洗剤、チョコレート、インスタント食品、アイス…切っても切り離せないパーム油

今、世界はオイルラッシュの時代。といっても化石燃料のことではありません。1990年以来生産量が10倍以上に増加しているパーム油のことです。 世界のパーム油生産の85%を占めるインドネシアとマレーシアでは、パーム油の原料アブラヤシの農園開発のために北海道と九州を合わせたのとほぼ同じくらいの広大な熱帯雨林がすでに失われました。

パーム油の生産は、地球上で最も多様な生物が生息する熱帯地域に集中しています。ゾウやオランウータン、トラなどの野生動物は森を追われ、オランウータンに至っては生息地の80%がすでに失われているそうです。広大な熱帯雨林の消失は、野生動物の絶滅、さらに地球全体の気候変動の加速につながっています。

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そこで現在世界中でパーム油の使用を見直す動きが広がっています。しかしこの記事でも紹介しているように、あらゆる商品に入っているパーム油を排除するのはほとんど不可能で、しかも良いアイデアでもありません。これからご紹介する10の商品を見れば、意外なものにもパーム油が使われていることに驚くはずです。

1. 洗濯洗剤アリエール

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今から4,500年前の世界最古の石鹸の作り方には、脂肪と炭酸カリウムを混ぜて石鹸を煮出す方法が記述されていますが、原則は現在も変わりません。洗剤類に含まれる界面活性剤、グリセリンや乳化剤を生成するには脂肪が必要です。したがって主要ブランドの洗濯洗剤だけでなく、食器用洗剤のほとんどがパーム油をベースにした成分を含んでいます。

アリエールの製造会社P&Gは、認定された農園で生産された「認証済みのパーム油」のみを使用していると発表しています。しかしNGOからは、パーム油の生産者が熱帯雨林を破壊していないことを監視する第三者機関の設置が求められています。

2. ダヴ ボディウォッシュ

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パーム油はほとんどのシャワージェルやボディウォッシュに含まれています。パーム油自体には香りはなく、皮膚の再生を促すビタミンと抗酸化成分を含み、潤いを保ち滑らかな素肌にしてくれます。

パーム油以外の植物性油を使用している製品もありますが、原料を輸入しているのであれば環境負荷の少ない製品とは言えないでしょう。ダヴを製造するユニリーバも、「認証済みのパーム油(RSPO認証)」を主に使用しています。数年内にユニリーバは、自社管理のアブラヤシ農園を設営する予定です。

3. イケアのキャンドル

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イケアのキャンドルの45%はパーム油でできています。しかし通常のキャンドルは石油成分であるパラフィンからできているので、こちらの方が環境負荷が少ないとはまったく言えません。

イケアのキャンドルは、認証済みアブラヤシ農園のパーム油を使用していますが、環境保護NGOグリーンピースは、パーム油の生産者をすべて開示するよう求めています。

4. マギーブイヨン

マギーブイヨンやクノールスープの素にはパーム油が含まれています。でもカップラーメンや冷凍ピザ、パスタやカレーなどのインスタント・レトルト食品のほとんどはパーム油を使っていて、パーム油不使用のものを探す方が困難なほど。

マギーやその他インスタント食品の製造会社ネスレは、持続可能なパーム油製造に取り組んでおり、その活動は環境NGOグリーンピースからも認められています。パーム油を他の植物油に切り替えると宣言した食品大手もありますが、他の植物油で賄おうとすると結局はアブラヤシ農園よりもずっと多くの土地を必要とするため、環境団体からは非難の声が上がっています。

5. ミューズリー

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最近では、シリアルやミューズリーを朝食に摂る人も増えていますが、パーム油も同時に消費していることはほぼ間違いありません。ミューズリーは平均して成分の11%がパーム油でできています。

ミューズリーやシリアル、プリングルスなどのスナック類の製造大手ケロッグは、パーム油製造者を公開するなど透明性が高く評価されていますが、持続可能なパーム油使用にはまだ程遠いと環境団体からは批判されています。

6. マーガリン

マーガリンはその21%がパーム油でできており、パーム油を最も多く含有する食品のひとつです。しかしパーム油を使ったマーガリンのブランドの多くは、ダヴの製造会社と同じユニリーバ製。したがって、RSPO認証のパーム油を使っています。

パーム油を使用したマーガリンが増えているのは、食品業界全体がトランス脂肪酸を含む油脂を敬遠しているからというのが大きな理由のひとつ。森林伐採を加速しない、自然環境に配慮した方法で作られたパーム油を使うことを示すRSPO認証の有無に注目することが大切です。

7. ミルカチョコレート

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チョコレートはカカオと砂糖、そして植物油脂でできています。チョコレートの形を保ち、口どけを良くするためにパーム油やひまわり油などが使われます。平均して、チョコレートの12%はパーム油からできているそうです。

オレオやミルカなどチョコレートスナックの製造大手モンデレーズは、グループ全体で自社独自の森林破壊ゼロ基準を制定しており、基準を満たしたパーム油生産者のみとの取引を行っています。しかし、パーム油生産者の開示は一切行っておらず、透明性を批判されています。

8. アイスクリーム

スーパーやコンビニで売っているアイスクリームには、大きく分けて3種類あります。クリームをたっぷり使ったものだけがアイスクリームと呼ばれ、クリームの代わりにパーム油などの植物油脂を使ったものは含有量によってラクトアイス、アイスミルクと呼ばれます。

明治乳業や森永製菓はRSPO認証パーム油導入に向けて動き出していますが、パーム油を消費している大手食品メーカーの参入はまだほんの少数です。

9. バイオマス発電

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世界中で、温暖化防止対策で二酸化炭素削減が求められるなか、化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源を使うバイオマス発電が注目されています。パーム油は「再生可能な生物由来の有機性資源」として使用量が増えつつあるのです。

しかしパーム油は、そもそも広大な熱帯雨林を伐採した農園で作られるため、生産過程ですでに膨大な二酸化炭素を排出しています。そのためヨーロッパではバイオマス燃料としてのパーム油使用は規制が進んでいますが、日本では規制はかかっておらずバイオマス発電に伴うパーム油の使用が増えると予想されています。

10. ヌテラ

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パーム油を使った食品といえば、ここ何年も名指しで指摘されているのがこのヌテラ。しかし、イタリアの製造会社フェレロは、自社製品のパーム油を100%RSPO認証のものに切り替え済みです。環境NGO団体からもフェレロ社の努力は認められています。

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こうして商品を見てみると、インドネシア・マレーシアの広大な熱帯雨林の破壊に私たちの生活がどれほど密接に結びついているかがわかります。そして地球環境のためにパーム油を使った製品自体をボイコットするのではなく、製品にパーム油を使用しながら持続可能な生産方法に切り替える努力を怠る企業に厳しい目を向けるべきでしょう。RSPO認証については、こちらで詳しく知ることができます。

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