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ヘルスケア

ドイツの自然療法:風邪に効くセルフケア

ドイツでは、薬草(ハーブ)や野菜を使った自然療法が盛ん。自然療法士(ハイルプラクティカー)という国家資格まであるのです。

特に風邪のための自然療法は何世代にもわたって試行錯誤を繰り返してきたもの。その効果が信頼されているため、ドイツでは軽い風邪にお医者さんが薬を出すことは稀。自然療法で体の本来もっている治癒力を高め、回復を促すほうがいいと考えられているのです

この記事では、ドイツで風邪によく効くとされている自然療法をご紹介しましょう。

風邪をひいたとき:家庭でできるセルフケア

ドイツには「どんな病気にも効く薬草が存在する」と言われています。咳から発熱、喉の痛み、耳の痛みまで、症状別によく使われているものをご紹介します。

目次:

  1. 咳や鼻詰まりには塩の蒸気吸入
  2. 熱のときにはふくらはぎを冷やす
  3. 鼻うがいは自家製で
  4. 喉の痛みに効くうがい
  5. 咳にハチミツ
  6. 耳の痛みにタマネギ
  7. 風邪にチキンスープ
  8. やっぱりビタミンCがNo.1?

重要: 家庭薬は、軽い風邪を早く治し、症状を和らげるのに役立ちますが、高熱や咳などの症状が3日以上続く場合や、症状が悪化した場合は受診してください。

1.塩水を使った吸入

咳や鼻詰まりなどが辛い時は、洗面器に熱い湯をはり、その蒸気を吸引しましょう。特に、塩を含んだ蒸気は呼吸器を潤し、粘液をゆるめ、血行を促進するため、吸入することで、咳や鼻詰まりなどが楽になります。

やり方:

  • 水1リットルを沸かし、洗面器やボールに入れ、塩大さじ1杯を溶かす
  • バスタオルを頭からすっぽりかぶって、上半身を前方に傾けて、顔が容器の上にくるようにする
  • 10分ほど、深呼吸をしながら、蒸気を気道に入れる
  • これを1日2、3回繰り返す。

注意:最初は蒸気がとても熱いことがあります。やけどをしないように、顔を近づけすぎないように気をつけましょう。

2. 発熱にはふくらはぎラップ

日本では発熱時はおでこに氷枕などを載せて冷やしますが、ドイツではふくらはぎにぬるま湯で濡らしたタオルを巻き、気化熱で体の熱を逃がします。

やり方:

  • キッチンタオルをぬるま湯で濡らし、しぼる
  • 濡らしたタオルをふくらはぎに巻く(布団が濡れないように下にタオルなどを置きましょう)
  • その上に乾いた布をかけておく、必要ならさらに毛布をかける
  • タオルが体温で温かくなったと感じたらすぐにタオルを交換する(10〜20分ほど)
  • これを3〜4回繰り返してください。

注意:足が冷たいとき、寒がっている時、尿路感染症にかかっているときはふくらはぎラップはしないでください。

Frau liegt mit Fieber im Bett. Wadenwickel bei Fieber sind ein altes Hausmittel gegen Erkältung.
©GettyImages

3. 鼻うがい:自分で鼻腔洗浄液を作る

鼻うがい、日本でも人気ですよね。特に鼻づまりや花粉症に効果的です。

鼻うがいに使う生理食塩水は薬局やドラッグストアで買うことができますが、家にある食塩でも作ることができます。

作り方:

  • 100mlの水を沸騰させ、ぬるま湯になるまで冷ます
  • ぬるま湯に小さじ1杯の食塩を溶かす

注意作った食塩水の使用期限は、最大1週間です。時間をおいて使用する場合は、使用前に必ず沸騰させてください。副鼻腔にひどい炎症や化膿がある場合は、鼻うがいの使用は避けてください。

4. 喉の痛みに塩やハーブティのうがい

風邪をひいたときの喉の痛みは、とてもつらいもの。喉が痛くなってきたら、早めにうがいをすると効果的です。

ドイツでは、塩水やハーブティー(セージティーやカモミールティー)のうがいが、急性の喉の痛みを和らげ、粘膜の再生を助けると言われています。

  • 塩水でうがい:コップ1杯のぬるま湯に食塩小さじ1/2を溶かし、うがいをします。
  • ハーブティーでうがい:セージティーやカモミールティーを沸騰させ、ぬるくなったら、そのお茶でうがいをします。
©MediaPartisans

5. 咳にハチミツ

ハチミツには抗炎症作用があり、喉粘膜の炎症を鎮める作用もあるため、手軽でおいしい咳止めとしても利用されています。ハチミツ小さじ1杯程度を取り、ゆっくりと口の中で溶かすようになめましょう。

注意:蜂蜜は1歳未満のお子さんには与えないでください。

6. 耳の痛みにタマネギ

特に子どもは風邪のときに耳が痛くなります。耳の痛みには、温かいタマネギ湿布が効果的だと言われています。タマネギには鎮痛、抗炎症、充血除去の効果があります。

やり方:

  • 玉ねぎ1個をみじん切りにし、包丁の広い面で押し付け、汁を出すようにする
  • 薄い綿やガーゼなどの布にタマネギを入れて折りたたみ、口を縛っておく
  • 玉ねぎの袋を湯煎で温める(電子レンジでも可)
  • 温めた玉ねぎの袋を、耳の後ろの骨を覆うように耳の上に置く(耳の後ろにある乳様突起の骨には、中耳と接する通気性の良い空洞がある)
  • タマネギの袋を手拭いなどで固定し、1~2時間そのままにしておく
  • これを1日3回繰り返す。その都度、新しいタマネギを使用する

7. 風邪に効くチキンスープ

日本では風邪のときには「お粥」が定番ですが、ドイツでそれに相当するのが「チキンスープ」。塩分、ミネラル、骨髄に含まれる成分、そして心地よい温かさと消化のよさの相互作用が、病気の体によいと考えられています。

作り方や材料は家庭によって違いますが、骨つき肉を玉ねぎやにんじん、セロリなどの野菜、お米などと一緒にコトコト煮て、塩胡椒で優しい味をつければ出来上がり。

チキンスープはできるだけ熱いうちに飲みましょう。熱が血行を促進し、蒸気で粘膜が潤い、鼻もすっきりします。体調が悪い時はスープだけ、回復してきたら具も一緒に食べるなど、調整できるのもいいところですね。 

8. ビタミンCは風邪に効く家庭薬No.1?

風邪といえばビタミンC、とホットレモンを飲んだことがある人も多いかもしれません。確かに、私たちの免疫システムにはビタミンCが必要です。ただし、ビタミンCは免疫力アップや風邪予防にはなっても、風邪の治療にはならないことがわかっています。

でも、ホットレモン(特に生姜やハチミツ入り)には疲労回復効果や血流促進効果があるので、ビタミンCをとるためではなくても、風邪のときにはお勧めです。

Heiße Zitrone ist zwar ein wohltuendes Hausmittel gegen Erkältung, das liegt aber nicht am Vitamin C.
©Pixabay

季節の変わり目のこの時期、体調を崩す人も多いでしょう。風邪の時に良いとされるドイツの自然療法の知恵、ぜひご家庭でも取り入れてみてください。

日本にも大根のはちみつ漬けレンコン入り生姜湯など、風邪のときに頼りになる家庭療法があります。こちらもお試しください。

出典:stiftung-gesundheitswissen, netdoctor
プレビュー画像:©MediaPartisans