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幼児の衝動的な行動の意味
大人と同じように、いえ、大人以上に、子どもたちの感情や気分の表現はさまざま。そのため、問題が深刻なのかどうかを見分けるのは必ずしも簡単ではありません。
子どもは多様な状況に不安やストレスを感じることがあり、大人が驚くような行動で感情を表現することが多くあります。一方で、親が子どもに十分に目を向けていないことが、子どもの攻撃性や多動の原因となることもあります。ですから、子どもたちが問題行動を起こしたときは、できるだけ早く見極めて、子どもを助けることが重要です。子どもがそうした行動をとるのは、親に助けを求めているサインなのです。
このような間接的なSOSに気付くには、子どもをしっかり観察し、同じ成長段階にある他の子の行動と比較する必要があります。なぜなら、泣いたり、叩いたりするからといって問題であるわけではなく、発達段階によっては正常である場合もあるからです。
では、子どもがSOSを発信しているかもしれない行動とはどのようなものが考えられるのでしょうか。この記事でとりあげるような衝撃的な行動がみられたら、まずは、お子さんをしっかり観察してみてください。
1. 親を叩いたり、噛み付いたりする
幼児が噛み付いたり攻撃的になったりすることは、あなたの育児方法がまちがっているせいではありません。親に対する攻撃性は、多くの場合、小児期の脳の発達によって説明できます。まだ幼い子どもたちの脳では、論理的で思慮深い考え方はできず、自分をしっかりコントロールするのに必要な能力が構築されていません。ですから、あなたがお子さんを抱きしめようとすると、子どもは嬉しくておもちゃを投げてきたりするのです。
対処方法:
子どもの気持ちを言葉にして、正しい行動を示してあげましょう。その後、子供が適切な反応を理解し学習するまで、正しい行動をするように何度も教えます。
2. 他の子を叩く
子どもは学齢期になってようやく恐怖や怒りなどの強い感情に対処する方法を学びます。5歳くらいまでは、コミュニケーション能力や対処能力が十分に発達しておらず、叩くことをコミュニケーションの手段として利用してしまうのです。
もう少し年齢があがると、恐怖やストレスのために他人に攻撃的になることがよくあります。親に目を向けてほしい、親との接触を求めている場合も、他人に攻撃的になります。
対処方法:
乳幼児期の小さな子どもには、言葉で伝える代わりに、子どものそばにいて気をそらせることができます。つまり、叩こうとしたら、優しく、無造作に腕の向きを変えればいいのです。
言葉を理解することができる年齢の子供には、親がその子をちゃんと見ていることを理解させ、叩く必要のないコミュニケーションの方法を示すことが大切です。
3. めそめそ泣く
ずっと泣いている子どもは疲れ果てていることが多く、親の助けが必要です。自分の行動を通して、ストレスを感じていること、疲れていること、圧倒されていること、あるいは単にもっと甘えたいと思っていることを表現しています。まるで小さな赤ん坊のように振る舞うことで、親の注意を引き、慰めや支えを得ようとしているのです。
対処方法:
難しいかもしれませんが、子どもの泣き言に怒りで反応しないようにしましょう。彼らはあなたの注意が欲しいだけなのです。深呼吸を5回して、彼らの気持ちを理解したうえで対応してください。子どもとの関係が強化され、子どもは感情的な落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
4. おもちゃを投げ捨てたり壊したりする
子どもがおもちゃを投げ捨てたり、壊したり、新しい人形や車を捨てたり、放り上げたりするなら、きっと退屈しているのでしょう。散歩をしたり、創造的な活動をしたり、ただ寄り添ったりしたいだけかもしれませんね。
対処方法:
あなたの子供に他の活動を提案してみてください。でも、あまり押しつけがましくせず、独断的にならないように。たとえば、あなた自身が絵を描き始めます。お子さんがその気になれば、きっと嬉しそうに一緒に絵を描き始めるでしょう。
5. 気分の変動が激しい
ほんのちょっとしたことで泣き叫ぶ子どもにびっくりすることがあります。ピンクのマグカップの代わりにブルーのマグカップをあげただけでそんなに泣く?と思うかもしれません。でも、まるで嵐のような気分の変動は、発達段階によるものがほとんど。乳児は複雑な感情に適切に対処することができず、少しがっかりしただけでも、苛立たしさを止めることができず、まるでこの世の終わりのように感じるのです。
対処方法:
落ち着いて、お子さんの不満を聞いてあげましょう。同時に、そのような強い感情の爆発はその状況にふさわしくないことをはっきり伝えてください。そして、怒っているからといって食べ物をテーブルから押し出すのは良くないということを理解してもらい、感情を発散させるためのより良い方法を示してあげましょう。
6. 服を着たり、シートベルトを締めるのを嫌がる
子どもが服を着ることやチャイルドシートを嫌がる場合は、疲れていることが多く、休息やリラックスする時間が必要です。毎日のスケジュールを詰め込みすぎていませんか?子どもたちは忙しすぎる毎日をストレスに感じて、拒否反応を示します。
対処方法:
子どものスケジュールを見直してみましょう。子どものためと考えて、色々な活動を詰め込みすぎていないか自問してみましょう。その場合は、何かを削って、ゆっくりする時間を追加しましょう。
7. 何に対してもイヤと言う
夕食を食べる、歯を磨く、パジャマを着るなどをすべて嫌がる子どももいます。親には一切協力したくないようですね。親は大変。まるで子どもが親の行動を操作しようとしているように感じてしまうでしょう。でも、子どもが「イヤ」と言うのは、親を操作したいという気持ちとは何の関係もありません。多くの場合、これは、外的な影響から自分自身を守りたい、または強制されることを望んでいないというサインにすぎません。
対処方法:
子どもを脅して、強制することは避けましょう。子どもと権力争いをしてもいいことはありません。小さいお子さんなら、注意をそらす遊びや、他の選択肢を提示することで「イヤ」を「いいよ」に変えることができることが多いでしょう。もう少し大きなお子さんには2つの選択肢を提示して、自分で決めてもらいましょう。小さなことを自分で決めることは、子どもの自立心と自信を高めます。
8. 嘘とごまかし
ときどき嘘をつくからといって、悪い子や嘘つきというわけではありません。でも、嘘が頻繁にでる場合は、無視できません。何度も嘘をつく理由の一つは、親に叱られるかもしれないという恐れや不安からです。
対処方法:
まず、この子は嘘つきなのかもしれない、などと思わないように。第二に、嘘の根本的な原因を見極めてください。第三に、子供のよい行動をもっと評価してあげてください。
9. グルグル走り回る、暴れる
落ち着くのが難しい子どもや、グルグルと走り回ったり、絶えず戦いたいと思っている子どもは、たいていの場合、満たされていません。このような行動の多くは、外で遊びたい、ジャンプしたい、他の子どもたちと一緒にいたいということを示す行動です。
対処方法:
十分に運動をさせたり、他の子どもと一緒に遊ばせたりして、たまったエネルギーを発散できるようにしてあげましょう。
10. 極度の不安や恐怖
子どもにとって不安や恐怖はよくみられる感情で、正常な発達の一部です。特に幼児は、暗闇やベッドの下のお化け、一人になることなどを怖がります。このような恐怖は特定の発達年齢に典型的であり、時が来れば、ほとんどが消失します。でも、年齢があがっても、幼稚園や学校に行くことを拒否したり、一人で自宅のトイレに行けないなど強い不安を示す子どもは、気持ちが不安定で、安全であるということを学べていないのかもしれません。
次のように対処します。
子どもが怖がる場合は、たとえそれが重要ではない、または不合理だと思われても、子どもの話を聞いてあげましょう。子どもの気持ちや願望を真剣に受け止め、無視したり罰を与えたりしないでください。そして、怖い状況が安全であることを少しずつ体験させてください。分離不安の場合は、例えばお母さんが隣の家にいることを知っていれば、近所の子どもと遊ぶことができます。ベッドの下のおばけを怖がるときは、ほうきを使ってお化けを追い出したり、魔除けグッズを置いたりして、楽しく対処してみてください。子どもは少しずつ困難な状況を自分で解決し、対処できることを学んでいくでしょう。
子どもの問題行動に対処するには、親の十分な理解と共感がなにより大切です。自分の子どもが意図的に悪い行動をしているのではなく、何かが足りないと親に気づいてほしいだけだということを常に心に留めてください。子どもが徐々に自信を積み上げていけるように、情緒的な安定、他者への信頼感、親近感が得られる環境を作ってあげましょう。
