ちえとくをフォローする

その他の豆知識

「オナラを嗅ぐと健康になる」って本当?

オナラを嗅ぐと健康になるという話を聞いたことがありませんか?

この話は単なる噂話ではありません。実は、Medicinal Chemistry Communications誌に掲載された英国エクセター大学のある医学研究で、オナラの臭いが病気を予防する効果があることがわかった!とメディアで話題になったのです。

本当におならを嗅ぐと健康になれるのでしょうか?

もしかして「にぎりっぺ」が新たな健康法として脚光を浴びる日が来る?芋や豆をよく食べて臭いオナラを嗅いでいれば長生きする?そんな次々に湧く疑問に答える前に、まずオナラとその臭いの正体を明らかにしておきましょう。

©MediaPartisans

オナラはなぜ臭いのか?

オナラは誰もが日に何度もしている生理現象。簡単に言うと腸内に発生したガスが肛門から排出される現象で、消化が正常に機能していることを示しています。オナラは生理現象なので、我慢していると腹痛や鼓腸、便秘の原因になります。

消化の際に発生するガスのほとんどは無臭です。オナラが臭くなるのは、大腸のバクテリアが特に大量の食物繊維や硫黄を含む食品を分解しなければならなくなったときだけです。オナラを臭くする食品には次のようなものがあります。

  • 豆類
  • 全粒粉製品
  • 芋類、玉ねぎ、にんにく、大根、ブロッコリー
  • 牛乳

これらの食品が消化されると、硫化水素(H2S)が発生し、卵の腐ったような臭いを放つようになります。

SNC11380.JPG

なぜ自分のオナラは他の人のオナラより臭くないのか?

自分のオナラの匂いは嫌いじゃない(というより、好きだ)、という人は実は少なくありません。

悪臭を放つものは病原菌の温床となる可能性を示す警告信号なので、人は本能で悪臭を避けます。

しかし自分のガスの臭いに耐えられなければ困りますよね。そのため、自然は自分のものへの嫌悪反射を抑制するようにできています。そのため、自分のオナラはそれほど臭く感じません。同じように親は自分の赤ちゃんの排泄物に嫌悪感をそれほど感じないのです。

また、臭いに慣れ親しんでいることも、自分のオナラに鼻が驚かない原因です。実は臭いが鼻に届く前に、体はその臭いにすでに慣れています。味覚と嗅覚の受容体は体のいたるところにあり、腸の中にもあるのです。

©Pixabay

オナラを嗅ぐことは健康に良い?

さて、最初の質問に戻りましょう。自分のオナラを嗅ぐと病気が治るというのは本当でしょうか?豆を食べる人はオナラを嗅いでいるおかげで長生きなのでしょうか?強い臭いのオナラは無臭のオナラより健康的なのでしょうか?

残念ながら、そうとは言えないようです。米国テキサス大学のCsaba Szabo教授は、エクセター大学の研究は重要な研究ではあるものの、多くの人に誤解されていると言います。実は、この研究はオナラとは何の関係もなく、あくまでも硫化水素(H2S)が病気の細胞の再生に与える影響を調べた研究だったのです。

「硫化水素は、血管機能、炎症反応、脳内神経伝達物質、様々なものを調節しており、癌細胞も例外ではありません」

確かに硫化水素は私たちのオナラを臭くするガスの一種ですが、この研究では、オナラに含まれる硫化水素ではなく、実験室で作られた硫化水素をシャーレ内の細胞に投与したのです。

「この研究のどこにも、オナラを吸いこむとは書いてありません」とSzabo教授は言います。

©Pixabay

結論

噂の真相:英国の研究の小さなディテールが誇張され、「オナラを嗅ぐと健康になる」という見出しのニュースが次々に発表されていたのです。

残念ながら、オナラを嗅ぐと病気が治るという画期的な研究結果ではなかったようです。そうだったら、人前でもっと気軽にオナラをすることができたはずなのに残念ですね。

しかし、硫化水素の研究をした英国の研究者は「将来的にオナラを吸い込むことが健康に良いと証明される可能性はある」と話しているそうです。新たな研究結果が楽しみですね。

出典: nbcnews , youtube/maiLab

プレビュー画像: ©MediaPartisans