healthchannel
子どもの「心の荒れ」の原因は必須栄養素不足かも?!
子どもの健やかな発育に日々の食事が重要であることは言うまでもありません。でも忙しい毎日、栄養バランスに気を配る余裕がなくなり、気づかないうちに子どもが栄養失調に陥ることがあります。栄養失調と言っても、日本で増えているのは摂取カロリーは足りているのに、成長期に必要な栄養素が不足する「新型栄養失調」の子どもです。
子どもの成長に必要な栄養素が不足していると、どのような症状が現れるのでしょう。意外かもしれませんが、身体への影響だけでなく、多動やイライラ、うつなど心にも大きな影響があります。この記事では、栄養失調で起こる8つの典型的な徴候についてご紹介します。
1. 肥満
すでに述べましたが、新型栄養失調は十分に食べられない状態ではありません。不健康で偏った食事をしているため、カロリーは十分であるにもかかわらず、体に必要な栄養素が不足し、欠乏症が起こるのです。子どものころから白砂糖や不健康な脂肪を多く含む加工食品やファストフードを食べていると、カロリー過多で肥満になるだけでなく、重要なビタミン、ミネラル、植物繊維などの必須栄養素が不足し、さまざまな不調の原因となります。
2. 虫歯
虫歯は遺伝的な影響もありますが、不健康な食事とも密接に関係しています。異なる食生活で育った一卵性双生児を調べたところ、不健康な食事をしていた子どもの歯の方が虫歯が多くなっていました。
しかし、虫歯は従来考えられていたように糖分の食べ過ぎで発生するわけではありません。骨密度や骨の生成に欠かせない脂溶性ビタミンA、D、E、Kが不足していることも大きな原因です。家族の誰も歯に問題を抱えていないのに、お子さんの虫歯が多い場合は、栄養失調を疑ってみるべきです。
3. 多動
お子さんが急にじっと座って集中できなくなったときは、栄養失調の徴候かもしれません。ADHDになるリスクは不健康な食事によって著しく増加することがわかっています。ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもの多くで、マグネシウム、ビタミンB6、亜鉛などの欠乏がみられます。特にビタミンB6は神経伝達に関連するため、不足すると信号の伝達が妨げられると考えられます。
また、カルシウムは骨の形成だけでなく、心の健康に大きな影響を及ぼします。お子さんがイライラしたり、怒りっぽくなっている時はカルシウム不足である可能性があります。
4. 気分の変動
魚や貝類に含まれるオメガ3脂肪酸などの健康的な脂肪は、心の健康を維持するために重要な働きをしていることがわかっています。
ビタミン(特にビタミンB 6、B 12、C、E)や微量元素(セレン、マグネシウム)が不足すると、ホルモンバランスが崩れ、エストロゲンが多く分泌されます。過剰なエストロゲンは気分の変動を引き起こします。オメガ3脂肪酸はこの過剰なエストロゲンを吸収して抑制するため、ホルモンバランスを整える働きがあるのです。
また、オメガ3脂肪酸の摂取により、睡眠ホルモンのメラトニン値も上昇するため、睡眠覚醒サイクルも整います。成長に欠かせない良質の睡眠のためにもオメガ3脂肪酸を意識して摂取すべきです。
5. うつ病
遺伝的要因と神経疾患がうつ病の主な原因であると考えられています。しかし、加工食品やファストフードなどの不健康な食事も憂鬱な気分を助長します。特にビタミンB12とビタミンDの不足はうつ病を引き起こし、悪化させることがわかっています。
6. 言語障害
ビタミンB12欠乏症は、子どもの精神発達全般に影響を及ぼします。特に、子どもが年齢に応じたコミュニケーションをとることができないなどの言語障害がある場合、ビタミンB12欠乏症が顕著にみられます。
7. 免疫低下
病気がちなお子さんは、多くの場合、免疫力が低下していると考えられます。これは食事の栄養バランスがとれていないことが原因かもしれません。必要なビタミン、ミネラル、微量元素が不足すると、免疫力が低下し、風邪などの病気にかかりやすくなります。
8. 皮膚や毛髪の乾燥
お子さんの肌が乾燥しがちで、髪の毛が細くもろいなら、栄養失調を疑うべきです。鉄分不足やビタミンA、D、E、K 12の不足は、肌や髪の状態に悪影響を与え、弾力やツヤがなくなります。
毎日の食事で、とりあえずお子さんがお腹を満たせば安心していませんか?でも成長期に必要な栄養素が不足すると、お子さんの体と心の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。食事が心の健康にも大きく影響することを心に留めて、栄養バランスのよいメニューを食卓に載せる回数をぜひ増やしてください。
プレビュー画像:©︎flickr/Gramody, ©︎flickr/Jody Halsted