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海洋プラスチックゴミ問題に希望の光|海に漂うゴミが100トン回収される

地球規模で深刻化している海洋プラスチック問題。一度海に出てしまったら、半永久的に残ると言われるプラスチックゴミは海という大切な環境を汚してしまうだけでなく、海の生態系を壊し、さらには海から恵みを受けている私たちの生活にも大きな影響を及ぼすと言われています。

皆さんの中にも、この夏出かけたビーチや海でプラスチックを含め、海岸に打ち上げられたとされる、さまざざまなゴミを見かけたという人もいるのではないでしょうか。しかし、こうして私たちが目にする漂着ごみは、全体の5%と言われ、本当にごくわずかなもの。残り95%は、行き場なく海の中を漂っているのです。

世界でもっとも多くのゴミが漂う海域「太平洋ゴミベルト」

日本から遠く離れた、アメリカ・カリフォルニアとハワイの間にある海域にある「太平洋ゴミベルト」と呼ばれている海域をご存知ですか?

海上風や潮流の作用により、この北太平洋の海域には大量の漂流ゴミが集まっていると言われています。その面積はなんと160万キロ平方メートにも及び、日本の国土の約4倍近くにもなるそうです。1997年に発見され、太平洋ゴミベルトと名付けられたこの海域ですが、プラスチックスープの海とも言われるほど、海域一帯はプラスチックゴミだらけだの状態なのだそうです。

大規模な清掃活動が始動

これまでプラスチックゴミなどは、一度海洋上に出てしまったらほぼ回収は不可能となり、半永久的に海に漂うと言われてきました。

しかし、オランダの非営利団体である「オーシャン・クリーンアップ」は、時には7番目の大陸とも言われ、大量のゴミが集積した太平洋ゴミベルトの大規模な清掃活動に着手。2013年の設立から、さまざまな試行錯誤を経て、ついに2021年の夏にシステム002、通称「ジェニー」という巨大な装置によって大量のごみを回収することに成功したのです。

オーシャン・クリーンアップが紹介したジェニーの動画がこちらです。

ジェニーは、全長800メートル、深さ3メートルの巨大なネットのような装置で、2隻の船が時速3キロでゆっくり引っ張ることで、海中に漂うごみを回収するという仕組み。魚が逃げられるようにネットの底は開けられており、浮力の高いプラスチックだけが集められる仕組みになっていて、生態系に害が出ないように設計されています。

©YouTube/The Ocean Cleanup

ジェニーは、1回で最大15トンのプラスチックを回収できると言われ、回収されたゴミは仕分けされ可能な限りリサイクルされています。

©YouTube/The Ocean Cleanup

昨年8月の導入からこれまで45回作業にあたり、回収されたゴミの量はなんと約101トンにも及んだそうです。これは、太平洋ゴミベルトにあるとされるゴミの1000分の1に当たるそうです。

©YouTube/The Ocean Cleanup

また、オーシャン・クリーンアップは、ジェニーの3倍の長さがある改良版であるシステム003についても発表し、準備段階とのこと。

さらに、オーシャン・クリーンアップの活動はこれだけにとどまりません。海洋プラスチックゴミの原因の一つには、河川からのプラスチックゴミの流出があげられます。そのため、オーシャン・クリーンアップは海へ流出するプラスチックゴミの8割を占める世界の1000の河川を特定し、これからの5年間でごみを回収し、海へのゴミの流出を阻止することを目標にしています。

オーシャン・クリーンアップの活動は、自然環境や生態系、そして私たちにとっても希望の光です。そして同時に、私たちが普段の生活の中で、プラスチックのゴミ分別をしっかりとすることやプラスチックの使用を減らすなど小さな努力をすることも、地球環境にとってとても大切なことと言えます。オーシャン・クリーンアップの今後の活動に注目すると同時に、個人レベルでできることについてもしっかりと考えていきたいですね。

オーシャン・クリーンアップのYouTubeInstagramもぜひご覧ください。

プレビュー画像:©YouTube/The Ocean Cleanup

出典:©YouTube/The Ocean Cleanup, The surfnews, ©Instagram/theoceancleanup