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知床世界遺産センターの「本当にお願い」と題したツイート|ゴミのポイ捨てが与える生態系への影響

日本で三例目となるユネスコの世界自然遺産として登録されている北海道・知床。海から陸へとつながる生態系がわかりやすく見られることや、希少な動植物の生息地となっていること、そして動植物を保全する管理体制が整っていることが評価され2005年に登録されました。

知床世界遺産センターでは、この自然の恵み豊かな大地の管理とともに人々に知床の魅力を発信しています。しかし、つい先日知床世界遺産センターの公式Twitter「本当にお願い」と題し、私たちにあることを呼び掛けたのです。

そのツイートは、胸を締め付ける内容のものでした。

「【本当にお願い①】
今朝、世界遺産地域内に食べ残しを含む大量のゴミが投げ捨てられていました。ヒグマ、キツネ、タヌキ等の野生動物がこのゴミにおびき寄せられ、ヒグマは味を覚えてしまい人里や人に近付き最悪駆除の対象になり、キツネやタヌキは消化しきれず皮膚病になってしまい死に至ることも。」

「【本当にお願い②】
ゴミを捨てた人は投げ捨てておしまいと思うかもしれませんが、色々なことに影響が及びます。
どうかお願いです。ポイ捨てする前に考えてくれると嬉しいです?
捨てようとしているそのゴミを、ゴミ箱に入れてくれるだけで野生動物も人も助かります…?」

それは、知床国立公園内で見かけたゴミの不法投棄に関するツイートでした。ツイート内ではゴミをポイ捨てすることによって、与える生態系への影響に言及。特に、食べ物を含むゴミのポイ捨てが与える影響は大きく、ヒグマに至っては、人の食べ物の味を覚えてしまい頻繁に人里に出没するようになり、最悪の場合駆除の対象となってしまうのだそうです。近年では、日本各地でクマによる人への襲撃事件が相次いでいます。人間が生ゴミをポイ捨てするという行為は、クマの生態系を脅かすだけでなく、最終的に私たちの暮らしを脅かすことになってしまうのです。

知床世界遺産センター では、以前よりゴミの不法投棄について、注意を呼びかけていました。

また、知床にはヒグマの他にもエゾシカやキタキツネなどの動物が生息していますが、キタキツネやタヌキは生ゴミに含まれる人間の食べ物が消化できず、疥癬症という皮膚病にかかってしまうことがあるそうです。

疥癬は、ヒゼンダニという小さなダニが、動物の皮下にトンネルを作って繁殖することで引き起こされると言われており、重症化すると体や尾の毛が抜け、皮膚が厚く硬くなってひび割れるといった症状が見られる皮膚の病気です。顔面に広がると目の周辺の皮膚が硬化し、ほとんど目が開かなくなってしまい、目が見えないキツネはエサを得ることができず命を落としてしまいます。

この恐ろしい疥癬症の原因の一つが、ポイ捨てされた生ゴミにあると言われています。ゴミに含まれる人間の食べ物を食べてしまうと、油分や塩分、糖分などの多い食べ物を食べることで下痢になり、体の抵抗力が落ちて疥癬症にかかってしまうのです。

その他にも、食べ物の匂いに誘われ道路に出たことで、交通事故に遭う確率が増え、命を落としてしまうケースも起きているそうです。

この知床世界遺産センターからのお願いに多く人々からも反響が寄せられています。

「ゴミを捨てた人は投げ捨てておしまいと思うかもしれませんが、色々なことに影響が及びます」とツイート内でも、身勝手に捨てられたゴミの及ぼす影響の大きさに言及しています。人間も地球上に暮らす生態系の一つであり、私たちの生活は自然との調和のもとに成り立っています。失った自然を取り戻すには、莫大な時間と労力がかかり、それでも完全に元の状態には戻せません。安易なゴミのポイ捨てが払う代償はあまりにも大きいのです。自然を楽しむ時は、マナーを守るということを決して忘れないでおきたいですね。

プレビュー画像:©︎Twitter/@shiretoko_whc