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Lifehacks

【もっとオープンに】生理を巡る複雑な問題を考えよう

国や地域にかかわらず、世界人口の約半数が定期的に経験していることって何でしょう?

答えは「生理(月経)」です。アフリカでもアジアでもヨーロッパでも、都市でも農村でも、10代から50代くらいの女性には、およそ月に1回の生理期間があります。

しかし、生理を巡る女性たちの状況は、国や地域によって大きく異なっています。スーパーの棚に生理用ナプキンやタンポンが並んでいるところもあれば、血流を止めるものが何もないので葉や布の切れ端を使わなければならないところもあります。

さらに、生理は多くの国でいまだにタブーの話題であり、少女や女性たちにとって生理自体が「恥」や「制限」となっています。

Periode weltweit

世界銀行の調査によると、発展途上国では多くの少女たちが貧困により生理用品を購入することができず、生理期間に学校に行くことができません。これは少女たちの学力に深刻な影響を与えています。月経が始まったことを理由に中途退学してしまう例も少なくありません。

生理を巡る問題は「貧困」や「教育」だけではありません。もう一つの重要な課題は、「トイレや清潔な水へのアクセス」です。これは人々が健康な生活を送る上で不可欠なものであるだけでなく、女性たちが衛生的に生理に対処するためにも不可欠なものです。国際NGOのウォーターエイドによれば、世界中で4人に1人が適切なトイレを利用することができず、10人に1人が清潔な水を利用できていません。

Menstrual Hygiene Management room for girls at school

ウォーターエイドでは、生理のときに不自由な思いをすることなく生活することは女性の権利だと考えています。そのため、すべての女性が出身地にかかわらず、適切なトイレと生理用品を利用できるようにすることを目指して活動を続けています。しかし、使い捨ての生理用ナプキンやタンポンは高価であり、環境汚染の原因にもなります。そのため、多くの国の女性はエコロジカルな代替用品を自分たちで作るなどの工夫をしています。

ウォーターエイドは、この問題への注意を喚起するために、世界中の女性たちによる生理対策に関するフォトプロジェクトを公開しています。さまざまな国の女性たちの創意工夫をご覧ください。

ネパール

ネパールでは多くの女性が布ナプキンを自分で縫っています。既製の生理用ナプキンは高価なうえに、適切に廃棄しなければ環境を汚染するからです。

Nepal

英国

英国の女性は様々な生理用品を買うことができます。最近はタンポンやナプキンに加え、 月経カップを使う人が増えています。なかでも環境保護に貢献するため、オーガニックコットンや生分解性素材から作られたナプキンやタンポンの使用が増えているそうです。また、月経カップは、体にとって安全であるだけでなく、再利用でき、廃棄物の量を減らすことができるため、人気が高まっています。

© Media Partisans

ザンビア

ザンビアでは、生理期間中に牛のふんを使います。女性たちは牧場からふんを集め、乾燥させてから、細長く成形し、布でくるんでナプキンのように使います。牛のふんは大量の血液を吸収するので、服を汚さずに過ごせるそうです。既製の生理用品を買う余裕がなくても、女性たちのこうした工夫で、生理期間中も女性たちは普通の暮らしを続けています

Sambia

ザンビアでは他にも、綿でタンポンのようなものを作っている女性たちもいます。しかし、この代替品は持ちが悪く、血液をあまり吸収しないため、スポーツはもちろん、生理中に走ったり、普通の生活をすることはできません。

cotton

ウガンダ

ウガンダでは、月経中にヤギの皮のスカートをはく習慣があります。このヤギ皮スカートは、いつでも手に入るため、伝統的な生理対策として多くの人が使っています。市販の生理用ナプキンもありますが、非常に高価ですし、血流の多いときは1日に3個以上のナプキンが必要です。このヤギ皮のスカートなら、大量の出血があっても一日中使えます。

Uganda 1

ウガンダに古くからあるもう一つの方法は穴を掘ることです。特に貧しい農村の女性たちは、掘った穴の上に座って地面に経血を落としています。

Uganda 2

パキスタン

パキスタンの女性たちは生理用品として古い服を再利用しています。自分や家族が着古し、現在は着られなくなった綿の衣類を裁断し、ナプキンとして縫うのです。

Green Lady Cambodia 5

残念ながら、女性たちが生理に適切に対応するためのインフラが整っていない国はまだたくさんあります。性器周辺の病気や感染症も日常茶飯事です。

これまで、生理の問題はタブーであり、重視されていませんでした。しかし、生理の問題は、世界人口の半数が人生の長い期間にわたり経験するもので、他のさまざまな問題とも密接に絡み合う重要課題であることがようやく広く認識されるようになりました。

この問題を男女問わずオープンに議論し、正しい知識と理解を深め、また若者を教育していくことがとても大切なのです。

プレビュー画像: © Pinterest/IPSnews © Flickr/REACH