ちえとくをフォローする

その他の豆知識

車内で肉が焼けるのか|結果は真夏の車内の怖さを物語っていた

毎年、夏時期に必ずと言っていいほど耳にするのが、子供が車内に取り残され、熱中症により命を落とすという痛ましい事故。

JAFが行った実験によると、外気温35度の真夏の炎天下において、エアコン停止からものの15分で車内の温度は熱中症指数の危険レベルに達し、1時間後には車内温度は50度にまで達する結果が出たそうです。

小さな子供は特に体温調整機能が未発達のため、高温になった車内では体温があっという間に上昇し、大人が思う以上の速さで命の危険に晒されてしまうのです。

車内の温度上昇の恐ろしさがわかる動画が話題

子供の車内置き忘れを防止するため、毎年注意喚起がされる中、ある動画が話題になっています。

それが、群馬県前橋市の「ホルモンしま田」さんがYouTubeで公開した「猛暑の車内で肉は焼けるのか?」という動画です。

ホルモンしま田さんは、連日続く異常な暑さの中、車内に子供やペットが取り残された場合、いかに危険かを知ってほしいと、この実験を実施。分厚い牛もも肉を真夏の車内に放置した場合に中まで熱が入るのかどうか検証をしたのです。

牛もも肉の分厚い生肉が写っている写真です。
YouTube/ホルモンしま田

実験では、塩胡椒で味付けをしたお肉をアルミホイルで包み、ステンレス製のバッドに用意。

アルミホイルに包まれた分厚いお肉の写真です。
YouTube/ホルモンしま田

この時、お肉の中心部分は12度。

お肉の芯温が12度と計測されている写真です。
YouTube/ホルモンしま田

そうして準備をしたお肉を外気温38度〜39度の中、駐車してある車のダッシュボードの上に置き、その変化を観察していきます。ちなみに午前10時30分ごろに行ったこの実験では、車内のダッシュボード付近の温度はすでに48度を超えており、59度に達した際にお肉を置いています。

アルミホイルに包まれ、車のダッシュボードに置かれたお肉が写っています。
YouTube/ホルモンしま田

アルミホイルにステンレス製バッド、ダッシュボードの上という熱くなりやすいという条件もありますが、外から観察した際、温度計は80度を指していました。

お肉の隣に置いた温度計が80度以上を示している写真です。
YouTube/ホルモンしま田

そして1時間後、車内の肉の芯温を測ってみたところ、43度となっており、1時間と少しの間に30度も上昇したことがわかります。

お肉の芯温が43度を示している写真です。
YouTube/ホルモンしま田

さらに時間が経過した12時半ごろ、肉の芯温はついに65度を超える温度に。

お肉の芯温が65度を示している写真です。
YouTube/ホルモンしま田

この時点で肉を車内から取り出し、実験の最終段階へ。アルミホイルを剥がしてみると、お肉からは湯気が立ちこめ、分厚かったお肉に火が通ったかのような見た目になっています。

車内で蒸し焼きになった分厚いお肉が写っています。
YouTube/ホルモンしま田

最後においしくいただくため、フライパンでサッと表面に焼き目をつけ、いざ切ってみると…
ホルモンしま田さんが予想した以上に、お肉の中には熱が通っていたのです。

車内で蒸し焼きになったお肉を切ったら、中身まで火が通り、美味しそうなピンク色が見えた写真です。
YouTube/ホルモンしま田

最後はタレを作りおいしくローストビーフとしていただいたホルモンしま田さんですが、肉が焼けるほど暑くなる車内では、ペットや子供の降ろし忘れはもちろんのこと、スマートフォンなどの電子機器の置き忘れに注意を呼びかけています。(また、今回の実験は温度が一番熱くなると言われるダッシュボード付近で行っています。他の車内の箇所では温度がここまで高温になるとは限らないため、食中毒の危険性も含め、この実験の真似は絶対にしないようにとおっしゃっています。)

YouTube/ホルモンしま田

この動画には、視聴者から「わかりやすい」「毎年やってほしい」などたくさんの反響が寄せられています。

分厚い肉が食べれるまでに焼けてしまうほどに温度が上昇する真夏の車内。いかに恐ろしいものか、改めて感じたという人が多いのではないでしょういか。

子供の車内置き忘れを防ぐためにできること

夏の車内温度の危険性を知ることで注意に繋げる他にも、すぐにできる事故対策は、チャイルドシートの隣に貴重品を置くことだと言われています。スマートフォンやお財布、仕事用のバッグなどを置いておけば、万が一考え事などで子供の存在を忘れてしまった時でも、車から降りるときに子どもに気がつきます。また、降りる前の車内の指差し確認を習慣化することも事故防止に有効な手段だと言われています。

子供の車内置き忘れは日本だけではない

子供の車内置き忘れは日本だけでなく、他の国でも発生しています。そのため、防止策としてイタリアでは、2019年に車のベビーシートにセンサーをつけ、子どもが車内に取り残されていると携帯電話と連動してアラームが鳴るいう通報システムを全ての車に搭載する事を義務づける法律ができたそうです。

またアメリカでも、2021年より新たに製造される車には、エンジンを切った後、子どもが後部座席に残されていないか確認するようドライバーに知らせるアラートシステムを搭載することが義務付けられたそうです。

日本ではこういった法律はありませんが、トヨタの一部車種では「リヤシートリマインダー」という、後部座席に忘れ物があると運転席のディスプレーに通知メッセージが表示される機能があるそうです。

子供を持つ親御さんが注意をするだけでなく、社会全体でのサポート体制も整備されていくと良いですね。

まだまだ暑い日が続く中、痛ましい事故が減っていくことを願ってやみません。

プレビュー画像:©YouTube/ホルモンしま田
出典:©YouTube/ホルモンしま田, Benesse, Huffpost