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Lifehacks

「ランドセル症候群」ランドセルが子供の体を壊しているかもしれない

日本の小学生のほとんどが、ランドセルを背負って小学校に登校します。

ランドセルを背負った子供たちの姿は、入学式のある春の風物詩のような存在になっており、見ているだけで清々しく、微笑ましい気持ちになりますよね。

就学前の子どもたちは、ランドセルを親と一緒に選びながら、小学校入学への期待を膨らませたりもするでしょう。

しかしそんなランドセルが今、議論の対象になっていること、みなさん知っていましたか?

近年になって、ランドセルが重すぎることによって小学生が体に変調をきたす「ランドセル症候群」がメディアに取り上げられるようになってきました。この症状の中には筋肉痛や肩こり、腰痛などの身体的な異常だけでなく、学校に行くことが億劫になる、などといったメンタル面での不調も含まれています。

小学生だった頃を思い出してみると、確かに学校に持って行かなければならない物が多く、ランドセルがギュウギュウになっていた記憶がありませんか?

その様相は現在もあまり変わってはいないようで、実際、最近の小学生のランドセルの中身をのぞいてみると、同じ教科の教科書が2、3冊に及んだりするケースも多いため、ランドセルに常時入っているノートや教科書は15冊以上もザラ。これに筆記用具、水筒、また、音楽や美術に必要な道具などを入れると、優に5キロはオーバーしてしまいます。

これは実に小柄な小学生の体重の1/4ほどに匹敵する重さです。

また、実際に小学生にアンケートを取ってみたところ、ランドセルが「常に重い」「頻繁に重い」「たまに重い」と答えた小学生の割合は9割もいたそうです。そう、ほとんどの小学生が、重いランドセルを背負っての通学を負担に感じているのです。

まだ筋肉が十分に発達していない子どもたちが重いランドセルを背負うと、重みで後ろに引っ張られ、バランスをとるために頭を前に倒す必要が出てきます。結果として、猫背になってしまう危険性があります。また、それだけではなく、側弯症と呼ばれる、背骨が横に曲がってしまい、結果として肩こりや肩、腰の痛みを慢性的に引き起こす恐れがあるのです。

これほどの重さのランドセルを毎日運ぶのは、健康上あまり良くないというのは誰しもが想像できるでしょう。

ランドセルの重さを軽減するためには、学校に教科書などを置いて帰る、いわゆる「置き勉」を許可することが重要です。しかし残念ながら、現在の日本の小学校の実に約半数が置き勉を禁止しているというデータがあるそうです。

ランドセルが重いことの根本解決が難しいのは、このような風潮が原因なのです。

さらに言えば、これは世界的に見られている現象ではなく、日本独自の問題です。

日本と同じように伝統を重んじるイギリスでは、学生は「サッシェル」というかばんを使っており、これは日本のランドセルとよく似ています。しかし基本的に置き勉は許可されているので、日本のそれと比べるとずいぶんと小ぶりなようです。

また、アメリカなどに至っては、教科書は学校が貸与するというシステムを取っており、手ぶらでオーケーと言う学校も多いようです。そうでなくとも、好きなリュックサックなどで登校するケースが多いため、どのケースにしろ、日本の小学生たちよりもはるかに負担は軽いのです。

こうした問題は、最近になってようやくメディアなどでも取り沙汰されるようになり、人々の理解は徐々に進み始めたと言えるでしょう。

置き勉が許されたり、自由なバッグで登校できるのが理想かもしれませんが、前述した通り、根本的な解決に至るまでには、まだまだ時間がかかるのが現状です。

もし家庭にお子さんがいるのであれば、その負担が少しでも軽くできるように、家庭で工夫してみてもいいかもしれません。子供の体を守れるのは、親しかいないのですから。

プレビュー画像:  / © Twitter/ Ravigote_NoV

「ランドセル症候群」ランドセルが子供の体を壊しているかもしれない