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DIY

使い終わったカイロは捨てない|カイロを再利用して川や池の水がきれいに

寒い冬、毎年のように便利に使っているのが使い捨てカイロ。じんわりと温まるカイロは寒い日の外出やコロナ禍でオフィスで頻繁に換気がされるために冷え防止に活用されている方も多いのではないでしょうか。

以前ちえとくでは使い終わったカイロを家庭で簡単に再利用する方法を紹介しましたが、なんと使い終わった後のカイロが池や川などの水の浄化に再利用できるのだそう。

使い捨てカイロは、簡単に言うと鉄と炭の粉からできており、空気中の酸素と反応すると熱を発生します。発熱しなくなったらゴミとして捨てられ、従来焼却処分されていました。

しかしカイロに含まれている二価鉄イオン(Fe2+)には、水中のヘドロと反応することで悪臭を抑制し水質を改善する働きがあったのです。その鉄の作用を利用し作られたのが、Go Green Cubeというチップ。使用済みカイロに酸を加えてチップを作り出しています。使い捨てカイロを使うのは、カイロに使われている鉄が合金化などの処理が施されておらず、自然界に存在する一般的な鉄に最も近いからなのだそう。

浄化の仕組みは以下の通り。

水質の悪い川や池に投入されたGo Green Cubeから発生する二価鉄イオンが、ヘドロに含まれる硫化水素や揮発性硫黄化合物、そして水中のリン酸にはたらきかけて無害化します。

池や川など自然の環境下にある水に発生したヘドロに含まれる硫化水素やメチルメルカプタンは悪臭の原因となり、またリン酸は「リン酸鉄」に変化して沈殿することで富栄養化を抑え、赤潮やアオコなどの原因となるプランクトンの大量発生の原因となります。

Go Green Cubeによってこういった状況が改善されることで水質がよくなり、光合成細菌による光合成が活性化し、水中の酸素が増え水生生物の生育に適した環境へ戻っていくのだそう。また、水中に投入されたGo Green Cubeは、成分の約9割が鉄であることから最後は土に帰っていくとのこと。

使い捨てカイロから作ったGo Green Cubを使って水質改善に取り組むGo Green Group株式会社の代表取締役を務める山下崇さんは、以前使い捨てカイロのことを調べていたとき、東京海洋大学の佐々木剛教授が取り組んでいる使用済みカイロで海や川、池などを浄化する活動を知り、これをもっと広めたい!と思い事業化に向け取り組んできたのだそう。実証実験を重ね、使い捨てカイロを使って農薬や化学肥料で汚染された場所を浄化するGo Green Cubeを開発。

以前広さゴルフ場の約1,600平方メートルの池でGoGreenCubeを使った実験を実施。池全体がヘドロ化したような様相だったのが、13週間後には、池の底にヘドロが溜まっているのが上から見えるていどの透明感が現れて、見た目にもきれいになった印象に変化したのだそうです。使用済みのカイロは現在、兵庫県内16カ所のゴルフ場に回収ボックスが設置されているほか、一部企業も回収の取り組みに参加しています。

また、個人での提供も可能とのこと。使い終わったカイロの空気を軽く抜いた状態で袋に保管し、数がたまったら下記住所に送付して完了です。

<使用済みカイロの送り先>

〒679-0313 兵庫県西脇市黒田庄町岡684-1
GoGreen 物流センター

山下さんの当面の目標は2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)までに会場となる夢洲周辺の海をきれいにすることだそう。人間を含めた全ての生物の生態系たちにとって欠かせない水資源。水環境を改善・保全していくことが、延いては地上に暮らす私たちの環境保全にもつながります。今まで捨てていたカイロ、捨てずに環境保全に役立てていきたいですね。

プレビュー画像:©︎Twitter/RFuWQTkdM0V4d4L

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