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DIY

庭に苔を植える8つのメリット

春になると、多くの園芸雑誌やウェブサイトで「庭に生える厄介な苔を駆除する方法」を特集します。この時期に顔を出す柔らかい苔の絨毯を撃退したいと考える人が大勢いるためです。

でも、ドイツの生態学者のミヒャエル・アルトモスは、苔を退治しようという考えは賢明ではないと指摘しています。

Moss Haul

なぜ苔は嫌われているのか?

森のなかで幻想的な風景を作り上げる青々とした苔は愛されていますが、家の庭では苔は敵とみなされ、高圧洗浄機やカビ除去剤などで退治される対象です。

なぜ苔はこんなに嫌われてしまったのでしょう?ひとつには、花の咲き乱れる庭や芝生の庭など、園芸雑誌が提案する庭の理想像に多くの人が影響されているせいかもしれません。あるいは、苔植物の素晴らしい特性や利点についての知識不足もあるでしょう。

著書『モースガルテン』でミヒャエル・アルトモスは、苔を庭に植えることの素晴らしさを提案しています。以下で、苔を植える利点、そして苔を庭に植える方法をご紹介しましょう。

強くたくましい苔

苔は5億年以上も前から存在しています。地球の歴史の中で、初めて海から陸に上がったのがコケ植物と言われています。陸上に生息域を広げたコケ植物は、その後の陸上植物や陸上動物の道を切り開きました。

長い歴史の中で厳しい環境変化にも耐えてきた苔ですから、簡単に除去できないのも当たり前といえば当たり前。「苔を除去しても、空気中の胞子を介して必ず戻ってきます。苔は人よりも強くたくましい。上手に付き合いましょう」とミヒャエル・アルトモスはアドバイスしています。

それに、他の植物が育ちにくい日陰、斜面、谷間のくぼみ、酸性で栄養分の少ない土壌でも、頑強な苔なら育ちます。庭のグランドカバーとして苔を選ぶ利点は大きいのです。

Saihoji / Kokedera

苔の利点

苔には、頑強さ意外にも、あまり知られていない多くの利点があります。

  • 空気清浄作用:苔は細かいホコリや汚染物質を空気から取り除いて、浄化してくれます。
  • 保水作用:苔の表面の細かい凹凸がスポンジ構造になっているため、乾燥した時期には湿気を吸収し、徐々に周囲に放出します。逆に、雨が多い時期には水を蓄え、土壌の流失を防いでくれます。
  • 冷却作用:苔の生えた森がひんやりとしているのは、苔が水分を吸収して均一に放出するため。熱のこもる都心部であっても、苔を植えておけば、夏場に心地よい涼しさをもたらしてくれます。
  • 小動物の生息地:苔は無数の小動物や微生物の住処となり、庭の生態系全体の多様性を支えます。
  • 手入れが簡単で丈夫:極度の乾燥が数週間続いたとしても、苔は少しの水分ですぐにみずみずしく復活します。さらに、苔は養分をほとんど必要としないので肥料を与える必要がありません。お手入れといえば、年に2〜3回の除草と秋の落ち葉取りで十分です。
  • 和の風情:苔の庭はまるで瞑想しているような落ち着いた雰囲気。日本では、1000年以上にわたって、苔を愛でる伝統があります。おそらく世界で最も有名な苔庭である14世紀の西芳寺庭園は、ユネスコの世界遺産に登録されているほどです。
Fall

庭に苔を植えよう

苔と戦うのではなく、苔を育ててみませんか?特に、湿気の多い場所や日陰ではおすすめです。

もちろん例外もあります。階段や小道、スロープなどでは苔はNG。根が浅い苔は、踏ん張りが効かないため滑りやすく危険です。足場の苔はこすり取っておきましょう。

Winter colors-green and brown

庭に苔を植える方法

苔を植える方法は驚くほど簡単です。

  1. 園芸店などで苔を購入するか、苔の生えている場所で採取する。(注意:野生の苔のなかには保護されている苔もあります)
  2. 庭の土壌表面を少し削る。
  3. 購入または採取した苔を置き、しっかり押さえる。
  4. 苔の成長期には湿度を保つ。
Moss

これからガーデニングシーズンです。苔の庭には上記のような利点もあるうえに、春のみずみずしい緑から、生命力溢れる梅雨時期を経て、秋には落ち着いた色へと四季折々変化を楽しめます。今年は苔の庭に挑戦してみてはいかがでしょうか?

出典: geofaz

プレビュー画像: ©pinterest/homefortheharvest ©flickr/jakie-dee