Lifehacks
猫の命を守る|耳のマークが目印のさくらねこ
近年、動物の殺処分ゼロを目指し自治体や多くの動物愛護団体やボランティアが協力し、野良犬や野良猫の保護活動が積極的に行われています。しかし、残念ながら動物を無責任に遺棄する人は後を絶たず、人間の身勝手で辛い思いをする動物たちの数はなかなか減っていないのが現状です。
コロナ禍で飼育放棄が増えてると…暇だからペットショップで買ってくるとか…自粛期間に売れるからって販売してるとか…物じゃないし。
本当に腹立つ… pic.twitter.com/vEacI5SiS3— 一社)RENSA|すまいるフェス2022 5/14・15 @都立光が丘公園 (@RensaInfo) September 24, 2020
みなさん、街中で見かけた猫で耳がこんなふうになっている猫を見かけたことがありますか?
ケンカによる怪我や病気で耳が破れているのかな…なんて思った方もいるかもしれません。でも実はこれはあるマークを意味しており、意図的にカットされたものなのです。
カットされた耳は不妊手術済みのしるし
耳がV字型にカットされた猫達は、捕獲されたあとに不妊手術を受けて地域に戻された猫のことを意味しています。カットした部分がさくらの花びらのように見えることから、「さくらねこ」と呼ばれています。
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耳をカットするのは、一度手術を受けた猫を再度捕獲してしまうのを防ぐため。手術の麻酔は少なからず猫の体に負担をかけるので、しるしをつけて見分けることで、猫への負担を減らすことができます。不妊手術の対象となる猫は、外で暮らす野良猫たち。
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でも、どうしてこのさくらねこが生まれたのでしょう。
さくらねこの悲しい背景
さくらねこの背景には、猫の殺処分という悲しい現実があります。環境省の発表によると、2019年4月1日から2020年3月31日までの1年間で、27,108匹の猫が殺処分されています。そしてそのうちの半数以上が生後間もない子猫です。
【福岡市】
殺処分の対象となりやすい離乳前の子猫たちを救う命のリレー~授乳期の子猫をボランティアが一時的に預かるミルボラと、動物病院などが引き継いで譲渡を仲介する市独自の取り組みが奏功し、処分数が大幅に減っている。【西日本新聞】→https://t.co/R7TPgdGG4j pic.twitter.com/hFe54KHMtG
— 子猫のへや (@konekono_heya) May 11, 2020
猫は繁殖力が高く、1匹のメスは年に3回出産し、1回に平均約5匹の子猫を産むと言われています。メスの野良猫が1年で3回出産をしたとすると、1匹につき増えるのは15匹。生まれた子猫もまた、1年と経たずして出産をするようになります。そのサイクルを考えると1匹から1年で最大で50匹以上増えることになってしまうのだそう。
猫の繁殖力の高さを物語るのが、ニュースでよく耳にする多頭飼育崩壊。不妊手術をしないままでは、猫は増える一方です。たとえ飼い猫だったとしても、増え過ぎて飼えなくなったなどという理由から遺棄され、結果として野良猫がどんどん増えてしまうことになります。こうして増えすぎた猫たちが、今までも現在も残酷な殺処分の対象となってきたのです。
多頭飼育崩壊などで計20匹以上が持ち込まれる予定 旭川市動物愛護センターの猫 殺処分の危機 来週にも最大収容数突破:北海道新聞 どうしん電子版 https://t.co/laiKCimO8e #あにまある #ネコ
— 北海道新聞 (@doshinweb) October 15, 2021
このような悲惨な殺処分を根本からなくすため、保護団体が捕獲して不妊手術を行い、目印をつけさくらねことする活動が行われるようになりました。
8月度のさくらねこ活動
不幸になる可能性の高い猫を増やさない為に不可欠な
飼い主のいない猫の避妊去勢手術TNRもずっと継続しております雌11匹
雄9匹のさくらねこが誕生致しました#どうぶつ基金様 のチケットのお世話になりました?身寄りの無い不遇な猫達の為にと大切なお金をご寄付下さった pic.twitter.com/2axgCR0rb4
— 十三さくらねこの会 (@juso_sakuraneko) September 4, 2021
猫の命を守るためTNR活動と地域猫活動
この野良猫に不妊手術を施す活動は、「Trap(捕獲)」「Neuter(不妊手術)」「Return(元に戻す)」の頭文字を取って「TNR活動」と呼ばれています。(さくらねことなったのち、譲渡されていく猫もいます)このTNR活動は、地域住民と野良猫の共存を目指す「地域猫活動」として行政が補助を行っていたり、動物愛護団体やボランティアの方々などが携わり行われています。
【TNR活動報告】
先月新たに4匹のTNRを行いました。
地域の方が捕獲してくださっていたため、スムーズに病院まで連れていくことができました。
手術の見学もさせていただくことができ、とても勉強になりました。 pic.twitter.com/POTXDPTj0u— 高知工科大学 てくねこ (@Tech_Neko_kut) October 13, 2021
みなさんも最近、野良猫ではなく地域猫という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。地域猫活動とは、地域にいる「飼い主のいない猫(野良猫)」を排除するのではなく、大切な命として扱い、地域の中で猫を適切に管理し住民と共生を目指す活動のことです。
毎年自治会で取り上げられていた野良猫問題。2年前、環境委員だったので思いきって自治会あげての地域猫活動の取り組みを提案。今ではフン害で大変だった公園も地域住民の協力で以前よりずっときれいに。嫌われていた猫ちゃん達もお行儀良くなって、みんな地域のアイドル!(^^)!。 pic.twitter.com/OwsU2kPhsS
— 井上由美 (@ponyo2523) February 9, 2019
飼い主がおらず外で暮らす猫がいる地域では、フンなど被害がトラブルとなっていることもあります。そのため、地域猫活動では繁殖を防止し、猫を「地域猫」「さくらねこ」として餌やりやフンの処理などのお世話をし、一代限りの命を全うさせて飼い主のいない猫による苦情や殺処分の減少、及び命を守る活動につなげています。
耳がカットされてる猫は虐待ではなく、去勢済みの証。
地域猫とか桜猫と呼ばれてて、飼い主はいないけど、地域住民みんなで面倒みましょうと野良猫と飼い猫の中間みたいな感じ。
うちの会社、敷地に住み着いた野良猫には去勢手術して地域猫としてるんで30匹くらい住み着いてる。
つまり最高?? pic.twitter.com/IDITGek8OR— やすのふ (@yasunofu3) July 18, 2019
地域猫活動では動物病院の協力のもと、不妊手術のほか、必要に応じて寄生虫の駆除といった処置を行っているそうです。また、自治体によってもガイドラインを設け地域猫活動を推奨・支援しているところもあります。
さくら猫PJで出生数は減る一方で、未だに猫を捨てる犯罪者が居て地域有志の手数が減ってないイメージ。
新しく現れた彼もその一匹。 pic.twitter.com/nj3TKHqDSX
— sou✿ (@sou15jp) October 10, 2021
猫にはもともと野良猫はいない
ここまで、さくらねこについてご紹介しましたが、活動の元となったは野良猫。野良猫は、元々どこから来たのでしょうか。
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答えは、人に飼われていた猫が捨てられたり逃げ出した猫たちです。飼われていた猫の脱走もありますが、ほとんどが人の都合でペットとして飼われて、人の都合で捨てられてしまったというケースです。
捨てられた猫。食べ物を探している様で、ゴミ捨て場をくんくんしてみたり、ヨタヨタ歩いていて、見ているのが辛い、、#捨て猫#野良猫 pic.twitter.com/0Pq38N8D6D
— chakomi_kokoa (@ChakomiK) October 14, 2021
野良猫が減らないのは猫の繁殖力が高いから、と考えがちですが、元々は人が起こした問題であり、猫は本能のまま生きているだけに過ぎません。猫達は人間の身勝手で外に放り出され、過酷な世界で生きるしかないのです。猫による住民とのトラブルも、野良になってしまった猫たちも、元々は無責任な飼い主が原因です。
4ヶ月前ゼロになった現場に子猫が来ました。どうも人馴れしてて捨て猫っぽい。同じ年頃の似たような兄妹も近くにいたらしくそちらも通りがかりの顔見知りの方が保護してくれました。
毎日管理してるので、TNRしたり保護したりと対処できてます。TNRはその後の継続管理がとても大切です? pic.twitter.com/piKTJ2yCRE
— 「猫ともクラブ」in富田林市 (@nekotomoclub) October 12, 2021
保護猫活動や今回紹介したTNR活動が、こうした猫達の命を守っています。過去10年の統計を見れば、猫の殺処分数は大幅に減少していますが、まだまだゼロには程遠い数です。今後、何よりも無責任な飼育放棄が減っていくことで、1匹でも多くの猫の命が大切に扱われていくことを願います。
公益財団法人どうぶつ基金では、2005年から動物愛護事業の基軸として、野良猫の無料不妊手術を行なっています。活動の支援についてはこちらをご覧ください。
プレビュー画像:©︎Twitter/yasunofu3
