キッチン
魚アレルギーと間違えやすい|赤魚を食べて起こるヒスタミン食中毒
脂が乗りジューシーなサバ。美味しいだけでなく、記憶力・学習能力を高めるDHAや、血流改善や血中コレステロールを低下させる作用を持つEPAを群を抜いて多く含んでいるため、「青魚の王様」と呼ばれることもあるほどです。
スーパーでも手軽に買うことができるため、塩焼きや味噌煮にしたりと家庭での登場回数も多いサバですが、今回はサバが原因となる食中毒についてご紹介します。
サバを食べて蕁麻疹…魚アレルギー?
皆さんの中には、サバを食べたら蕁麻疹が出たという経験があるという方がいらっしゃるのではないでしょうか。つい魚アレルギーなのかも…と疑いそうになりますが、実はこれはサバの中に発生した「ヒスタミン」による食中毒の症状である可能性が高いと言われています。
夜食に焼きサバ?
(ヒスタミン食中毒なった記憶が甦えるw) pic.twitter.com/uI2Ci1iFZz— わたじ@写真仮置き (@wataji_eos) May 8, 2021
ヒスタミンは、アレルギーの原因となるアレルゲンが体内に侵入した際に炎症反応を誘導する化学物質として知られていますが、魚が原因のヒスタミン食中毒の場合は、免疫反応としてヒスタミンが発生するアレルギーとは違うため、アレルギー体質でなくても発症するのだそうです。
魚の中に発生するヒスタミンは、元々は必須アミノ酸の一つであるヒスチジンであり、魚の筋肉に多く含まれています。しかし、このヒスチジンが魚の表面やえらなどに付着している細菌である「ヒスタミン生成菌」が持つ酵素によって分解され、ヒスタミンに変えられてしまうのです。
ヒスタミンが発生する要因
では、どのようにしてヒスタミンが魚の中に発生してしまうのでしょうか。ヒスタミン生成菌は、本来魚には存在をするものではなく、魚が水揚げされた後に、私たちが調理をするまでの間に、付着・増殖すると言われ、特に適切な温度管理をせず保管した場合に増殖をすると言われています。
マサバ(石川県輪島産)
産卵期を終えこれからが旬。魚もずいぶん良くなってきました。ヒスタミン中毒(サバ中毒)の原因であるヒスタミン(ヒスチジンからヒスタミン産生菌の酵素の働きで生成)は加熱しても減らないので鮮度の良い魚を選び、常温で放置せず冷却等の温度管理をすることが大切です。 pic.twitter.com/smCkE8nd1a
— かいよ (@kaiyo0102) September 14, 2020
また、魚の肉が腐敗するとアンモニアが増えて強烈な臭いを発しますが、ヒスタミン生成菌は腐敗の進行とはあまり関係なく増殖するので、腐敗が進行していない(=まだ臭くない)魚でも発生することがあります。そのほかには、魚についた傷などからヒスタミン生成菌が入り込むと言われています。
ヒスタミンが発生する魚
魚の筋肉に含まれるアミノ酸がヒスタミンの元となっていますが、サバの他にもどんな魚にヒスタミンがたまりやすいのでしょうか。ヒスチジンが多いのは赤身の魚(血合いが濃い魚)と言われ、以下の魚たちがヒスタミンによる食中毒を起こしやすいと言われています。
マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジ
手作りご飯の材料には冷凍の魚や、内臓処理済みで売られている魚を使いましょう。
特に今からの時期によく釣れるサバ、イワシ、アジ、ブリなどの青物や、マグロ、カツオ、サンマなどはヒスタミンの元になる物質を多く含みます。
もし釣った場合はすぐ氷締めするか、その場で内臓処理してしまいましょう pic.twitter.com/aESRdUFDFq— いばらき動物病院 (@IbarakiAH) June 26, 2020
ヒスタミンは加熱で消えない
ヒスタミンを作り出す原因となるヒスタミン生成菌ですが、冷凍中に増殖することはありませんが、死滅することなく、解凍すると増えると言われています。また25〜35℃くらいで活発に増殖をしますが、10℃ほどの低温で増えるものもあると言われており、冷蔵庫に入れても増殖する可能性があるのです。
一般に食中毒は細菌類の加熱処理をすることで避けることができると思いがちですが、一度生成されたヒスタミンは加熱をしても分解されることはありません。そのため、焼いたりに煮たりしたサバを食べて、蕁麻疹などの症状が出てしまいます。
じんましんがでる食中毒って知ってるカメ? #ヒスタミン という化学物質による #食中毒 は、口の周りが赤くなったり、じんましん、嘔吐などの症状が出るよ。原因となる食品は、マグロなどの赤身魚が多いよ。ヒスタミンは一度できてしまうと加熱してもなくならないので温度管理の徹底が大事! pic.twitter.com/jSBLZY6SlV
— 豊中市保健所【公式】 (@toyonakame) July 4, 2019
ヒスタミン食中毒の症状
ヒスタミンによる食中毒の症状としては、以下の症状が挙げられます。
- 首や顔に痒みを伴う赤い発疹
- 口や喉の灼熱感
- 悪心、嘔吐、下痢
- 腹部痛と痙攣
- 頭痛や目の結膜の充血
- 動悸やめまい
症状は魚を食べてから10~30分以内と比較的早く出始めますがことが、1~3時間遅れることもあります。ほとんどの場合は軽症で12時間以内に回復すると言われています。
スーパーで値引きされてたサバの干物を買い込んで、毎日サバ食べてたんだが蕁麻疹が出た。
火を通せば無問題だと思い蕁麻疹の原因は不明だったが、経時して細菌によりヒスチジン→ヒスタミンになると、火通してもダメだと知る。勉強になった。 pic.twitter.com/L50XYxbmuz— vasco@C98 3日目(月曜日) 南フ03b (@vasco4649) September 16, 2016
魚によるヒスタミン食中毒を防止するには
ヒスタミン産生菌は25℃~35℃ほどの環境を好んで増殖・活発になるので、気温が高い季節に魚を室温に置いておくと一気に増殖して大量のヒスタミンを生み出してしまいます。冷凍の魚を解凍する時なども、常温にせず、必ず冷蔵庫内で解凍をするようします。
ヒスタミンを大量に生み出さない、蓄積させないためには、とにかく購入後に魚を速やかに冷蔵庫に入れることだと言われています。また、冷蔵庫に入れたとしても、なるべく早く調理をするようにしてください。
サバやカツオなど光物・赤身の魚に多く含まれるヒスチジンってアミノ酸は保存状態が悪いと「ヒスタミン」に変化するあわ?ヒスタミンは顔面紅潮や発疹などアレルギーのような症状を引き起こすあわ?ヒスタミンが一度できると加熱しても壊れないので新鮮なものを仕入れ、適切に保存するのが大切あわ❣️ pic.twitter.com/CjGSJechr4
— 新宿あわわ【公式】9.19ご当地キャラ成田詣そらいち出演 (@sinjukuawawa) June 2, 2020
温度管理の他にも、ヒスタミン生成菌はエラや消化管に多く存在するので、魚を丸ごと購入した際は、魚のエラや内臓は購入後できるだけ早く除去する処理をするようにしてください。
サバが釣れる季節ですけど、サバは鮮度が落ちるのが早く傷みやすい魚です。釣った後に血抜きをして内臓を早めに取り除いたら、たっぷりの氷水で冷やしながらお持ち帰りすることをお勧めします。内臓を取って低温で保存しないとアニサキスやヒスタミンが活発になりますのでご注意ください(^_^)d pic.twitter.com/nvSqwc2Zqd
— KØUTA (@turi_kouta) September 29, 2017
ヒスタミンによる食中毒は目で見ることはできないため、万が一、口に入れたとき、くちびるや舌にピリピリとした刺激を感じることがれば、直ちに食べるのをやめてください。実はヒスタミン食中毒は家庭においてはそれほど頻発する食中毒ではありませんが、小さな子供は少量でも症状が出てまうことがあります。そのため小さな子どもがいる家庭では、購入した魚の管理に一層気をつけたほうがよいでしょう。
ヒスタミン食中毒。古い青魚で起きやすい。ひどいと蕁麻疹や顔面腫れ起きます。加熱で消えません。昨晩舌にビリっとくるブリ照りを食べ、慌てて夫婦でアレグラ飲んで事なきを得ました(子供が食べなくてよかった)
この時期どうぞお気を付けて。注意喚起のページ。https://t.co/GQwUCf9MMs pic.twitter.com/jNtVJq1Oio— Hiroyov/弘世 (@hiroyov) July 15, 2020
今回挙げた魚類を購入した場合は、冷蔵庫で保管、購入後すぐ調理することを徹底するようにしてください。また、そうは言っても魚アレルギーが気になる場合は、病院でアレルギー検査を行い原因物質を確かめるようにしてください。特にサバはヒスタミン食中毒の他にも、生食の場合はアニサキス症や細菌性の食中毒にもお気をつけください。
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プレビュー画像:©︎Pinterest/Cindy


