その他の豆知識
認知症に備えたある男性の”準備”が心を打つ
もはや「新たな国民病」とさえ言われる認知症。当事者になる可能性もさることながら、認知症になった家族や知人を支える側になる可能性も高く、誰もが避けて通れない病気といえるのかもしれません。
そんな、誰もが認知症になりうる時代の心得とも言えるあるエピソードをご紹介します。それは2020年の大晦日、ツイッターユーザーのごまたんさん(@gomachan_ks)が投稿した、91歳になるお祖父さんの行動です。ごまたんさんのお祖父さんがしていたのは「認知症への準備」。そこでは「少しでも世間様に迷惑掛けないように」とお祖父さん自らが、もしもの時に備えてしていた準備が紹介されています。
帰省シーズンなので再掲。
91歳の祖父が『少しでも世間様に迷惑掛けないように』認知症を発症する10年以上前から準備していた事を紹介します。世話をする両親は『おじいちゃん自分で対策してたから他所の家庭よりはラクだと思う』と言っています。一筋縄では行かない問題ですが、何かの参考になれば。 pic.twitter.com/TM7mTF1he9— ごまたん (@gomachan_ks) December 31, 2020
現在91歳とのことですが、その準備を始められたのがなんと20年も前の70歳の時から。
70歳で仕事を引退した時、「人間老いると我儘になる」と免許を返納したのだそう。
そして5年後の75歳の時には、携帯電話を自らGPS付きのキッズ携帯に。その時は「ボケる前から首にぶら下げる事を習慣付けないと、ボケた時に家族から付けられても多分捨てる」と、事後では遅いと言う事を自ら自覚されていました。
学校から許可が出たので
息子ちゃんキッズ携帯を持って通学デビュー
Amazonで1500円で買ってドコモで月額500円
緊急スイッチを入れると自動で嫁か僕に電話コールと
イマドコサーチにGPSでピンポイントで位置表示
保護ケースとか含めても3000円はええよね pic.twitter.com/eA1fm0Uamt— こくばん (@kuro6223) September 1, 2020
80歳の頃には、持ち物・衣類の全てに名前を書き始め、緊急連絡先を記載した布を縫い付け、万が一の時に周囲に迷惑をかけないようにと徹底するようになったのだそうです。
そして82歳のとき、その時がやってきたのです。
そこには認知症発症以降の日々が記載されていますが、居場所がわからない時はGPS機能が助けてくれ、そして何かを間違えていたとしても、そこには温かく見守る家族の姿がありました。
家族は祖父の間違いを正さず、寧ろ話に乗ります。例えば祖父が旅行気分の時は添乗員を演じ、スナックに来たと思っている時は『突き出しです〜』と言って食事を出し、外商に間違えられたら適当に物を売ります。デイサービスの方々も番台や三助を演じてくれて有り難い事です。混乱が格段に減ります。 pic.twitter.com/jSAEf7mRHH
— ごまたん (@gomachan_ks) January 1, 2021
「一筋縄では行かない問題ですが、何かの参考になれば」とごまたんさんが紹介したお祖父さんの認知症準備と家族との日々の内容に、多くの人から反響が寄せらています。
『世間様に迷惑をかけない』の方向性が「介護保険を使わない」とか「家族頼みになる」ではなくて、自分でできる先を見通しての工夫だというところがとても素晴らしいと思います。 https://t.co/BsKPMnommg
— ? ? ? ? ? ? * ねむいよ (@moromi_zzz) January 1, 2021
認知症は誰にでも発症しうる、他人事ではない病気です。
多くの人はなぜか「自分はボケない」と思っているし、それ故に何の対策も準備もしません。
認知症になった時の為に自ら準備と対策をした御仁と、そしてそれを支えている御家族…とても素晴らしく素敵です。
— うり坊 (@uribou1985uri) January 1, 2021
賢い人ですね、おじいちゃん。ちゃんと長年かけて冷静に対策してるとこが凄いです。家族への愛情を感じるし、周りのご家族の愛情も感じられ、優しい気持ちになれました(o^^o)
— タケノコ (@ta12ke30no91ko8) January 1, 2021
家族としておじいちゃんを労る姿勢に
心が暖かくなりました。
うちの爺さんも88。頭はハッキリしてますが最近は自分に自信が無いのか色々手伝うようお願いしてきます。
ごまたんさん家のように労わって接してあげたいと思いました。— ミデア@他人の為に泣ける人でありたい (@kurauti4123) January 2, 2021
認知症はどんなになりたくなくて頑張ってもなってしまう病気ですよね?
私も10年間認知症だけで要介護3の祖母と一緒にいました。食事や排泄介助も大変だったけど、やっぱり徘徊が1番大変でした?だからあなたのおじいさんの対策やご家族の対応本当に素晴らしいなって思いました☺️— ふろっぺ (@nmtYbetOHt30eZc) January 1, 2021
初めまして、夜分遅くに失礼致します。
なんだかとても素敵で涙ぐんでしまいました。病気になったこと自体は決して幸福なことではありませんが、お爺さまもご家族さまも皆さまとても素敵な考え方、捉え方、生き方ですね。
— くろゑちゃん?? (@ta_croe) January 1, 2021
ごめんなさい「満を持して」で笑ってしまいましたw
しかしなるほど。
参考になります。— MS-06P (@MS_06P) January 1, 2021
認知症は年を重ねていけば誰もに現れる可能性がある症状。人生100年時代と言われるようになった今、認知症への理解、そしていつか来るかもしれないその症状への準備を本人自ら、そして家族も共にすることが、これからの時代に必要となってきます。一人一人性格が違うように認知症の症状もきっとそれぞれ違ってくることと思います。ごまたんさんのお祖父さんや家族の認知症との付き合い方が、大変な中にも愛とユーモアたっぷりで心にじんわりとその温かさが染みてきます。
認知症準備と聞くと、先が見えない不安を覚えますが、自分も周りも少しでも楽で、そして笑っていられるための準備として捉えたら、ごまたんさんのお祖父さんのように「満を持して」その時を迎えることができるのかもしれません。
以前紹介した認知症のお父さんが残したメモの記事もぜひご覧ください。
プレビュー画像:©︎Pinterest/山本幸子

