かつて本当に流行った危険すぎる5つの美容トレンド

美しくなるためには多少の痛みや窮屈さも我慢・・・という人は少なくありません。なかには、理想の美しさを追求するために、過激な美容整形肉体改造に挑む女性たちもいます。でも、こうした美に対するこだわりは決して現代だけのものではありません。古代から人々は理想美を叶えるために様々な手段を用いてきました。時には奇抜で危険な美容法が大流行することもあったのです。

この記事では、かつて多くの人々に受け入れられた歴史的な5つの危険な美容トレンドをご紹介しましょう。

1. サナダムシダイエット

現代でも時折話題になる「サナダムシ」ダイエット。寄生虫をお腹の中で養うことで、体重を減らすという驚きのダイエット法です。

実はこれ、かなり歴史あるダイエット法なのです。1900年頃に広がり、20世紀初頭のアメリカでは「消毒済みのサナダムシの卵入りの薬」の宣伝ポスターまで登場しています。オペラ歌手のマリア・カラスが減量のため寄生虫を飲んだという噂もあり、かなり一般的だったことが伺われます。

このダイエット法、寄生虫のサナダムシが宿主の体内で胃や腸の内容物を食べるため、代わりに宿主の体重が減るという理屈ですが、実際には、サナダムシが寄生しても体重が減るのはまれなケースということ。一方で、この方法は大きな危険を伴います。痙攣や脳の炎症、腸閉塞、組織の石灰化など、さまざまな症状を引き起こし、放置すれば、死に至ることもあるのです。

このポスターの薬ですが、当時は薬事法などの規制もなかったため、本当にサナダムシの卵が含まれていたかどうかも疑問だと考えられています。

©Signimu via Wikimedia Commons

2. 酸で歯を白くする

歯のホワイトニングは、21世紀になってからの流行ではありません。古代エジプトでは、木の枝で歯を磨いていたことが分かっています。ローマ帝国では、デンタルケアとして動物の骨を焼いた灰で歯磨きをし、人や動物の尿でうがいをするのが一般的でした。

近世の貴族は、白い歯で下層階級と差をつけようとしました。そのために、歯のエナメル質を削って硝酸を塗っていました。硝酸は歯を白くする効果がありますが、そのせいで虫歯や感染症が蔓延しました。

当時の貴族が硝酸の副作用をよく知らなかったのか、それとも単に気にしなかったのかについては、研究者の意見が分かれています。

3.  ベラドンナの瞳

イタリアのルネッサンス期(15〜17世紀)とイギリスのヴィクトリア朝期(1837〜1901年)には、女性の間で儚げな容姿が流行しました。特に、涙で潤んだ大きな瞳は、女性の美しさの象徴とされました。そのため、女性たちは猛毒植物のベラドンナ(イタリア語で「美しい女性」)を使ったのです。ベラドンナのエキスを目に入れると瞳孔が開き、涙があふれます。もちろん副作用があり、頭痛、めまい、目のかすみなどが起こり、繰り返し使用すると、完全な失明に至ることもありました。

なお、現在、眼科医は検査で患者の瞳孔を開くためにベラドンナの有効成分であるアトロピンを改良した薬剤を用いています。

4. ヒ素風呂

かつて欧州では白い肌は富裕層のステータスとされてきました。ヴィクトリア女王(在位:1837年〜1901年)の時代になると、美白信仰はエスカレートし、白鉛や水銀の入った白粉を顔に塗ったり、ヒ素を含んだ風呂に入ったり、ヒ素入り石鹸で体を洗うなど過激な方法が用いられるようになります。ヒ素は確かに漂白効果はありましたが、毒性があり、何度も使うと肌に黒ずみが残り、ただれることもあったといいます。副作用で腎不全になるケースも少なくありませんでした。

5. 纏足(てんそく)

古代から中国では足の小さい女性が美しいとされていたため、「纏足」というトレンドが生まれました。女性や少女の足を折りまげて、きつく縛り付け、変形させることで足を小さくしたのです。内側に折りたたまれた足の形が蓮(はす)の花弁のようだったため、纏足は蓮の花に喩えられ、蓮の花が刺繍された纏足靴も登場しました。

足の骨が折れて痛いだけでなく、曲がった足では歩くこともままならなず、女性たちにとっては辛い風習でした。骨折した足が炎症を起こして命を落とす女性もいました。1911年以降は公式に禁止されていますが、20世紀半ばまではこの習慣は続いていたと言われています。

©Magnus Manske via Wikimedia Commons

美しさを追求するはずが身も心もボロボロになってしまうなんて狂気の沙汰に思えてしまいますが、これらは実際に多くの人が飛びついたトレンドでもありました。周囲の人々に同調し、トレンドに盲目的に従うことの危険を歴史が教えてくれているのかもしれません。

プレビュー画像: ©Signimu via Wikimedia Commons ©Pinterest/scienceblogs.de

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