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Lifehacks

寝不足でコーヒーを飲んで仕事をするのが危険な理由

朝は一杯のコーヒーで目覚める、という人は多いでしょう。他にも、仕事中に眠気を感じたり、疲れた時、コーヒーを飲んでシャキッとしよう!と考える人は少なくありません。睡眠不足でもコーヒーを飲んだら仕事がはかどるから、とついコーヒーに手を伸ばしていませんか?

確かに、コーヒーに含まれるカフェインは体を目覚めさせる効果があるものの、仕事のパフォーマンスを上げるわけではないことが最新の研究で明らかになりました。一体、どういうことなのでしょうか。

©Pixabay

カフェインの脳と体への影響

まず、コーヒーを飲むと目が覚める理由を考えてみましょう。

  • 脳は疲れるとアデノシンという物質を出して、体を眠らせようとします。カフェインはこのアデノシンをブロックするため、睡魔と戦い続ける必要がなくなり、集中力が高まるのです。

  • カフェインは中枢神経系を興奮させ、血行を良くし、心拍数を高めることで、体を覚醒させ、応答性が高まります。

この2つの作用の相乗効果により、カフェインは確かに身体を目覚めさせてくれます。効果が現れるのは、コーヒーを飲んでから約30分後。カフェインの半減期は最大4時間で、その後は効果が薄れていきます。

Brain

疲れているときにコーヒーが問題になる理由

ミシガン州立大学の研究は、睡眠不足の後のカフェインの効果を評価するものでした。実験では、よく眠った参加者と一晩徹夜した参加者にカフェインかプラセボ(偽薬)のいずれかを与え、単純作業と難易度の高い課題の2つをやってもらいました。

睡眠不足のグループでは、もちろんパフォーマンス低下がみられました。カフェインを摂取した場合にはパフォーマンスの改善が少しくらいはみられるはず、と思いますよね。でも、結果は予想とは異なるものでした。

カフェインでパフォーマンスが改善したのは単純作業だけ。複雑なタスクの失敗率は、カフェインを飲んでも飲まなくても変化はなかったのです。

Eye

コーヒーを飲むと、疲れた人はコーヒーを飲まないときよりも反応が早くなり、単純な作業をうまくこなせるようになります。しかし、より複雑なタスクになると、疲れにより明らかな間違いやミスが発生します。しかし頭は疲れたままなので、そのミスに気づくことができません。明らかなミスを見逃してしまうことが、ときに致命的な結果をもたらすことがあることは想像に難くありません。

また、カフェインがもたらす過負荷状態も問題です。脳に疲れを知らせるアデノシンは体の大切な防御反応です。これがカフェインにブロックされると、脳は過負荷状態になります。これが頭痛の原因になったり、長い目で見れば脳を縮小させてしまうこともあるのです。

つまり、睡眠不足や疲れをカフェインで補うことはできないのです。さらに、頭は疲れたままなのに覚醒はしているため、脳が騙されて、疲れに気づかない状態になります。

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コーヒーは飲み過ぎない限りは有害ではありません。しかし、ミシガン大学の研究では、疲れている人はコーヒーを飲んでも生産性が低いままだと結論づけられています。コーヒーは一時的に応答性や集中力を高めるのに役立つだけで、脳の働きの「質」を高める作用はありません。考え事をしたり、より複雑な作業をしなければならないときは、カフェインでミスに気づけない状態に陥り、かえって危険です。医師、トラックや電車の運転手、経理担当者などは、この点に注意する必要があるでしょう。

脳を本当の意味で回復させるには、コーヒーよりも良いものがあります。仮眠です。仮眠ができなければ、冷たい新鮮な空気、運動、心からの笑い、そして大量の水が、トリプルエスプレッソよりもはるかに効果的です。

プレビュー画像: ©flickr/Ethan Bagley ©flickr/wetwebwork