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小説原作で映画化に成功した貴重なヒット映画9編
小説が映画化されると、原作ファンはどんな展開になるのか、あの役は誰が演じるのか、どんな映像表現になるのか・・・色々な期待に胸を膨らませます。でも、往々にして、原作ファンの期待はどこかしらで裏切られてしまいます。
それでも、原作ファンを納得させ、映画化成功!と絶賛される稀有な例も存在します。原作に忠実にイメージを壊さないように慎重に映画化する監督が成功することもあれば、原作を大きく改編しながらもヒットする監督もいます。
今回は、原作を超えたかも?と呼び声の高い映画9編をご紹介します。
1. プラダを着た悪魔 (2006年)
2003年に出版されたローレン・ワイスバーガーの同名小説は、ヴォーグ誌で女性編集長のアシスタントをしていた作者の実体験に基づいているので、登場人物の心情や成長はあまり描かれておらず、淡々とストーリーが進む印象。一方、映画は登場人物が立体的で、人間らしく描かれており、ストーリー展開も軽快です。原作、映画どちらもファッション業界誌の裏側を描いた素晴らしい作品ですが、キャストが成長していく前向きな姿に元気をもらえるのは映画の方でしょう。
2. ナルニア国物語 (2005-2010)
『ナルニア国物語』はアイルランドの作家C・S・ルイスの全7巻からなる傑作長編ファンタジー。ただ全7巻の内容が刊行順ではないため、読者は混乱してしまうことも。一方、2005年から2010年に公開された映画3編は時系列順です。独特の世界観はそのままに、複雑な内容を圧縮して展開が分かりやすくなっており、映画化の評判は上々でした。
3. ファイトクラブ (1999)
『ファイトクラブ』は、1996年に米国の作家でジャーナリストのチャック・パラニュークによって書かれた小説です。小説もヒットしましたが、映画の成功はそれを上回りました。かなり改編されていましたが、原作者パラニューク自身に「原作より優れた脚本」と言わしめた作品です。
4. ハンガー・ゲーム (2012-2015年)
原作は米国の作家スーザン・コリンズが2008年から2010年にかけて発表した同名小説シリーズ。24人の少年少女がサバイバルゲームを繰り広げるストーリーですが、主軸は主人公カットニスの成長です。原作では読者はカットニスへの共感と反感の間で何度も揺れ動きますが、映画では観客はジェニファー・ローレンス演じるカットニスに感情移入できました。配役がよく、映画が成功した例といえます。
5. フォレストガンプ (1994)
大ヒットしたこの映画は、1986年のウィンストン・グルームの同名小説に基づいてはいますが、かなり大きな脚色が加えられています。小説の雰囲気は暗く、フォレスト・ガンプの性格は粗野で、成長もせず、ファミリー映画向けとは言えません。一方、映画では、誠実で無垢なフォレスト・ガンプが思慮深く賢い人に成長します。やはり観客は、誠実な人間のサクセスストーリーやハッピーエンドを求めているものなのです。
6. ブリジット・ジョーンズの日記 (2001)
原作は1996年から2016年に刊行された英国の作家ヘレン・フィールディングの同名小説全4巻のシリーズです。最初の2冊の映画化作品は原作にかなり忠実に作られ、原作ファンを納得させました。特にヒュー・グラントとコリン・ファースという男性陣キャストが絶賛されています。
7. ゴーン・ガール (2014)
原作はアメリカの小説家ギリアン・フリンのベストセラー小説。原作者フリンは映画の脚本も担当していますが、原作と映画の雰囲気はかなり違うものになっています。原作では2人の主人公の奇妙な関係を中心にミステリーが展開しますが、デヴィッド・フィンチャー監督による映画版はサスベンスを基調にしつつ、人間ドラマを描いた映画になっており、高い評価を受けました。
8. クラウド アトラス (2012)
原作はイギリスの作家デイヴィッド・ミッチェルによって書かれ、2004年に出版されました。6つの時代の6つの世界をつなぐ壮大で複雑な物語は「映画化不可能」と言われており、これをどう映画化するのかが注目されました。映画の監督たちは、小説の複雑な重なり合いを単純化しつつも、物語をセンスよく再構成し、物語の一貫したテーマをしっかりと伝えることに成功していると評価されました。
9. シャイニング (1980)
原作はスティーブン・キングが1977年に発表した同名のホラー小説です。原作では、登場人物の成長と徐々に衰えていく過程が詳細に語られていますが、スタンリー・キューブリック監督は恐怖に焦点を合わせました。キューブリックらしく視覚的効果を最大に生かしたホラー映画の金字塔に仕上がっています。また、主演のジャック・ニコルソンの狂気に満ちた演技も映画の評価を高めています。
いかがでしょうか。
映画の原作として選ばれる小説はたいていベストセラーか傑作ばかりなので、どんなに映画がすばらしくても、賛否が分かれるのも無理はありません。それでも、圧倒的な映像表現、耳から離れない音楽、コンパクトながら胸に刺さる脚本、絶妙なキャスティングと俳優陣のすばらしい演技など、映画だから味わえる感動もありますね。
