジャンボタニシの産卵期は終わりますが、万が一見かけた際は絶対に素手で触らないようにしてください。

プレビュー画像:©︎flickr/surveying, ©︎flickr/carterpino
出典:北栄町