こんな視点から子供との関係を見直してみるのはありかも

通路の真ん中で3歳の子供が路上に身を投げ出して全力で泣いています。子供の自転車を抱えた母親が、家に帰ろうとなだめると子供はますます泣き叫びます。 通行人はできるだけ見ないようにしています。母親は通路に膝をついて子供をなだめようとあれこれ声をかけていますが、子供は顔を真っ赤にして泣き喚きます。みんなが迷惑そうに見ていますが、誰も声をかけません。母親は無力感でいっぱいになりながら、座り込んでしまいます。

flickr/Mindaugas Danys

子供へのしつけはいつの時代も議論の的で、正しい答えなど存在しないのかもしれません。「子供のしつけがなってない」と言うのは太古の昔から言われてきことでしょう。でも現代の親子の関係には、これまでになかったちょっと厄介な現象が起こっています。

そう提起するのは教育者としてアメリカのリアリティTVショー"Take Home Nanny"に出演するエマ・ジェンナーです。このリアリティTV番組は日本でも話題となったイギリスの「スーパー・ナニー」のスピンオフ版です。彼女は著書"Keep Calm and Parent On"(「落ち着いて、それからしつけ」の意味)で、現代の子育ての課題について説明しています。

1. 地域コミュニティの崩壊

「村の子は村全体で育てる」という考え方は消滅しつつあります。地域コミュニティに住む大人たちが、子育てに対する共通の価値観を共有しているとは限らないからです。各家庭で子育て方法は色々と、他人の子供の目に余る行動に口を出す人がいないのです。一方で、教師は教育法に対する親からの意見に怯えています。結果的に親は自分たちだけで子育てをすることになります。スーパーのレジで子供が駄々をこねても、周囲の大人からサポートを得る代わりに、イライラと睨みつけられるだけなのです。

twitter/APM

2. 寛容すぎる

子供は騒ぐものですし、失敗することもよくあります。それこそ成長の過程だからです。子供達に完璧を求めることはありません。しかし、エマ・ジェンナーに言わせれば、現代の親は「子供ってこういうものでしょ」と、子供達の悪態に寛容すぎるあまり自分で自分の首を絞めているのだそうです。子供のやりたい放題を許容し続けるということは、しつけを放棄するということでもあります。子供達には、親が予想する以上に学ぶ能力があり、行儀や他者への接し方も教えさえすればきちんと身につけるそうです。でも最初から子供はこういうものと諦めていては、子供の学ぶ機会を奪うことになります。

twitter/cmbenvenuto

3. 我慢を学ぶことがない

子供の機嫌が悪くならないよう、親はあらゆる手を尽くしています。お腹が減らないようにおやつを準備して、車内では子供が退屈しないようにテレビ番組の主題歌をガンガンかけ、レストランでは待ち時間にぐずらないようにタブレットでアニメを見せて…。もちろんこうした準備はその場を乗り切るために必要なこともあるでしょう。でも親がいつも子供のニーズの先手を見越して行動していたら、子供は我慢することを学ぶことがないとエマ・ジェンナーは言います。子供たちは我慢することを学び、そのうち自分で急場を乗り切る方法を見出していくものです。

flickr/Steve Paine

4. 子供たちを恐れている

現代の家庭では、子供たちの意見は大切にされ、また意見を持つことが奨励されるので、子供たちは大人に対してはっきり意見を言います。こうして自己肯定感に溢れ、自分で物事を決定できる人間になっていきます。従順でいることと、誰かに従属する必要性が薄れている現代社会ではより重要な能力だと言えるでしょう。一方で、現代の子供たちの生活は完全に管理されています。デイケアセンターに通いだしてから義務教育を卒業するまで1日中管理され、放課後になれば塾、スポーツクラブ、習い事が待っています。こうした子供たちの状況を親もよく理解しているので、子供たちの自由な時間はなんでも好きなことをさせてあげたい、必要なものは全て満たしてあげたいとまるで赤ん坊に接するように子供たちの機嫌を取ろうと必死です。

twitter/kylegriffin1

5. 子供中心になりすぎる

現代の家庭では、子供たちが中心的存在だとエマ・ジョーンズは言います。これ自体は非常にいいことですが、子供に尽くすあまり、親の大人としての私生活を犠牲にしている人もいるのです。子供にとって、親も一人の人間であり、親には親の個人としての人生があるのだということを理解することが大切です。親も含め自分以外の人は思い通りにならないということを家庭で理解することは、社会に出てから健康的な人間関係を築く上で必須です。

flickr/Ryan and Sarah Deeds

リアリティTVショーのスーパー・ナニーが提唱するこうした「しつけのコツ」を実践したからといって、なんでもうまくいくというのは非現実的でしょう。親も子もそれぞれ個性が異なるからです。それに部外者が親子関係に口を挟んでくることほど嫌なことはありません。でもエマ・ジェンナーの意見が注目を浴びていることも事実。子供との関係をこうした視点から見直してみるのはいいかもしれません。みなさんはどう思いますか?

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