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ヘルスケア

子供に増える口ポカン|口呼吸が体へ及ぼす悪影響と改善方法

突然ですが、こちらの写真をご覧ください。二人は10代の姉妹です。

Twitter@hideyosino

 1歳半違いの姉妹、ケリー(左)とサマンサ(右)は、小さい時は双子に間違われるぐらいそっくりだったそうです。

Twitter@hideyosino

しかし、大きくなるにつれだんだん顔立ちが変わってきました。姉のサマンサは、妹に比べ鼻の下が長く伸び、無理に口を閉じようとすると、口の下にうめぼしの様なしわができています。双子のようにそっくりだった姉妹に違いが出てしまった理由は何だったのでしょうか。

その答えは口呼吸。姉サマンサは口呼吸で成長し、一方妹のケリーは小さな頃こそ口呼吸でしたが、口を閉じる意識をして鼻呼吸に切り替えることに成功し成長したのです。

子供に多く見られる口呼吸

このサマンサとケリー姉妹の例であげたように、日本でも最近口をポカンと開けた状態で口呼吸をしている子供が増えていると言われています。2021年1月新潟大や鹿児島大などのチームは、子どもの口唇閉鎖不全(口ポカン状態)を調査した研究結果を発表。

全国の歯科医院を受診した3~12歳の子ども3399人の生活習慣や健康状態について、保護者へのアンケートを行った結果、全体の3割の子供たちが日常的に口が開いた状態だということがわかったのです。さらに、口が開いた状態である口ポカンは年齢が上がるごとに増え、12歳では約4割だったとのこと。

口呼吸は、口臭やクチャクチャ食べの原因になったり、また歯並びや顎の形成などに影響を及ぼすといわれ、子供の成長や健康に悪影響を及ぼしてしまいます。また、昨年より続くマスク生活で、口呼吸をしてしまう子供の数が増加していることも懸念されています。口呼吸による健康被害や成長への影響は具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

口呼吸が及ぼす影響

子どもたちの健康問題に直結する口ポカン。これは口腔(こうくう)の悪癖と呼ばれ、今では「口腔機能発達不全症」という病名までつけられています。幼い頃からの長期にわたる口腔機能発達不全症が以下のような症状をもたらすと言われています。

浅くて速い呼吸

速い呼吸は、交感神経を刺激するため、 口呼吸で寝ていると交感神経を刺激してしまい、寝てる間にしっかりと脳を休ませないということが起こります。今、小学生の半数が口呼吸で、それと同じように半数の子が落ち着きがないと言われています。このように身体をしっかり休めないと、子どもの持久力や集中力を落としてしまう原因になってしまうのです。

猫背

口で呼吸をしやすくしようとする為、首が前に出て、体が前に曲がり、猫背になってしまいます。

風邪やインフルエンザにかかりやすい

鼻は、吸い込んだ空気を温めて加湿し、さらに鼻の奥にあるフィルターを通して、菌やアレルギー物質を除去する働きを持つと言われています。しかし、口で呼吸をしてしまうと菌やアレルギー物質を体に直接取り込んでしまうことになり、風邪、インフルエンザ、アレルギーなどになりやすくなります。また、直接気道に空気を吸い込む為に、痰(たん)も増え、気道を汚してしまいます。

虫歯や口臭

口で息をすると、口の中が乾いて唾液が出にくくなるため、口の中が不衛生になり、虫歯や口臭の原因にもなります。

小児の睡眠時無呼吸症候群

口呼吸をしている場合にも、舌の位置が下がり気道が狭くなりやすいため、いびきや睡眠時の無呼吸が起こしやすくなってしまいます。

出っ歯

口呼吸をすることにより、本来ならば口を閉じて舌が上アゴをしっかりと押さえるはずが、舌が低い位置のままだと上アゴの成長がにぶります。その結果、上アゴは成長せずに小さくなり、前歯が並ぶスペースがなくなる為に、前に飛びし出っ歯になってしまいます。また、舌の位置が低いため滑舌も悪くなります。

歯並び

歯並びは舌が歯を押す力と、口の周りの筋肉が歯を締め付ける力のバランスによって成り立っています。口呼吸をしていると、このバランスが崩れ、歯並びに悪影響を与えてしまいます。

アゴの成長が妨げられる

口呼吸のまま大人になっていくと下顎骨に付着する筋肉の成長が阻害され、同時に顎骨の成長も十分に行われないまま、小さく後退したようなアゴの形になってしまうことがあります。

Twitter@dokidokikomepi

健康だけでなく、歯並びやアゴの発達にまで影響を及ぼしてしまう口呼吸。歯並びやアゴの大きさは遺伝的なものもありますが、このように口呼吸が原因となってしまうことがあるのです。では口呼吸を予防・改善するために日頃からどんなことに気をつけるといいのでしょうか。

口呼吸改善で意識したいこと

口呼吸を改善するには、ただ口を閉めるように意識すればいいというわけではありません。口呼吸をしてきたことで、舌は下がり、口周辺の筋肉が鍛えられていないため、これらを同時に鍛えることが必要となってきます。そこで、おすすめなのが「あいうべ体操」。福岡市の「みらいクリニック」院長の今井一彰氏が考案したこの体操で、顔の筋肉が鍛えられ、自然と鼻呼吸になっていくのだそう。

<あいうべ体操の方法>

①「あー」と、口を大きく開きます。
②「いー」と、口を大きく横に広げます。
③「うー」と、唇をとがらせて口を前に突き出します。
④「べー」と、舌を思い切り突き出して下に伸ばします。

Twitter@imakazu

大げさなぐらい口をしっかり動かし、①〜④を4秒ぐらいかけてゆっくり行います。これを1セットとし、1日30回を目安に行います。無理のない程度であれば、それ以上行ってもかまいません。また、朝昼晩に10回ずつに分けて行いうという方法でもOKです。この体操を行うことで、口輪筋や表情筋が鍛えられるのと同時に舌筋も鍛えられ、舌が正しい位置に引き上げられます。舌が、上あごにぴったりとくっつけば自然と口が閉じ、鼻呼吸に切り替えることができるようになってくるそうです。

健康だけでなく顔の成長にも大きな影響を及ぼしてしまう口呼吸。アレルギー性鼻炎や花粉症で鼻が詰まりやすいというお子さんもいると思いますが、普段から口呼吸をしているという場合は、今回紹介したエクササイズをぜひ実践してみてください。また、一昨年より続くマスク生活でマスクの下で知らず知らずのうちに口呼吸をしてしまっているという大人も増えているそうです。口を閉じることを意識していきたいですね。

プレビュー画像:©︎Twitter/hideyosino

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