ヘルスケア
薬の使用期限守っていますか?使用期限切れの薬の体への影響は?
慢性疾患の治療のため、あるいは急な体調不良を和らげるために、多くのご家庭で薬が常備されているでしょう。
でも、薬には使用期限があります。
食べ物には賞味期限(美味しく食べられる期限)や消費期限(食べ切らなければならない期限)がありますが、薬の使用期限にはどんな意味があるのでしょうか?常備薬を飲もうと思った時に期限ギリギリだったり、期限が切れていたらどうすればいいのでしょうか?
この記事では、そんなお悩みに回答していきます。

薬の使用期限とは?
医薬品は販売が承認される前に安定性試験を行うことが義務付けられています。安定化試験では、使用期間を通して、医薬品の物理的・化学的性質が変化せず、品質が劣化しないことを確認しています。
つまり、使用期限は、その医薬品が指定された期日までは効き目が変わらず使えることを保証するものです。ですから、添付文書に記載された条件下で保存されていれば、期限ギリギリであっても薬は安心して使えます。
一般医薬品(薬局やドラッグストアで購入可能な薬)の場合、外箱に期限が記載されているので確認しましょう。おおまかな使用期限としては、錠剤やカプセルなどでは製造後3〜5年と言われています。ただし、この使用期限は未開封の状態に適用されるもの。一度開封してしまうと品質や性状の変化は早まります。
病院で処方された薬は、特別な指示がない限りは医師の処方した期限で飲み切るのが原則です。飲み忘れなどがあって手元に残っても、他の人に勧めてはいけません。
もし処方薬を自宅で保管する場合の期限は、粉薬は3〜6ヶ月程度、錠剤やカプセルは半年〜1年以内が目安と言われています。シロップ剤などの水薬や軟膏などは細菌が繁殖する可能性が高いため、処方日数が期限です。
ただし、薬の有効成分によって使用期限が異なるものもあり、一般論では言えない場合がありますので、上記の保管期間はあくまでも参考としてご覧ください。

期限切れの薬を飲んでも大丈夫?
使用期限を過ぎた薬が、すぐに危険な薬になるわけではありません。しかし、薬剤師や医師は服用しないよう勧めています。なぜなら、効果が薄れていくだけでなく、まれに有害な物質に変質していき、体に毒になることもあるためです。
たとえば、抗生剤は変性しやすいため、使用期限後や処方期間後は服用してはいけません。
また、目薬、軟膏、シロップ、ジェルなどの液体医薬品は、細菌が繁殖しやすいため、使用期限が過ぎたら必ず処分してください。

他に、以下のような有効成分や医薬品は、使用期限を過ぎると効果がなくなったり、有害物質に変化することがあるため、必ず使用期限を守って服用してください。
- 抗生剤
- 生薬配合の胃腸薬
- ヒドロクロロチアジド (血圧の薬によく含まれている)
- コデイン(鎮痛剤に含まれる)
- ニトログリセリン
- 毎日服用する薬(インスリン、抗けいれん薬、経口避妊薬など)

薬の正しい保管方法
医薬品の保管方法は、その使用期限を左右します。保管方法を誤ると、薬の効果も失われてしまいます。
ほとんどの医薬品は、直射日光を避け、湿度の低い25℃以下の場所に保管しなければなりません。したがって、薬箱を置くのは寝室やリビングルームがベストです。湿度の高い浴室や台所での保管はお勧めできません。
点滴、軟膏、シロップ、ジェル、クリームなどは開封後、短期間しか持ちません。パッケージに開封日を記入する欄が設けられている薬も多くあるのでメモしておきましょう。また、パッケージには、当該医薬品が開封後どれくらいの期間保存可能であるかも記載されているので確認が必要です。

期限切れの医薬品の捨て方
期限切れの薬を捨てるときは、原則として、容器と薬を分けて捨てることが求められます。
- 錠剤やカプセル剤は容器から出して、紙や袋で包んで可燃ゴミとして捨てます。
- 軟膏やクリームは不要な紙に中身を絞り出して可燃ゴミとして捨てます。
- 水薬は、紙に吸収させたり、燃やしてよいビニールに入れて可燃ゴミとして捨てます。医薬品をシンクに流すと河川の汚染につながるため、可燃ゴミとして出すことをお勧めします。
- 薬の容器は容器の材質(金属、プラスチックなど)によって分別して捨てます。
そろそろ、ご家庭の薬箱を整理する時期ではないでしょうか?ご説明したように、薬の中にはまれにではありますが、期限が切れると毒性が増す成分を含むものもあります。薬は健康のために服用するもの。期限内の薬は冷暗所で正しく保管し、期限切れの薬は潔く廃棄しましょう。
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