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子育て

海外の論争 親子のキスは愛情表現?それともタブー?

海外では、愛情表現や挨拶として家族や友人と日常的にキスを交わす国があります。日本でも親が小さな子どもの頬やまぶた、頭にキスすることはそれほど珍しくないことでしょう。

でも、親が子どもの唇にキスをすることについては、海外でも微妙な問題のようです。親だけでなく、専門家でもこの問題については色々な意見があるのです。

最近では、デビッド・ベッカムが娘とのキスの写真をインスタグラムに投稿して物議をかもしました。コメント欄では、愛情豊かな親子関係を微笑ましいとする意見と不適切な行為だと憤る批判が真っ向から対立しています。

対立する意見

ある親にとっては、子どもに口づけをするのは全く普通のことですが、他の親にとっては、明らかに境界を越えていることです。擁護派にとって、親子のキスは愛情のしるしであり、家族の愛情豊かなコミュニケーション手段。一方、反対派は、親が子どもに口づけをするのはおかしいことで、不健全だと考えています。

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専門家の意見

このテーマについては、専門家の間でも意見が大きく分かれています。

反対意見

米国カリフォルニア大学(UCLA)の心理学者シャーロット・レズニック博士は、子どもへの唇へのキスは子どもを混乱させるとして、批判的にとらえています。子どもは5、6歳から自分の体や性を認識し始めるので、親同士の間で行われるキスと自分へのキスが同じだと気づくと、親子の関係や役割の理解を混乱させる可能性があるというのがその理由です。

賛成意見

オーストラリアのシドニーにある児童心理センターのフィオナ・マーティン博士は、親子の唇へのキスは普通のことであり、愛とつながりの証と見ています。彼女の意見では、親と子の間のキスは何ら性的なものではありません。

ドイツの児童心理学者のクラウディア・ルップも同じように考えています。もし、子どもが幼い頃から愛情の証として親に口づけをしたとしても、性的な感情や性的な興味は伝わらないと彼女は主張します。また、子どもは成長するにつれ、唇にキスすることを望まなくなる年齢がやってくると彼女は言います。遅くとも思春期には、親からキスされると恥ずかしいと思うようになるのだそうです。

また、ドイツの家族カウンセラーのカタリーナ・ワイナーは、子どもの口にキスしてもいいかどうかという問いには家族ごとに答えがあり、一つだけの正解はないと言います。しかし、子どもと親の境界線が尊重される限り、その行為に問題はないと考えています。

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キスとキスを区別する

とはいえ、親や友人からのキスと、大人同士の情熱的なキスの違いを子どもは知るべきだというのが、賛成派の専門家の意見です。

また、子どもが親から唇にキスされることを望まない年齢になったら、すぐに敏感に反応し、子どもの決断を受け入れるべきです。

12歳の息子がパパとママにキスされて友達の前で恥ずかしくなり、それを嫌がったら、親はそれを止めるべきでしょう。一方、子どもが親からの愛情や安心感を必要としているときには、たとえ年齢が高くても拒絶すべきではありません。

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健康のために

一方、医学的な観点からの全く別の意見もあります。英国の歯科医は、少なくとも生後数週間から数ヶ月の間は、赤ちゃんの口にキスをしてはいけないと述べています。というのも、まだ歯が生えていない赤ちゃんの口内に、親の虫歯菌などの細菌が入ってしまう可能性があるからです。他にも、赤ちゃんの免疫システムはまだ脆弱なので、親子のキスから溶連菌、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスに感染する可能性があります。こうした感染のリスクは低いと考えられますが、少なくとも最初の数週間は新生児の口にキスをしないように医師はアドバイスしています。

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親子のキスはあり?なし?という疑問は、海外であっても賛否の分かれる議題のようです。

最終的には、人生における多くの事柄と同様に、本人がどう考えるかということが最も重要になるのでしょう。子どもは、年齢に関係なく、親からの愛情と安心感が得られなければなりません。けれども、これはキスに限らないことですが、子どもが不快に感じることには、いつでもNOと言えることが大切なのではないでしょうか。

出典:wienerin , gofeminin , family

プレビュー画像:© flickr/ Toshimasa Ishibashi © flickr/Jamie Smed