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Lifehacks

「過剰包装なくしませんか?」ある高校生は製菓会社に呼びかけた その予想外の返答にもっと早く知りたかったと声をあげた

先月7月1日から始まったプラスチック製レジ袋の有料化。経済産業省は、今回の有料義務化を海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの解決に向けた第一歩と位置づけ、マイバッグ持参など、消費者のライフスタイルの変革を促すことを目的としています。

レジ

しかし、レジ袋の有用性やコロナ禍での衛生問題、また会計時の煩雑さからレジ袋の有料化には賛否両論あるもの確か。

レジ袋からエコバッグや紙袋への切替が進む中、レジ袋やゴミ袋を製造する会社がそのホームページで、レジ袋に使用されるポリ袋が、原油をガソリン、重油等に精製した残りもの・余りものから生成されていること、リユース率が高く、ごみとして回収されても、サーマルリサイクル時には重油に代わる燃料にもなり、重油が節約できること、紙袋の70%のエネルギーで製造可能と、その省資源かつ利便性の高さを訴え、エコバック、紙袋=エコという社会の認識に一石を投じました。

ポリ袋

そんな中ある一人の高校生が、お菓子などの「プラスチックの過剰包装をなくして」と呼びかけ、集まった1万8千筆の署名をブルボン、亀田製菓の2社に提出したのです。

以前から、プラごみなど環境問題に関心があったというその高校生は、大袋で売られているお菓子や煎餅が個包装されているために多くのプラごみが出てしまうことを残念に思っていたそう。

個包装

そして署名を立ち上げるにあたって、リサイクルの仕組みや代替品として出てきているバイオプラが本当に環境に良いのかなどを調べた上で「ごみを減らす努力が大切」と考えたといいます。

そんな高校生の訴えに、2社の返答はというと…

亀田製菓は公式Twitterでその回答を出しています。

現在は2030年までに全商品を環境に配慮した包装に変えることを目標に「小さなパッケージの大きなチャレンジ」として、包装に使用するプラスチックの量を減らすため、 商品の詰め方や約1年の開発・テスト販売期間を経てできたECOパッケージを用い、ノントレー化とスリム化を図っているそう。ノントレーになったことで、内容量はそのままでも大きさが小さいため、持ち運びやすいなどの消費者にとっての利点も生まれたと言います。2020年の目標はプラスチック使用料を150トン削減することなのだそう。

またブルボンはその回答を自社サイトのニュースリリースにて発表。

「全くその通りであり当社と方向性が一致するものと考えています」とし、プラスチック包装についての取り組みを紹介しています。その中で、アレルギー表示や少子高齢化社会や個食の時代など社会的背景にも個包装が必要であることに触れています。

そして包装資材についてはサイズや材質を随時見直し、過剰包装とならないよう工夫していること、植物由来のプラスチックであるバイオマスプラスチックの使用や紙などへの代替素材へと変更する取り組みをしていることを伝えています。
2019年は外装フィルムを約 8%薄くしたことで、年間で約 27トンのプラスチック削減を実現できたそう。

ルマンド

消費者が環境問題への意識が高まっていることを受け、この2社だけでなく多くの製菓会社が環境配慮型のパッケージへの移行に取り組んでいます。

しかし、この高校生の呼びかけに、ネットでは一部で誹謗中傷が。亀田製菓担当者からは高校生に「思いは理解しているので、ネットに惑わされないでください。署名提出を楽しみにしています」とメッセージが送られてきたそうです。

集まった署名は、プラ製の過剰包装を無くしてほしいという内容で、一概に個装を撤廃するように求めているのではなく、包装を紙を使ったものにしたり、トレーを無くしたりなどの環境への配慮を求めたもの。一人の高校生が環境問題に意識を持ち、行動に移した行為は勇気があり、すばらしいことなのではないでしょうか。

この行動があったことで、個包装にアレルギー表示がされているからこそ、アレルギー持ちの方でも安心して手に取れることや、包装材を薄くしてあること、バイオマス素材が使われていることといった企業側の真摯な取り組みを多くの人が知ることができたのです。

冒頭に紹介したポリ袋の真実も同様に、レジ袋について多くの人が関心を持ったからこそ反響を呼びました。
レジ袋については一部の小売店が、無料配布ができるよう、厚さが50マイクロメートル以上で繰り返し使えるもの、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のものといった環境配慮型のレジ袋を採用しています。

今回の高校生の勇気ある行動やレジ袋問題は、私たちに環境問題を知る一つのきっかけをくれたのではないでしょうか。プラスチックを全て廃止することが難しい今、一人一人がプラスチックとどう関わるかが今後の環境問題を変えていくはずです。一朝一夕では解決しない環境問題。知ることは次のステップへの大切な土台となります。

プレビュー画像:©︎Pinterest/Kenta Otsuka