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購買行動心理学|25%も多く買ってしまうスーパーの心理学的トリック

「なんで、こんなに買っちゃったんだろう」スーパーから帰ってきて、こう思ったことがありませんか?

スーパーで自分が買いたい以上の商品を買ってしまうのは、消費者であるあなたのせいではないようです。大手スーパーやショッピングモールでは、購買行動心理学のトリックを駆使して消費者の購買意欲を駆り立てているのです。

この記事では、欧米のスーパーマーケットで最近導入されている心理学的手法をご紹介します。この新たなトリック、スーパーでの顧客の支出を25%も増加させてしまうことがわかっています。さらに厄介な点は目につきにくい意外なアイテムを用いて仕掛けられていること。意外なアイテムとは…ショッピングカートのハンドルです。

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スーパーで駆使される購買行動心理学に基づくトリック

普段は冷静で合理的な人の多くが、スーパーの自動ドアを通過すると、購買行動心理学に翻弄される消費者となってしまいます。

スーパーでは購買決定の約70%は商品の棚の前で行われると言われています。商品棚にずらりと並ぶ商品の数、その場で検討しなければならないことに人間の脳は圧倒され、合理的な判断が難しくなります。

企業は、この脳の過負荷を利用し、スーパーの至る所に私たちの潜在意識を刺激するトリックを仕掛けているのです。たとえば、多くの人が必要とする基本的な商品を一番奥に配置したり、レジ前に美味しそうなお菓子が並んでいたり。色々なトリックに翻弄されて私たちはついつい無駄遣いしてしまうのです。

ショッピングカートのハンドルのトリックとは?

ショッピングカートのハンドルのトリックについて調査したのは、オーストリアのインスブルック大学の研究者チーム。彼らは、ショッピングカートを持つ手の位置が潜在意識を刺激する、ということを発見したのです。

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従来のショッピングカートのハンドルはシンプルに横一本のクロスバーでした。バーの上に置かれる手は親指が内側に向きます。そのため、カートを押すときは、上腕の後ろ側にある上腕三頭筋を使います。一方、新世代ショッピングカートでは、人間工学に基づき、親指を上に向けて押すハンドルが採用されました。この場合、押す動作には上腕二頭筋を使います。

違いは単純な手首の回転だけですが、これが私たちの購買行動に大きな影響を与えます。インスブルック大でマーケティングを専門とするマティアス・シュトライヒャー教授はこう説明しています。「心理学的に言えば、上腕三頭筋を使う動きの多くは典型的な回避行動であり、そのため拒絶や回避を想起させます。たとえば、自分が望まないものを遠くに置くときに上腕三頭筋を使うのです。一方、上腕二頭筋を使う動きは『何かを取る/掴む』動きを連想させます。つまり、人間工学に基づいて設計されたショッピングカートのグリップは、私たちの耳元で『もっと、もっと!』と囁くのです」

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この調査によれば、新世代カートを使って買い物をした被験者は、従来のショッピングカートを使った被験者に比べて、平均して25%も多くお金を使っていました。ハンドルが持つ強い効果に研究者自身も驚いています。「ハンドルの位置を少し変えただけで、買い物客の消費にこれほど大きな影響を与えるとは非常に驚くべきことでした」

このトリックの厄介なところは、必要のない無駄な消費が増えてしまう点だけでなく、トリックがまったく目立たない点です。気づかないうちに行動をコントロールされていると考えると恐ろしい気持ちになりますよね。

でも、幸いなことに、皆さんはこの記事でトリックを知ることができました。日本でこの新世代ショッピングカートが導入されたときは、買い物リストを用意するなどして理性的にお買い物してくださいね!

出典:psylex 

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