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キッチン

魚アレルギーと間違えやすい|赤魚を食べて起こるヒスタミン食中毒

脂が乗りジューシーなサバ。美味しいだけでなく、記憶力・学習能力を高めるDHAや、血流改善や血中コレステロールを低下させる作用を持つEPAを群を抜いて多く含んでいるため、「青魚の王様」と呼ばれることもあるほどです。

スーパーでも手軽に買うことができるため、塩焼きや味噌煮にしたりと家庭での登場回数も多いサバですが、今回はサバが原因となる食中毒についてご紹介します。

サバを食べて蕁麻疹…魚アレルギー?

皆さんの中には、サバを食べたら蕁麻疹が出たという経験があるという方がいらっしゃるのではないでしょうか。つい魚アレルギーなのかも…と疑いそうになりますが、実はこれはサバの中に発生した「ヒスタミン」による食中毒の症状である可能性が高いと言われています。

ヒスタミンは、アレルギーの原因となるアレルゲンが体内に侵入した際に炎症反応を誘導する化学物質として知られていますが、魚が原因のヒスタミン食中毒の場合は、免疫反応としてヒスタミンが発生するアレルギーとは違うため、アレルギー体質でなくても発症するのだそうです。

魚の中に発生するヒスタミンは、元々は必須アミノ酸の一つであるヒスチジンであり、魚の筋肉に多く含まれています。しかし、このヒスチジンが魚の表面やえらなどに付着している細菌である「ヒスタミン生成菌」が持つ酵素によって分解され、ヒスタミンに変えられてしまうのです。

ヒスタミンが発生する要因

では、どのようにしてヒスタミンが魚の中に発生してしまうのでしょうか。ヒスタミン生成菌は、本来魚には存在をするものではなく、魚が水揚げされた後に、私たちが調理をするまでの間に、付着・増殖すると言われ、特に適切な温度管理をせず保管した場合に増殖をすると言われています。

また、魚の肉が腐敗するとアンモニアが増えて強烈な臭いを発しますが、ヒスタミン生成菌は腐敗の進行とはあまり関係なく増殖するので、腐敗が進行していない(=まだ臭くない)魚でも発生することがあります。そのほかには、魚についた傷などからヒスタミン生成菌が入り込むと言われています。

ヒスタミンが発生する魚

魚の筋肉に含まれるアミノ酸がヒスタミンの元となっていますが、サバの他にもどんな魚にヒスタミンがたまりやすいのでしょうか。ヒスチジンが多いのは赤身の魚(血合いが濃い魚)と言われ、以下の魚たちがヒスタミンによる食中毒を起こしやすいと言われています。

マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジ

ヒスタミンは加熱で消えない

ヒスタミンを作り出す原因となるヒスタミン生成菌ですが、冷凍中に増殖することはありませんが、死滅することなく、解凍すると増えると言われています。また25〜35℃くらいで活発に増殖をしますが、10℃ほどの低温で増えるものもあると言われており、冷蔵庫に入れても増殖する可能性があるのです。

一般に食中毒は細菌類の加熱処理をすることで避けることができると思いがちですが、一度生成されたヒスタミンは加熱をしても分解されることはありません。そのため、焼いたりに煮たりしたサバを食べて、蕁麻疹などの症状が出てしまいます。

ヒスタミン食中毒の症状

ヒスタミンによる食中毒の症状としては、以下の症状が挙げられます。

  • 首や顔に痒みを伴う赤い発疹
  • 口や喉の灼熱感
  • 悪心、嘔吐、下痢
  • 腹部痛と痙攣
  • 頭痛や目の結膜の充血
  • 動悸やめまい

症状は魚を食べてから10~30分以内と比較的早く出始めますがことが、1~3時間遅れることもあります。ほとんどの場合は軽症で12時間以内に回復すると言われています。

魚によるヒスタミン食中毒を防止するには

ヒスタミン産生菌は25℃~35℃ほどの環境を好んで増殖・活発になるので、気温が高い季節に魚を室温に置いておくと一気に増殖して大量のヒスタミンを生み出してしまいます。冷凍の魚を解凍する時なども、常温にせず、必ず冷蔵庫内で解凍をするようします。

ヒスタミンを大量に生み出さない、蓄積させないためには、とにかく購入後に魚を速やかに冷蔵庫に入れることだと言われています。また、冷蔵庫に入れたとしても、なるべく早く調理をするようにしてください。

温度管理の他にも、ヒスタミン生成菌はエラや消化管に多く存在するので、魚を丸ごと購入した際は、魚のエラや内臓は購入後できるだけ早く除去する処理をするようにしてください。

ヒスタミンによる食中毒は目で見ることはできないため、万が一、口に入れたとき、くちびるや舌にピリピリとした刺激を感じることがれば、直ちに食べるのをやめてください。実はヒスタミン食中毒は家庭においてはそれほど頻発する食中毒ではありませんが、小さな子供は少量でも症状が出てまうことがあります。そのため小さな子どもがいる家庭では、購入した魚の管理に一層気をつけたほうがよいでしょう。

今回挙げた魚類を購入した場合は、冷蔵庫で保管、購入後すぐ調理することを徹底するようにしてください。また、そうは言っても魚アレルギーが気になる場合は、病院でアレルギー検査を行い原因物質を確かめるようにしてください。特にサバはヒスタミン食中毒の他にも、生食の場合はアニサキス症や細菌性の食中毒にもお気をつけください。

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プレビュー画像:©︎Pinterest/Cindy

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