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子育て

おくるみで赤ちゃんを包む スワドリングのメリットとデメリット

赤ちゃんをおくるみ(布)で包むことを「スワドリング」と言います。日本では「おひなまき」とも呼ばれています。

布ですっぽりとくるむことで、赤ちゃんはお母さんのお腹のなかにいたときの状態に近づき、安心するのです。このテクニックはやり方に多少の違いはありますが、世界中の多くの国で古くから行われています。

現代でも多くの助産師がスワドリングを推奨していますが、一方でいくつかのリスクがあるため批判的な意見も聞かれます。どんなリスクがあるのでしょうか?

Swaddled

この記事では、スワドリングのメリットとデメリットについてご紹介します。

おくるみで赤ちゃんを包むスワドリングのメリットとデメリット

お母さんの子宮の中でずっと守られていた赤ちゃん。この世に生を受けて間もないうちは、子宮の中の安心感と暖かさを強く求めています。そのため、赤ちゃんを布でキュッと包んであげると、子宮の中で経験した窮屈さと暖かさに安心するのです。

スワドリングには安心を与える効果だけでなく、モロー反射を弱める効果もあります。モロー反射とは、赤ちゃんの原始反射のひとつで、腕をふわふわと上に伸ばす仕草です。モロー反射が終わる瞬間、手が床に落ちるため、赤ちゃんは衝撃に驚いて起きてしまったり、寝付けずにぐずったりします。腕を体にそっと乗せた状態でおくるみに包むと、モロー反射の動きを防ぐことができるのです。

スワドリングのメリット

生後間もない赤ちゃんはおくるみで包んであげると、泣き止み、よく眠ります。研究によると、スワドリングをすることで、多くの赤ちゃんがぐっすり眠れるようになることがわかっています。また、泣いている赤ちゃんを早く落ち着かせて、泣いている時間を大幅に短縮します。

さらに、赤ちゃんを布で包むことで、うつぶせになりがちな赤ちゃんが仰向けに眠れるようになる、という報告もあります。うつ伏せ寝は乳幼児突然死症候群のリスクを高めるので、スワドリングで睡眠中にうつぶせになるのを防ぐことは大切なことなのです。また、きつく包むことで、鼓腸や腹痛にも効果があります。

IMG_6738 Swaddle Cooper

スワドリングのデメリット

一方で、スワドリングにはデメリットもあります。特に夏場は、体温を周囲に逃がすことができないため、赤ちゃんは暑くて汗をかいてしまいます。熱中症や脱水症状のリスクも高まります。また、きつく包むと、神経が圧迫され、呼吸が困難になることもあります。

肩から下を包むスワドリングは、赤ちゃんの体の自由を大きく制限するため、股関節形成不全のリスクが高まります。さらに、変形性関節症のリスクも高まります。

正しく使うための4つのヒント

スワドリングを擁護している助産師は、上記のデメリットやリスクはスワドリングの方法が間違っているせいだと訴えています。正しいテクニックを理解すれば、スワドリングの安全性は高まります。スワドリングの長所を生かすため、正しいコツを覚えておきましょう。

1. どんな赤ちゃんに向いているか?

スワドリングは、泣いている赤ちゃん、落ち着けない赤ちゃん、なかなか寝付けない赤ちゃんに一時的に使用します。長時間つけっぱなしにせず、赤ちゃんが落ち着いたらゆるめるようにしましょう。

股関節に問題がある子や、よく寝る子には、スワドリングをしないほうがよいでしょう。スワドリングが苦手な赤ちゃんもいますので、赤ちゃんの意思表示には気を配って、無理をしないようにしてください。

2. スワドリングはいつまで?

赤ちゃんが手足をバタバタと動かしたり、寝返りするようになったら、動きを妨げてしまうのでスワドリングは卒業しましょう。目安としては生後3、4ヶ月頃まで、遅くとも生後半年にはスワドリングは不要になります。

swaddling has become a waste of time

3. どのような布が適していますか?

スワドリングには、薄手で伸縮性のある綿毛布を使用します。特にガーゼやオーガニックコットンがおすすめです。専用のスワドル用の布も市販されています。布の大きさは80×80cmが理想的です。

4. その他に考慮すべきことは?

おくるみで包んだ赤ちゃんは、仰向けに寝かせましょう。うつぶせの姿勢では、乳幼児突然死のリスクが高まります。また、赤ちゃんの首が熱くなりすぎていないか、定期的にチェックしてあげてください。

Swaddled and Comfortable

スワドリングに代わる安全な方法

  • ベビーラップ:ベビーラップは赤ちゃんを布で大人の身に纏うように巻く抱っこ紐の一種。赤ちゃんと体を密着させることができ、足を広げることができるので、子どもの股関節の発達の妨げになりません。また、常に赤ちゃんと密着しているため、体温を確認するのも簡単です。新生児から幼児まで使えます。
  • 整形済みスワドル:整形済みのスワドルは、服のように着せて使用するおくるみです。肩の動きを制限するのでモロー反射による驚きを防ぎ、子どもは安心して眠れるようになります。同時に、足元に余裕があるので、自由に動いたり蹴ったりすることができます。このため、股関節を傷めることもありません。

スワドリングの卒業

新生児の頃からスワドリングをしていた場合、ある日を境に突然スワドリングをやめるのではなく、徐々に慣らしてあげましょう。まず、おくるみに包んだ状態で片方の腕を自由にさせます。その後、両腕を自由にしましょう。

Feet!

スワドリングでは親との身体的接触が減るので、できるだけ頻繁に赤ちゃんを抱っこして、スキンシップを図ることも大切です。

出典:Bunte , apothecary umschau, familie

プレビュー画像:© flickr/Jane Cooper