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トリビア

クロネコヤマトの不在票にあるギザギザの理由|それは優しいデザイン

便利になった現代では、昔に比べオンラインでの買い物が当たり前となり宅配便の取り扱いは年々増加しています。ネットの発達や利用者の増加に伴い、デジタル化が進められ宅配便のサービスもどんどん便利に。仕事から帰り、郵便受けに入っていた不在票を確認すれば、再配達もすぐに手配をすることができます。

これまでに何度も手にしたことがある不在票ですが、クロネコヤマトの不在票には実はある仕掛けがあることをご存知ですか?クロネコヤマトの不在票は、表面の名前部分の両脇がギザギザのデザインになっています。

これは実は、視覚障がいを持つ方にも「クロネコヤマトの不在票である」ことがわかるようにするためのものだったのです。

このギザギザが付いた不在票が使われるようになったのは、今から25年前の1997年8月。

きっかけとなったのは、ある社員のアイデアからでした。その社員は、視覚障がいを持つ彼女の友人が、目が不自由なためポストに入っていた紙類の中から不在票に気づくことができず、荷物を受け取れなかったという話を聞いたのだそうです。

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「目が不自由でひとり暮らし、なんて宅急便の人には分からないわよね」

目が見えず不在票だとわからなかった友人のこの一言に、すぐに会社に不在票の改善の提案が出され、不在票の開発が始まったのです。

元々は視覚障がい者の方が利用している点字を使ったものが考えられていましたが、調べてみると目が不自由な人のうち点字を読めるのはわずか2割程度ということがわかり、点字を使うというアイデアは不採用に。

どうしたら一枚の紙がクロネコヤマトからとわかるかを考え、いくつものサンプルを作り、視覚に障がいを持つ人に実際に意見を聞いたそう。そして出来上がったのが、この両サイドへの切り込みが入ったギザギザのデザイン。手で触れた時に、切り込みが不在票であると最も分かりやすく伝えられる方法だったこと、そしてクロネコヤマトだということが連想しやすいように、ネコの耳の形に模したデザインになったのです。

使用開始の翌年1998年の元日には、ヤマト運輸は新聞広告を掲載し、ネコ耳のついた不在票への認知度のアップも図っています。それ以降は「不在票を見逃さずにすみました」という、視覚障害のある方からの声も届くようになったとのことです。

「だれもが使いやすいサービスに」との思いから、考えられたこの不在票は便利で画期的デザインなだけでなく、優しいデザインとも言えそうですね。

プレビュー画像:©︎Twitter/yudai_sd4rts

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