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Lifehacks

【温故知新】昔の暮らしには未来の暮らしのヒントがたくさん

皆さんの想像する未来の暮らしはどんなものでしょう?20世紀後半に盛んに描かれたのは、ロボット化やデジタル化の進んだ未来予想図。でも、今の若者が思い描く理想の未来像はかなり違ったものになっているのではないでしょうか。

若い世代は今のライフスタイルを延長していては地球がもたない、という現実を理解しています。彼らが理想とするのは、人々が持続可能な暮らしを営む未来、そして、国や人種にとらわれず、誰もが自分らしく心豊かに暮らせる未来。

実は私たちの祖父母や曾祖父母の時代の暮らし方に、私たちが向かうべき未来の暮らしのヒントが隠されています。

温故知新(おんこちしん)という言葉をご存知でしょうか。中国の思想家、孔子の「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」という言葉から作られた熟語です。この記事では、温故知新をテーマに、未来の暮らしのヒントとなる昔の価値観や暮らし方をご紹介します。

ちょっと昔の暮らしから学べる8つのヒント

1. 「持続可能」という言葉が生まれる前から持続可能な暮らしはあった

いわゆるZ世代(1995年以降に生まれた世代)は上の世代と比べてサステナビリティ(持続可能性)への意識が高いと言われています。確かに、親世代は経済的な豊かさを至上の価値と考えて、モノやお金にあふれた生活を目指してきました。

でも、もっと上の祖父母や曾祖父母の時代は?実は2、3世代前の暮らしから、私たちは持続可能な暮らしの実践を数多く学べるのです。季節の食材を食べる。野菜はその土地で採れた新鮮なもの、あるいは自分の家の庭や山や川で採れたものを食べる。野菜は漬物にしたり、干したり、魚は佃煮にして長期保存できるようにする。衣服や家具、道具は世代を超えて受け継ぎ、壊れたものは修理する。それが当たり前だった時代はそれほど遠い昔ではありません。頭でっかちにサステナビリティを考えるよりも、少し昔の暮らしに学ぶ方が案外近道かもしれませんね。

Man working on repairing a clock

2. 果物は最高のおやつだった

昔は子どもに「健康にいいから果物を食べなさい!」なんて言う必要はありませんでした。だって果物は子どもにとってはめったに食べられない貴重なおやつだったです。近所のどこに美味しい果物がなるかは子どもたちにとってお宝情報でした。市販のお菓子にはない栄養が詰まった果物、見直してみませんか?

Snow White, part 2

3. 本が読めることは当たり前のことではなかった

1970年に、世界で学校教育を受けていた女の子はわずか65%。2015年には90%に達しましたが、ちょっと前の世界では字が読めることは当たり前ではありませんでした。

コロナ禍で昨年たくさんの子どもたちが学校に行けない、オンライン学習ができない、という状況に陥りました。あらゆる人が学ぶ機会を得られるようにすることは、今も忘れてはならないとても大切なことなんです。

About 1925 Sandviken

4. 心豊かに遊べるおもちゃとは?

かつての子どもたちは棒や針金、ブリキ缶、空き箱などで色々なおもちゃを自作したり、親に作ってもらっていました。必要なのは少しの想像力と自由な時間です。それだけで子どもは夢中で楽しめるのです。

Two little boys playing in boxes

5. タバコは女性解放運動のシンボルとして利用された

1940年代まで喫煙は女性解放運動のシンボルでした。当時、多くの女性が男性と同じ権利と自由を持ちたいと公に示すためにタバコを吸っていたのです。

これには裏話があります。1929年、米国の大手タバコ会社の社長がタバコ普及のために、ニューヨークの復活祭のパレードでフェミニストたちがタバコに火をつけながら練り歩くというアイデアを思いついたのです。この策略は宣伝広告として成功し、この後、多くの女性が自由の証としてタバコを吸うようになりました。大衆を操作するための広告や宣伝の手法が研究され始めたのが、この頃と言われています。

6. 女性がサッカーをすることは許されていなかった

今では女子サッカーはメジャーなスポーツですが、女性がサッカーをすることは、長い間、公的には許可されていませんでした。各国のスポーツ協会は「サッカーは女性のからだに有害」という意味不明な根拠で、女性のサッカーを禁止していたのです。長年、不遇の扱いを受けてきたサッカー好きな女性たちは、それでもプレーを続け、とうとう1971年にFIFA(世界サッカー連盟)が女子サッカーを公式に認める通達を出しました。

Damlaget 1937

7. 家電はもっと長持ちだった

現代の電化製品は技術的にも視覚的にも洗練され、価格も安くなっています。でも製品寿命が短く、定期的な買い替えが必須です。一方、昔の家電メーカーは多機能であることや低価格であることよりも、品質の高さや耐久性を重視していました。100年前の家電が今も現役、なんてことがあるのはそのおかげです。

限りある資源を大切にするために、どちらがよい未来につながるのか、売る側も買う側ももう一度考えるときがきているのかもしれません。

Washing Machine

8. 人と人との繋がり

今はコンビニや通販などで24時間必要なものが手に入る時代。生活が便利になり、ご近所同士の助け合いの必要性はなくなってしまいました。でもその一方で、人と人との繋がり、信頼、温かさといったものが希薄になっています。

心豊かな暮らしには、人と人との繋がりは欠かせません。困っている人がいれば、自然に周りの人が手を差し伸べる社会、そんな未来のヒントも過去の暮らしの中にあるのかもしれません。

Family Portrait in the Garden (c.1922)

人類は多くのことを成し遂げてきましたが、孔子が「温故知新」を説いたように、どんな時代でも過去を振り返ることには価値があります。成し遂げられたことを評価するためにも、守りたいものが何かを確認するためにも…。

プレビュー画像: ©imgur via reddit/sumslev ©flickr/Mike