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濃すぎる体毛を受け入れたPCOSの5人の女性
人は誰しも 、なにかしらのイメージに自分を当てはめようとしがちです。女性らしさ、男性らしさといった根拠のないステレオタイプに当てはまらない人を「異常」と見る人はいまだにいます。そして自分がそうしたイメージにうまく当てはまらないことで悩み苦しむ人も。
LGBTQなど、これまでの男女の区別に当てはまらない人の存在はここ数年で広く知られるようになりました。でもいわゆる「女性らしい身体」でなくなることもある、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性たちのことももっと知られるべきでしょう。
PCOSとは排卵が行われず卵巣内に複数の卵胞ができた状態で、月経異常やホルモン異常になることがあります。あまり知られていませんが、実は閉経前の女性の5〜10%が実はPCOSを患っていると言われています。
症状
もっともよくみられる症状は、ニキビ、皮脂の増加、頭髪の抜け毛、そして体毛の増加です。体重増加と月経不順も一般的で、月経が止まってしまう人もいます。
PCOSで危険なのは、インスリン抵抗性が高まる場合です。細胞がインスリンの作用に抵抗性を示すと、糖尿病のリスクが高まるためです。卵巣に複数の卵巣ができる症状それ自体は悪性のものでない限りリスクはありません。
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原因
PCOSのはっきりとした原因はわかっていません。でも思春期のホルモン分泌量が平均より多かったためホルモン同士が互いに作用し合っていることは知られています。また男性ホルモンとして知られるアンドロゲン分泌量が増えることもわかっています。アンドロゲンが増えると、女性ホルモンのエストロゲンが増えすぎて排卵と月経が不順になるのです。無排卵が続くと、さらに複数の男性ホルモンの分泌量が増えてしまいます。
治療
治すことはできませんが、症状を緩和させることは可能です。ピルやホルモン剤を服用することで、男性ホルモンの増加を抑えるため、声が低くなる、体毛が増えるなどの症状に効果があります。妊娠を希望する場合は不妊治療が行われます。また食事制限やエクササイズなどでPCOSによる体重増加も抑えます。
PCOSと生きる人たち
とはいえ、ピルもホルモン剤もすべての人に効果があるわけではありません。また人によっては副作用などで二重の苦しみを味わうことも。対処療法はもうやめて、ありのままで生きることに決めた5人の女性たちの姿をご紹介します。
1. リーア・ヨルゲンセン(Leah Jorgensen)
33歳のリーアがPCOSと診断されたのは14歳のとき。体毛が異常な場所に生えてきたのです。「男」と呼ばれ、からかわれることは日常茶飯事。毎日体中の毛を剃って、長ズボンに長袖、タートルネックのインナーを着て出歩く日々は27歳まで続きました。
ある時、シェービングと体を隠す努力に嫌気がさしたリーア。思い切ってありのままの姿で過ごすことに決めます。体毛が濃いことは悪いことでも異常なことでもないとソーシャルメディアで現在の様子を紹介するリーアは、世界中の同じ悩みを抱える多くの女性を勇気づけています。
2. ハルナム・カウル(Harnaam Kaur)
ハルナムの場合、PCOSの症状は顔の毛、つまり髭となって現れました。英国に生まれた彼女の思春期は、いじめと自己嫌悪との戦いで自傷行為を繰り返していました。でも16歳頃から、自分の体を受入れられるようになったというハルナム。ソーシャルメディアを通して多様性と違いを受け入れる大切さを世界中に発信し続けています。
「私はこの外見だからこそ、多様な美のあり方を世の中に訴えていく使命があるように感じています。私たちはみんな違うのだから、美しさを定義することなんてできないはず。外見に関わらず互いを認め合うことができたら素晴らしいですね」
3. アルマ・トレス(Alma Torres)
初めて髭を剃った日は、アルマにとって辛い思い出です。その瞬間が苦しみの始まりとなったからです。以来毎日泣いては自傷行為を繰り返しました。
でも2016年9月11日、すべてが変わります。もう髭が生えることを隠すのをやめたからです。「今、私は私自身が大好き」彼女の姿は自信に満ちています。
4. ミランダ・ノーディーン(Miranda Nodine)
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アメリカに住むミランダも、PCOSを受け入れた現在の生き方をInstagramで発信するひとり。「体毛の生え方に驚かされることもある。ここは生えてないのに、ここは生えてる、とかね。私の体は私の問題で、他の誰に指摘される筋合いはないわ」
5. アナリサ・ハックルマン(Annalisa Hackleman)
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12歳のアナリサの顔のうぶ毛が濃すぎることに気づいたのは母親でした。PCOSと診断されてからは、毛を抜いたり剃ったり、ワックスしたりの日々の始まりでした。
そんな日課に時間も労力も費やす彼女の姿を見て、髭を伸びるがままにしておいたらどうかと提案したのは夫でした。「自信を持つようになるまではかなりの時間がかかったけど、今はこのままの私が気に入っています」決定に後悔はないようです。
多嚢胞性卵巣症候群に悩む女性は実は周囲にもいるかもしれません。ピルを服用するにせよ、体毛を剃るにせよ、ありのままにするにせよ、自分の体のことを決めるのは本人のはず。そんなメッセージを発信し続ける彼女たちの姿勢は多くの人を勇気づけています。
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