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Lifehacks

愛に満ちた心安らかな終末期を ホスピスで患者が愛するペットと過ごせるように支援する団体

世界的に高齢化が進み、終末期ケアを行うホスピスも増えています。ホスピスは死期に近づいたときに延命治療を行わず、苦痛を和らげるケアを行う施設です。

人生の終末期にある人たちは、ホスピスに移る時に愛するペットと別れなければなりません。それは、ときに自身の死と向き合うのと同じくらい辛いことではないかと考える人々が、ある非営利団体を創設しました。

アメリカの「Pet Peace of Mind(ペットピースオブマインド)」という団体は、ペットの飼い主が、心安らかな終末期を過ごせるように、最愛のペットと最後の日々を過ごすことを支援しています。

ペットピースオブマインドの活動:

  • 末期患者のペットの世話をする

  • 末期患者がペットとともにホスピスで過ごせるように支援する

  • 飼い主の死後、動物たちの世話をし、遺族と相談して新しい家を探す

ペットピースオブマインドの使命は、死の間際にある人と最愛のペットを最期の日に引き離さないこと。

慣れ親しんだ環境を離れてホスピスに行くことは、末期患者にとって大きな変化と恐怖を伴います。しかし、この最後の一歩に愛するペットが付き添ってくれれば、患者さんの地上での最後の時間は穏やかで心安らかなものになるのではないでしょうか。

この団体の代表であるダイアン・マッギルは、インタビューの中で、犬や猫などのペットが飼い主とともにホスピスに入れるように尽力してきた理由をこう説明しています。

「人と人との絆と同じように、ペットとの絆を大切にしています。ペットは家族や友人のように飼い主を癒してくれます。しかし、ご家族の中には、患者さんの病気に対する悲しみや喪失感から、あるいは患者さんとペットの絆を知らずに、ペットの存在を見落としてしまう人がいるのです」

「私は、ペットが自分の生きがいだと言っている患者さんをたくさん知っています。ペットは、恐怖に対処するための素晴らしい薬です。これまで多くの患者さんが、終末期にペットと過ごしたかった、亡くなった後のペットの里親を見つけてあげたかったと思いながら死を迎えてきました。多くの患者さんにとって、死を迎える時にペットが一緒にいてくれることはとても重要なことなのです」

飼い主が亡くなると、この団体のスタッフは遺されたペットの世話をし、遺族と相談しながら、ペットの新しい家を見つけるために尽力します。

2018年にニューヨーク大学の研究で、動物を撫でるだけでストレスレベルが大幅に軽減されるなど、ペットが私たちの精神的健康に大きく貢献していることが示されました。

大切な愛犬や愛猫がただそばにいるだけで、人は死の間際にあっても穏やかで愛情豊かな時間を過ごすことができるのです。それなのになぜ、最期の時間に大切なペットと飼い主を引き離す必要があるのでしょう。

ペットと人の絆はとても強いものです。日本でもきっと、この団体の愛に満ちた方針を支持する人はきっと多くいることと思います。日本国内では、特別養護老人ホーム「さくらの里山科」において、ペットと高齢者が共に暮らせる取り組みがされています。大切な家族であるペットと最後まで一緒に過ごせる、こういった取り組みがどんどん広がっていくといいですね。

 

プレビュー画像: ©Facebook/Pet Peace of Mind